一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

車をとめて、よく考えたほうがいいと思います

2006-04-04 | よしなしごと

駐禁、車離れたら即摘発 6月から民間委託
(2006年 4月 3日 (月) 06:09 朝日新聞)

6月から、駐車違反の取り締まりが一変する。道路交通法の改正で、違法駐車を確認する業務の民間委託を実施。わずかな時間でも車を離れれば「違反」と認定されることになる。交通事故や渋滞を招く違法駐車車両の取り締まり強化は、7000万人を超すドライバーにとって厳しい時代の到来と言える。運送業界などが対応に追われている。

従来と違って、運転手が車を離れていれば、駐車時間の長短にかかわらず「違反」とされる。「監視員によって不公平が生じないようにするため」(警察庁)という。

 全国47都道府県の県庁所在地などにある270署が、従来の駐車禁止、駐停車禁止区域のうち、どの区間(路線)を、どの時間帯に取り締まるかを決め、「活動ガイドライン」として公表。監視員はそれに沿って巡回する。ガイドラインの内容は4月下旬以降に公表される。

あまり自慢できる話ではありませんが、私は「路上駐車の名人」を自認しております。
元はといえば、トラック運転のアルバイト時代(こんなこともあったり)の職人気質と小銭にこだわる小市民根性(ここに例があります)の賜物なのですが、こつは簡単に言うと

① 路上駐車の列にいかに素早く空きを見つけて、車をねじこむか
② 道路幅がそこそこあってガードレールがなく、前に止めても文句を言われなそうな場所をいかに探すか

に尽きます。
つまり、現状以上に交通の流れを遮断したり近所迷惑をかけないようにする、ということです。
これはそもそも路上駐車は外部不経済な行動なので、少なくとも自分の駐車で社会全般の不経済を増やさなければいいではないか、(そういう違法駐車なら摘発されにくい)という考えにも通じます(盗人猛々しい物言いですみませんw)

ところが、昔シドニーに旅行したとき、駐在員の友人から借りた車でみやげ物を買いに行って、ほんの5分ほど停めただけで、上のような民間委託業者に違反キップを切られてしまったことがあります。
事前に友人に注意されていたのですが、情けなかったと同時に「ここまで徹底してやられるなら仕方ないか」というすがすがしさを感じたものです。


で、話を本題に戻すと、記事は運送業界などに比較的同情的なのですが、このような運用はいい事なのではないか、と思います。


 道路は公共財ですし、特に都市部で常に配送用の荷捌きスペースを用意するには過大なコストがかかる以上、宅配便や配送などの経済活動のためには一定の路上駐車を容認するほうが経済合理性にかなうかもしれません。
 一方で、わざわざ高い予算を費やした幹線道路の1車線をふさいでしまうような路上駐車は外部不経済の典型でもあります。
 また、歩車分離がされていない道路では、路上駐車(特にトラック)の死角による事故の危険性もあります(特に交差点付近の駐車。逆にいえばいちいちコインパーキングにバックで車庫入れすることの危険というのも考慮すべきかもしれません)

このようなことが、上の「厳罰化」をきっかけに議論されることになるのではないでしょうか。

今までの駐車禁止ルールと駐車違反取締り制度は(ここ数年の罰金の高額化は一定の効果はあげたものの)網の目が大雑把過ぎるので「やった者勝ち」になり、結果社会全体の負担が大きくなっているように思います。

なので、今後制定される「活動ガイドライン」の是非(本来は駐車禁止場所や時間帯の設定自体)について、経済効率、安全、環境、都市計画、地域活性化などのさまざまな観点から考えて、その場所に合ったルールを作ることができればいいと思います。


たとえば現在でも歩行者専用の時間帯を設定している商店街はあるわけで、それが商店街共通のメリットになるのであれば、宅配便や配送はその時間帯にできなくても文句がでないわけです(現状は近所の裏通りに停めてしまっているのであれば、それへの対応を考えるのは当然のことですし)

別の例をあげると、渋谷の井の頭通りの起点(西武百貨店のA館とB館の間の道、ローカルネタですみません)は一方通行で路上駐車の名所だったのですが、昨年歩道を拡幅して車道を狭める一方で、数箇所に荷捌き用駐車スペースの切欠きを作りました。その結果路上駐車はなくなり(バスが通るので事実上不可能)、配送のトラックも交通の迷惑にならないように駐車できるようになっています(こちら参照)
こんな工夫もいろんなところでされるようになるのではないでしょうか。

逆の例でいうと、デパートの買い物客で駐車場を使わずに店の前の大通りにベンツなどを停めて運転手を待たせている「社長」だか「奥様」などは都心の大通りの交通の多大な邪魔なので運転手がいたとしても取り締まるべきだと思います。
(これはやっかみではなくw、日本橋三越などの老舗では、大得意客には専用の車寄せと車の待機スペースがあって客の到着直後から外商がフルアテンドするわけで、正面の大通りに運転手を待たせる程度の客は上客ではないらしいです)
これは、都心部の駐車場付置義務の強化や時間貸しの義務付けと容積率の緩和というような問題に関係してきますね。


このように幅広い影響のある問題だと思うので、せっかく一石を投じるならば、矮小化せずに幅広く議論してほしいものです。

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「言葉のチカラ」を信じていいのだろうか?

2006-04-03 | 余計なひとこと

4月2日(日)の朝日新聞朝刊の一面に「『気骨ある紙面』めざす」というタイトルで、外岡秀俊「東京本社編集局長(ゼネラルエディター)」が新年度に向けての紙面刷新と朝日新聞の決意を語っています。

そこには「朝日新聞綱領」も掲載されています。


しかし問題は、同じ1面のトップにある川崎市のマンションでの幼児殺人事件の容疑者の自首の記事。
防犯カメラに写った犯人と目される人物の映像へのキャプションです。


「マンションの防犯カメラが撮影した今井健詞容疑者」

でも現時点では今井容疑者がこの映像を自分だと言っている(という警察情報)だけで、それが事実という証拠もないわけです(似てはいるのでしょうが)。
また、この映像の人物が犯人だという証拠もありません。
(今井容疑者が単なる自首マニアの可能性だってあるわけです。)

だとすると、このキャプションは推定無罪などの被疑者の権利を軽視したり、読者を不用意に誘導するような報道じゃないのかな、と気になりました。
特に日頃「自白偏重の捜査」に批判的なマスコミとしてはいかがなものかと。

「真実を公正迅速に報道し」という綱領を掲げ「ジャーナリスト宣言」によって「私たちは、ただ読者の信頼のみに支えられ、権力を監視し、現場で自らを鍛えなおすことを確認したい。」と語っているすぐ脇でこのような記事が出るというのは「宣言」自体の信憑性を失わせるのではないかと思います。


ちなみに他紙ですが、

毎日

「今井容疑者は新聞に掲載されたこの写真を見て出頭した」

産経

「公開された防犯ビデオに写っていた今井容疑者」

 東京新聞

「今井健詞容疑者とみられる画像」

 読売・日経(防犯カメラの写真なし)

キャプションとしては毎日が公正な立場だと思います。
産経と朝日が同じ、というのもうけますね。


年度初めから文句のようなエントリも気が進まないのですが、ちょいと気になったもので。

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『ダ・ヴィンチ・コード』ほか

2006-04-02 | 乱読日記
一週間に2回も嘘をついた罰があたったのか、久しぶりに風邪を引いてしまいました。
熱はないものの、のどの痛みが花粉症との合併症のような状態で、けっこうつらく、昨日は一日ベッドでゴロゴロしてました。

おかげさまで読書が進み、文庫本3巻組の中巻の途中までだった『ダ・ヴィンチ・コード』を読了。
キリストの生涯とキリスト教会、聖杯伝説やキリスト教以前の宗教についての幅広い知識と巧みなストーリー展開で楽しめます。
盗作疑惑もありますが、元になった研究はたくさんあるようですし、この本とストーリーが同じ、ということでもないと盗作というのはなかなか難しいのじゃないかという印象を受けました。



時間が余ったので、通勤用に買っておいた横山秀夫『動機』を読了。

警察・司法担当の新聞記者という経験ならではのリアリティとストーリー運びの上手さで一気に読ませます。



そして、今朝は今朝で11時過ぎまで寝ていたおかげで、どうやら回復。

午後は『人は見た目が9割』を読みました。

実はこれ、金曜(31日)にBook Offの金券300円也の有効期限が来たのに気づいて、風邪気味にもかかわらず深夜弊店間際に駆け込んでとりあえず目に付いたので買った(350円)ものです(こういうことをしているから風邪をひくわけですw)

前書きを見ると「今の日本に合った『ノンバーバル・コミュニケーション』の本の必要性を感じていた」というのが本書執筆の動機だそうですが、内容的には既にどこかで触れられていることをまとめたようなもので、とりたてて新しさ、目からウロコというほどのものは感じませんでした。

たとえば、芳賀 綏『日本人の表現心理』を引用して日本人のコミュニケーションの8つの特徴「語らぬ」「わからせぬ」「いたわる」「ひかえる」「修める」「ささやかな」「流れる」「まかせる」について触れた部分。そのうちの「わからせぬ」はつぎのようなことだそうです。

テレビの討論会を見ても、大声で独白しているだけで誰も相手を説得しようとしていない。
政治家の答弁も、不祥事を起こした会社の責任者も、人にわからせる気で言葉を発するのではなく「頼む、察してくれ」という気持ちなだけ。
「腹を割って話し合う」というが、利害が対立した当事者が腹を割ったら理論上はこじれるだけだが、その結果「相手は信用できる人間だ」と思わせることで問題を解決しようとする。

まあ、そういう部分もありますが、で、どうすりゃいいんでしょうか・・・

この本は「こういうネタがありますよ」というものを提示はしてますが、TVのバラエティのようにゲストが「へぇ~」と相槌をうって、それで終わりという部分がかなり多いです。
そしてネタ自体もそれほど新味がないので、読後感は一言で言えば"So what?"

Book Offでは金券300円+現金50円を払ったらポイントがたまったので金券50円をもらったので、実質タダでしたので、あまり悪口を言うのも申し訳ないのですが、最近新書が続々と出てきているので、こういうものもあるということでしょう。

でも、このタイトルと「理屈はルックスに勝てない」という帯はあおり過ぎですし中身を正確に表わしていませんね。

多分「本はタイトルが9割」などと陰口をたたかれていることでしょう。


























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新日鉄の買収防衛策(つづき)

2006-04-01 | ネタ

昨日のエントリでふれた新日鉄の買収防衛策ですが、海外でも波紋を呼んでいるようです。

The New York Timesでは敵対的買収防衛策としての同業3社のカルテルは長期的にはマイナスになるのではという論評をしています。

 日本では昨年『負け犬の遠吠え』という本がベストセラーになった。これは30代の独身で子供を持たない女性を「負け犬」と揶揄したものである。
 今回の3社の提携強化は、現時点では高付加価値の鉄鋼製品の開発で国際競争力を持つ日本企業同士の強者連合であるが、その反面他の企業とのチャネルを閉ざす行為でもある。
 上の例に拠れば、市場競争力のある20代の女性同士がつろんでいるうちにお互いに歳を取り、そろって「負け犬」の仲間入りをする危険を伴っているともいえる。
 一方わが国の人気TV番組"Sex and the City"に登場する女性達は日本で言えば「負け犬」に分類される存在であるが、彼女達はいつもチャンスに対して貪欲である。
 常に魅力的な存在であるためにはどちらのスタンスが効果的であるかについての興味深い実験といえよう。
(2006/04/01 "Does a bond of steel spoil Japanese companies?")


中国新華社は、これは日本人の孤立主義・非協調的性格の現われであるというかなり攻撃的な論評をしています。

 中国が2001年にWTOに加盟して以降、東アジアにおける自由貿易の旗手を標榜している日本企業は中国市場に対し容赦のない攻勢を仕掛けてきている。その一方で今回の新日鉄および鉄鋼大手によるカルテルは、日本経済が他人には市場開放を迫りながらも自らは保護主義の鎧をまとったままであることを端無くも露呈した形となっている。
 実は日本の閉鎖性はいたるところに垣間見ることができる。
 信頼できる政府関係者筋によれば、昨年のASEAN外相会合において李肇星外交部長が訪日を非公式に打診した際に、自ら靖国神社に参拝し日本帝国主義の犠牲となった日本人戦没者の霊を弔いたいと申し出たところ、町村外相(当時)は「靖国神社問題は国内問題であり、敵対的参拝は認められない」として、訪日が見送りになった経緯があるとのことである。
 日本は近い将来、その器量の小ささが国の成長余力の限界を定めていることを思い知るであろう。
(2006/04/01 "Japanese ambivalent closed imperialism")


また、Financial Times紙はロンドン在住のラクシュミ・ミタル、ミタル・スチール会長のコメントを載せています。

「現時点で日本の鉄鋼メーカーの買収に興味を持っているか否かついてはコメントできない」
「私がハナ肇に似ているといわれていることも不本意ながら承知しているし、日本では植木等の方が人気があることも知っている」
「しかし私は、日本の投資家たちは、少なくとも企業経営においてはスーダラ節な無責任男よりもリーダーの方が経営者として適任であるというくらいの分別を持っていると期待している」
(2006/04/01 "Who is the most essential in the Crazy Cats?")


日本も世界的なM&Aの潮流の中で意識される存在になってきたということでしょうか。





PS
最後までリンクをクリックされなかった方も既にお気づきと思いますが、上記はすべてエイプリル・フールの架空の話ですのであしからず。

コメント (2)
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