今年も4月に、書の一分野である「墨象ぼくしょう」の2団体が展覧会を開いている。
両団体は、開催時期がずれていたが、2011年ごろから札幌市民ギャラリーで同じ会期の開催となっている。
「読めない」という理由で書展会場に足を運ぶのに二の足を踏む人も多そうですが、墨象は、造形性だけで、つまり絵画のように鑑賞しても十分に楽しめる。
もちろん書家は、力任せに大きな筆を動かしているのではなく、漢字な . . . 本文を読む
毎日新聞の1月18日朝刊「書の世界」に、短いながら、国際現代書道展の紹介が載っていた。
記念展ということもあるのだろうが、遠く北海道の書展にも目配りを怠らない同紙の書道担当者には頭が下がる。
「書の世界」には、主宰者である小原道城さんの作品の写真も、小さく掲載されている。
「万樹寒無色 南枝独有花 香聞流水処 影落野人家」
明代の詩を行書で書いており、じつに自在な境地の運筆である。
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道内の高校で書を教える先生とOBによる展覧会で、毎年この時期に開かれている。
新年らしい気持ちにさせてくれると同時に、北海道書道展や毎日書道展ほど大規模でなく、社中展でもなく、バラエティーに富んだ作品が集まっているので
「ちょっと書を鑑賞したい」
という人にはうってつけだと思う。
宇野雉洞「心事一杯中」の前で目がとまる。
書いた人とこちらの呼吸が合ったような気がしたのである。
行書で、 . . . 本文を読む
須田廣充さんは1950年浜益村(現石狩市浜益区)生まれ、江別在住の書家。
北海道書道展の会員、グループ「游」のメンバーで、近年は、アメリカインディアンの言葉を題材にした個展を開くなど旺盛な活動をみせています。これで2年連続の個展となり、道内の書家としては珍しいと思います。
今回は北米先住民族からうってかわって、詩人で美術評論家の柴橋伴夫さんが書いて出版した評伝『風の王 砂澤ビッキの世界』が . . . 本文を読む
道立の美術館は貸し館を行っており、たまに書の社中展が開かれることがある。たいてい期間は短い。
「さわらび会」は、道内を代表するかな書家の松本春子(1900~89年)が1936年(昭和11年)に設立した。
今回は、三女の松本暎子さんが同会を引き継いで30年になるのを記念して開かれた。
(※2024年、暎子さんの文字が誤っていたので訂正しました。申し訳ございませ。おわび申し上げます)
単な . . . 本文を読む
これは完全な言い訳なのだが、札幌市民ギャラリーは、大型の団体公募展があるとき以外、足を運ぶのをつい忘れてしまうことがある。
筆者は、この「第37回(景象展改め)北海道書人展」を見て、これまで一度もこの書展に足を運んだことがないのに気づいた。そして、大いに反省した。
この書展は、筆者のような素人にも、大いに見る価値のある展覧会なのだ。主宰の小川東洲さんとその門下生の作品もさることながら、招待作 . . . 本文を読む
これまでも書いてきたことだが、島田無響さんというと、白髪の長髪で和装の、いかにも書家といった外貌と、1998年に京王プラザホテル(札幌)のロビーなどを会場に使用した個展を思い出す。
ホテルロビーの吹き抜けに大きな紙を張り渡すなど破格のスケールで、あれほど大規模な書の個展は、道内ではそれ以降開かれていないだろう。
毎日新聞北海道面「辞林」に、次のようにあった。
島田さんは1928年、千葉 . . . 本文を読む
道内の女性書家が会派や書風を超えて毎年この時期に開いている。現在の代表幹事は太田欽舟、安藤小芳の両氏。
今年は62人が出品。すべての女性書家が参加しているわけではもちろんない。
例年書いていることだが、漢字が多く、近代詩文書や墨象が続き、かな書が少ない。前衛書や篆刻てんこくはない。かなが比較的少ないのは道内全体の傾向と共通しているのかもしれない。
気になった作品について少々の感想を述べる . . . 本文を読む
札幌で書展が開かれる会場といえば、札幌市民ギャラリーとスカイホールの二つが圧倒的に多い。
スカイホールは大丸藤井セントラルの7階で立ち寄りやすいので、習慣的に見ることが多いが、市民ギャラリーの書展は知らないうちに終わっていることがよくあった。今年は、意識して足を運ぶようにしているが、実際は市民ギャラリーの社中展は規模が大きく、見ごたえがある場合が多いのだということがようやくカンの鈍い筆者にもわ . . . 本文を読む
(承前)
「北海道書道展」は毎年ゴールデンウイーク中の時季に
1. 招待・会員
2. 公募
3. 会友
の3部構成に分けて開かれるのが恒例になっている。作品数が多く、市民ギャラリーでいっぺんに展示できないためであろう。ちなみに「2」と「3」は会期が重なるので、「3」は札幌パークホテル(地下に広い会場がある)で開催される。
点数では、美術の道展、全道展や写真道展などを上回り、道内最大の展覧会と . . . 本文を読む
書の一分野である「墨象ぼくしょう」の2団体が今年も展覧会を開いています。
両団体は、開催時期がずれていたこともありましたが、この数年は市民ギャラリーでの同時期の開催となっています。
書展というと、初心者は「読めない」ということでしり込みしてしまいがちですが、墨象は、造形性だけで鑑賞してもおもしろく、ふだん書に接点のない人でも見て楽しいのではないかと思います。
なお、一般的には、文字を書い . . . 本文を読む
この書展も「新年だなあ」と実感させてくれる展覧会のひとつ。
道展や毎日展などは膨大な展示点数に気おされて見ていると疲れてしまうが、この「高書研展」は質量ともにちょうど良い。
こうして、社中や公募展を超えて競い合う場を持っていることが、書道王国・北海道の強みなのかもしれないとも思う(他の都府県の実情は知らないけれども)。
個人的に気になった作品(順不同)。
渡邊層山「臨行」
「行」の . . . 本文を読む
羽毛蒼洲さんは札幌の書家(羽の漢字は正字の「羽」ですが、機種依存文字なので常用漢字の字体を使わせていただきます)。1942年生まれなので今年75歳ですが、とてもお若く見えます。
今回は5年ぶりの個展です。私は札幌にいなかったので拝見しておらず、じっくり見るのは14年前に大丸藤井スカイホール全室を使って開いた個展以来となります。
羽毛さんというと、淡墨のイメージがあります。しかし今回は、27 . . . 本文を読む
札幌の書家、竹下青蘭さんが主宰するグループ展。
4年ぶりの開催となりました。
書には「漢字」「かな」などいろいろの分野がありますが、竹下さんが活躍するのは「前衛書」です。
書は、かならずしも文字を書かなくてもいいのではないか、というところから始まった、比較的新しいジャンルです。
したがって見る側は、抽象画とおなじような心持ちで鑑賞してもかまわないわけです。
ただし、そうはいっても書 . . . 本文を読む
書の一分野である墨象ぼくしょうの団体二つが毎春、札幌市民ギャラリーで展覧会を開いています。
いずれも太い筆で力強く書いた作品が会場に並んでいます。字釈がないと、とても読めない字ばかりですが、逆に、ふだん書展に足を運ばない人でも、純粋に造形面から鑑賞できて楽しめると思います。
北海道墨人展の会場で出品者の吉田敏子さん(札幌)にお会いしました。
吉田さんは「こんな大作は久しぶり」という「風神 . . . 本文を読む