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ニーハオ春庭中国日記「メーデー休暇&中国食材事情」

2011-05-17 05:45:00 | 日記


2009/05/01
ニーハオ春庭中国日記2009>メーデー連休(1)イミテーションゴールドからアイアンへ

  日本もゴールデンウィークに突入ですね。「4月29日から12連休」という足跡コメントを見て、うらやましく思っております。皆様楽しい行楽の毎日をおすごしのことでしょうね。ああ、うらやましい。
 
 中国は、5月1日のメーデーから金、土、日の三連休です。2007年は、4月末の土日に授業をして、その代休をメーデー休暇に続けてとって5連休にするという裏技ゴールデンウィークでした。土曜日日曜日にも授業をしなければならなかった学生達は「日本はゴールデンウィークですが、中国はほんとうのゴールデンウィークではありません。イミテーションゴールドです」と言っていました。そして2009年は、イミテーションゴールドにもならない、働き過ぎ鉄人のアイアン(鉄)休暇、三連休。

 それでもめったにない三連休ですから、同僚の先生方は、それぞれ旅行にでかけました。が、私は5月9日締め切りの論文を仕上げねばならず、どこにも行かずに部屋に缶詰です。論文が仕上がったら、ちょっとは遊びたいです。

 当地も、今週になってようやく暖かくなり、やっとコートを脱ぎました。5月に入ると、一気に半袖シャツ。
 半袖で歩けるようになると、夕方の行動が自由になります。北にある当地は、寒くてもすでに夜は7時すぎまで明るい。5月6月7月は、8時くらいまでは暗くならないですから、5時半に仕事を終えたあとの外歩きができます。当地は治安がよいので、くらくなったあとの外歩きも、他のアジアの国のように「暗くなったら、女性の一人歩き厳禁」という土地ではないのですが、それでも、安全対策は外国暮らしの基本ですから、私は暗くなったら近所の繁華街やスーパー以外のところにはでかけないようにしていました。

 これからは、行き先がどこなのか知らないバス(市内1元、郊外2~5元)に終点まで乗って、終点で夕ご飯を食べ、また同じバスに乗って帰ってくる、という「1元バスツアー」を始めたいと思っています。

 ぜんぜん中国語できないおばちゃんが、簡体字の菜単(メニュー)を見て四苦八苦で注文するようすを、おもしろがる店の人たち。それらの町の人々を観察するのは、楽しいです。だいたいどこへでかけても、「南方人(ナンファンレン)か」とか「韓国人(ハングォレン)か」と、聞かれます。日本人など見かけないところへ行くので。

 今回の赴任では、中国語を覚えようという気がまったくおきません。話は筆談で、あとは、「これ」「いくら」「ください」などのカタコト中国語で生活するのに慣れてしまって、とりあえず不自由していないってこともあるし、今回は中国語を勉強する時間さえ取れない一日中、仕事だけの日々でした。
 まずは、労働者の日、メーデーには、日頃の労働の疲れをとって、ゆっくりと休んだり、買い物したりしましょう。

<つづく>
07:21 コメント(3) 編集 ページのトップへ
2009年05月02日


ニーハオ春庭「浅き夢みし酔ひもせす」
2009/05/02
ニーハオ春庭中国日記2009>メーデー連休(2)浅き夢みし酔ひもせす

 ゴールデンウィーク、楽しんでいますか。ああ、うらやましい。
 「外国人専門家宿舎」の同僚たちはみな旅行中。ひとり宿舎に残り、食堂のランチをテイクアウト(打包ダーパオ)している春庭です。休暇中も宿題の添削をつづけている働く春庭。

 今週の「日本語文型」の新しい表現のひとつは、「~がる」でした。感情感覚・心的状態を表す形容詞、たとえば、「うらやましい」は、「私は日本のゴールデンウィークがうらやましい」と言えるけれど、「彼は日本のゴールデンウィークがうらやましい」と言うことができません。(これは、オーソドックス日本語の場合。若い人は平気で言っていますが)
 教科書の文法解説には、「私」以外の第三者を主語とする場合「彼はうらやましがる」と言わなければならない、と書いてあります。「春庭さんは、日本のゴールデンウィークをうらやましがっている」と表現するのが、オーソドックス日本語です。

 でも、学生は、何を学んでも、「日本語って、わけわからん」と感じます。さまざまな質問を出してきます。
 短文作りの練習問題。「母の話では、幼稚園の時、私は犬をーーーーーーーーー」という問題文。後半に「こわい」の形を変えて記入し、文を完成させる問題です。
 ほとんどの学生が「母の話では、幼稚園の時、私は犬をこわかったそうです」とまちがえて書いていました。

 理由は、「彼」「彼女」など三人称のときは「~がる」をつかい、「私」のときは形容詞をそのまま使う、と文法解説に書いてあり、そう教わったから。
 この文で「怖い」という感情の持ち主は「私」。そして、「幼稚園のとき」は過去形になるから「こわかった」と、学生は考えました。

 学生への春庭解説。「こわい」や、他の心的状態の形容詞は、自分自身の現状について言う。その場合の助詞は「が」になる。「犬がこわい」。過去のときは「犬がこわかった」
 「私は犬がこわかった」これは、正しい文。しかし問題文は「犬を~」だから、「犬をこわかった」は、ダメ。
 問題文で「犬」を怖いと思っている主体は、「母の話の中に登場した幼稚園のときの私」だから、三人称として扱う。「現在の私」ではない。そして、「こわがる」の助詞は「を」になるから、「幼稚園の頃の私は、犬を怖がった」になる。

 濁点があるかないかのちがいだけで、「こわかった」「こわがった」の主格が決まり、助詞が変わる。学生達は「ああ、日本語ってややこしい」と言います。
 学生達、「日本語は難しい」と言いながらも、一生懸命宿題をこなし、会話を暗誦しています。そんな学生達に、うれしい三連休。

 私も、日本のゴールデンウィークをうらやましがりつつ、打包(ダーパオ)の昼ご飯を食べています。味気なく?いいえ、どんな食べ物もおいしいです。なにせ食べる以外に楽しみがないので。

 さて、せっかくの連休ですが、論文書きや宿題添削に飽きたからといって、遊びに出かける気にはなれず、昼寝でもして、あさき夢みし、といきますか。それともビールでも飲むか。
 今私が愛飲している中国ビール(啤酒ピージゥ)。「青島啤酒」「雪花啤酒」「哈爾濱啤酒」「銀瀑啤酒」など、日本のビールに比べてアルコール度数が低い。今飲んでいる北京燕京ビール、瓶ビール500mlでアルコール度数は3.6度です。(缶ビールだと2.5度くらい)これで酔うには、10本くらい飲まないと。
 連休とはいえ、中国ビール1本じゃ「酔(ゑ)ひもせす」「ん?」

<おわり>


2009/05/03
ニーハオ春庭>中国食材事情(1)カレー、すき焼き、貝さしみ

 今回の赴任3月以後、私が作った日本食は、味噌汁のみ。味噌はまだ日本から持参したのがあと数回分あります。終わったら、近所の日本食品輸入店で買わなければ。
 あとは、「S&B金牌[ロ加][ロ厘]、特売8元」を使ったカレーライス。(さまざまなスパイスをいれていく本格インドカレーではなく、固形のカレールゥを使うのは、日本国民食であるとみなす)。

 昨夜の夕食。誰もいない宿舎を出て、近所の「[ロ加][ロ厘]工房」という店へ。カレーライス、ハンバーグやステーキ、ピザ、スパゲッティなどがメニューにある店です。中国料理と朝鮮料理以外のものを、とりあえずラインナップしてみました、みたいなメニューで、英語がメニューについている。うなぎの蒲焼き丼とすき焼きがあったので、注文してみました。すき焼きは英語メニューでもSukiyakiです。

 出てきたモノは、、、、
 スキヤキは、完全に「これはすき焼きとは言わぬ」という料理法で、鉄鍋に醤油ベーススープを入れ、唐辛子を数本放り込む。これで、白菜、ほうれん草、しいたけ、春雨、豚肉ちょっぴり、豆腐、をぐつぐつと煮込んだもの。上に缶詰のコーンをトッピング。なぜか、韓国の餅である「トック」が入っている。韓国料理のトッポギとハイブリットしている。ちがうとは思ったけれど、全部食べた。

 鰻丼のほうは。うなぎ(たぶん)の蒸し焼きに日本のとはちょっと違うが、まあそれなりのタレがかかっている。ごはんの上にキャベツの千切り塩漬けが載せられ、その上にウナギが鎮座している。う~ん、キャベツは余分なんだけれど。キャベツだけ食べて、あとは打包。
 すき焼き18元、鰻丼18元にデザートのチョコレートパフェ10元。計46元の夕食。これなら、和食店「プチ北国」の「刺身定食50元」のほうがよかったかも。

 3月以降、私がこれまでの食べた一番高い食材は、カナダ(加拿大)産のバカでかい貝です。ウェイターが「これでいいか」と、テーブルまで食材を持ってきました。赤ちゃんの頭ほどの大きさで、日本では水族館でしか目にしたことがない種類の貝なので、メニューの「168元」という値段を確かめて注文しました。たまには贅沢しないと、と思って。

 最初は刺身が出てきました。醤油の皿がついていて、これにつけて食せ、というので、素直に醤油につけて食べたら、ものすごい量のわさびが入っていて、一口食べてすっ飛び上がって泣きました。サービス満点のつもりで大量に入れたのかもしれないけれど、多ければいいというもんでもない。
 次はしゃぶしゃぶ。これはとてもおいしかった。貝のほか、野菜や肉も入れて食べます。それから、貝スープ仕立ての雑炊。お腹一杯になってきました。

さて、「マイタン=お勘定」という段になって請求書をみてびっくり仰天。貝は500元という値段がついています。ビールやしゃぶしゃぶの肉や野菜と含めて、3人で700元(9500円)というけっこうな値段でした。貝を運んできたウェイターにとっては、自分の月給分と同じ値段です。日本だったら一人分3000円程度の会食はごく普通ですが、中国物価に慣れてしまうと、一人3000円は超贅沢な値段に思えます。

 メニューをもう一度みると、貝は「一斤(500g)168元」なのでした。ばかデカイ貝、ひとつで3斤(1,5kg)あったのです。今回は私のおごりとか言っておきながら、持ち合わせは250元しかなかったので、ワリカンにしてもらいました。もし、貝を注文しなければ、私の持ち合わせ分でおごれる値段でしたが、まあ、おいしかったから、いいか。一人では食べられない量と値段でした。

<つづく>
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2009年05月04日


ニーハオ春庭「四つ足のものは机以外何でも、の話ふたたび」
2009/05/04
ニーハオ春庭>中国食材事情(2)四つ足のものは机以外何でも、の話ふたたび

 「空飛ぶものは飛行機以外何でも食べる、四つ足のものは机以外何でも食べる」と言われるほど食材なんでもアリの中国ですが、火を通していないものは食べない。
 私が食べた貝も、刺身は要注意ですが、あれだけわさびが入っていれば、消毒にはなっていることでしょう。

 では、ここで中国食材クイズ。
 私は中国でこれまでに、サソリの唐揚げ、蚕サナギの唐揚げ、鳩、兎、犬、鶏の足とトサカ、豚の血の煮凝り、など、チャンスがあれば、何でも食べてきました。
 では、問題です。私がまだ食べていないもので、中国で食べることができる食材は次のうちどれでしょう。

(1)蚊 (2)鼠 (3)猿 (4)駱駝のこぶ (5)白鼻芯(ハクビシン)

 正解。全部食材。ただし、野生のハクビシンは数年前のサーズSARS大流行のとき、サーズウィルスの感染源の疑いが出て、捕獲が禁止され、市場に出回っていたハクビシンは処分されました。サーズさわぎも収まった今、食材として復活したかどうかは不明ですが、野生動物でなく、食用に飼育された動物は全部食べられると中国人は信じています。

 (2)の鼠も、野生の鼠を捕まえて食べるのではなく、食材として飼育された鼠の、毛がまだ生えていない赤ん坊を食べるのだと聞きました。鼠を食べるというと、「やだぁ」と言う人もいますが、私が「馬の肉の生、馬刺と言います、美味しいです」というと、中国人は、そんなゲテモノ、日本人はよく食べられるね、といいます。生肉なんて信じられないと。長野県では蜂の子が「珍味」となって、おいしく食べられている、と言っても、「ヤダァ」です。

 何を食べるかは、それぞれの食文化であり、自分たちが食べない食材は珍奇に感じられる、というだけの違いです。フランス料理ならエスカルゴ(かたつむり)も蛙肉も食べるのに、中国料理の鼠や朝鮮料理の犬はいやだ、というのは偏見です。

 食の本場広州市では、法律で野生動物の食用を禁じていますが、市場では、堂々と売られているそうです。野生か食用養殖かは不明ですが、朝暗いうちに売り子が市場に運び入れた生きている鼠、朝6時頃には売り切れる人気の食材です。広東人に言わせれば、生きている新鮮なものが一番だそうです。(魚の活け作り感覚?)
 レストランで供するネズミ料理、さまざまな料理方法があるけれど、「紅焼ホンシャオ・肉が赤くみえるくらいに唐辛子その他のスパイスをたっぷりつけて焼いた料理」が一番人気。値段は、一皿40~50元が相場で、結構高いのですって。
 鼠の旺盛な繁殖力が「人にもエネルギーをもたらす」と考えられているのか、薬膳料理にも使われるのだといいます。

 「生の魚を食べるなんて信じられない」という中国人がいると「そんなこと言わずに、一度食べてみればおいしいことがわかるよ」と言っています。私も、機会があれば、鼠料理も食べてみるつもりです。
 
 次回は蚊の料理紹介。

<つづく>
05:53 コメント(2) 編集 ページのトップへ
2009年05月05日


ニーハオ春庭「蚊の目玉のスープ」
2009/05/05
ニーハオ春庭>中国食材事情(3)蚊の目玉のスープ

 さて、今回の食材は、蚊です。「日本と中国の習慣、生活文化の異なる点を書いてきてください」という宿題を出したところ、学生のひとりは「中国では蚊を食べます」と書いてきました。え?蚊?英語のモスキートーのことですか?学生は、にこにこして「はい、中国では食べます。特別な料理です」
 蚊を食べるというのは、学生の説明によると、もともとは雲南省の少数民族料理だったらしい。それが四川料理にとりいれられたのだといいます。
 開高健は、世界食べ歩きの記録『最後の晩餐』に「蚊の目玉のスープ」を紹介しています。開高によると、世界で最たる珍味と言えるのが、四川料理の「蚊の目玉のスープ」
 これは、どんな料理かというと。

 コウモリのたくさんいる洞窟で蚊を食べるコウモリの糞を集め、それを水で洗う。蝙蝠の餌の蚊、眼玉だけは、固いキチン質なので消化されずに残っていて、それを集めてスープ仕立てとする。これが風味よく、コリコリとした食感が絶品だというだというのですが、、、、、

 中国薬膳3千年の伝統によれば、「蚊の目玉」は、漢方薬「夜明砂ヤメイシャ」として昔から薬効ありとされており、この漢方薬を使ったスープを「夜明菜心湯」、「夜明谷精湯」と呼ぶのだそうです。
 漢方薬「夜明砂(ヤメイシャ)」は、漢方薬の中国古典『本草備要』や『血証論』には、薬効が次のように書かれています。

 蝙蝠屎也 食蚊 砂皆蚊眼 故治目疾」『本草備要』、「蝙蝠食蚊而眼不化 其屎為夜明砂」『醫方集解』、「夜明砂 是蚊被蝙蝠食後所化之糞 蚊食人血 蝙蝠食蚊 故糞能去血」『血証論』
 日本語訳(春庭の拙訳なので、間違っている部分があるかもしれませんが)
「コウモリが蚊を食べると、糞中に砂のように固い目玉が残る。夜の明かりに見える砂のような目玉は、目の病に薬効がある。また血行に薬効がある」

 蝙蝠の糞の中にある蚊の目玉が風味がよい、というのは、理解できます。世界で一番高価なコーヒー豆、「コピルアック」というインドネシア産のコーヒー豆があります。ルアック(イタチ・狸に近い動物)がコーヒー豆を食べる。ルアックの糞を集め、消化されずに糞の中に残っていた豆を洗って使う。ルアックの体内で半ば発酵した豆は、特別な風味があるとされ、たいへん貴重品です。私はコピルアックを一回しか飲んだことがありません。

 蚊の目玉も、蝙蝠の体を通過することで、特別な風味をもつだろうと想像されます。辛いモノが苦手な私、日頃は町中の四川料理店にはあまり入ることがないのですが、機会があって、メニューに「夜明砂湯」があったら、注文してみます。高そうですね。

 今のところ食べるしか楽しみがないので、連日食べ物の話を続けています。
 昼ご飯は、大学職員食堂(大学から食券を無料でもらっている)で食べるか、宿舎食堂のランチ打包(ダーパオ=テイクアウト)です。宿舎のランチは、一食6元(90円)で、主食は米飯か蒸しパン(饅頭マントウ)かを選ぶ。おかず3品のうち、一品は肉か魚の料理。二品は野菜料理。家常菜と呼ばれている東北地方家庭料理です。

 ピーマン(青椒チンジャオ)と茄子(チエズ)ジャガイモ(土豆)を炒めた「地三鮮」、ジャガイモを糸のように細く千切りにしたものとセロリの炒め物、卵とトマトの炒め物などが私のお気に入り。卵は高いので、ごちそう食材になります。私は蚊の目玉より、鶏の玉子のほうが食べたい。
 次回は卵について。

<つづく>
03:52 コメント(6) 編集 ページのトップへ
2009年05月06日


ニーハオ春庭「生麦生米生卵」
2009/05/06
ニーハオ春庭>中国食材事情(4)生麦生米生卵

 5月5日こどもの日、皆様は祝日を楽しくお過ごしになったことと存じます。春庭、4日も5日も6日も仕事です。
 日本の空には鯉のぼりが泳いでいることでしょう。授業でも、鯉のぼりの写真を見せて、日本の風習として紹介しました。
 こどもの日の思い出。三人姉妹の家なのに、幼い妹は鯉のぼりを欲しがりました。父が小さ目の鯉のぼりを買ってきて、毎年庭の洗濯物干しの柱の上に飾ってくれました。「鯉じゃないよ、鰯だよ」なんて笑いながらこどもの日をすごしたころを思い出します。

 中国では旧暦の端午の節句を祝います。6月はじめに「端午節」としてお祝いし、三連休になります。端午の節句には、粽(ちまき)を家族そろって食べるならわし。日本の中華ちまきは、中に豚肉などを入れてある肉粽が多いですが、中国粽は、何もいれずに、餅米にほんのり甘みをつけているのが基本です。どの家にも「我が家のチマキ」があり、みな「うちのおかあさんの粽が一番」と思っています。

 子供のころの「我が家の味」の思い出。朝ご飯は何と言っても「生卵かけご飯」です。
 子供の頃、我が家の庭では鶏を飼っていて、毎朝、産みたてのまだあたたかい卵をご飯にかけて食べていました。母がフスマ、刻んだ野菜やトウモロコシなど天然自然のエサを与えていました。抗生物質をエサにまぜるような現代の卵とは大違いの新鮮な卵、今思えば、最高の「ぜいたく朝ご飯」だったのだと思い起こします。毎朝「また卵?」なんて文句言っていたのは、罰当たりなことでした。
 母が鶏を飼っていたのは、当時は卵が高くて我が家の経済では毎日なんて買えなかったから。毎朝食べるには、鶏を飼うのが一番。10羽くらいいたので、家族5人分は産み立てが食べられました。

 中国人学生が私の話をきいて「信じられな~い」と言った食べ物の話。日本事情クイズのひとつとして出題した卵の自動販売機について。
 「自動販売機は、どこにでもあります」という教科書にのっている例文の解説に、ずらりと並んだ自動販売機の写真をパワーポイントスライドで見せて、「日本には、自動販売機がどこにでもあります。富士山の頂上にもあります。自動販売機では、何でも売っています。ではクイズ。」
 
 クイズ日本事情:日本では自動販売機で卵が買えます。○?×?

 日本の自動販売機普及は、世界でも珍しい光景です。とにかく何でも自動販売機で売っている。私の東京の住まいの近くには、卵の自動販売機があったと話し、「産地直送の生卵なので、スーパーで買うより新鮮」と話すと、みな信じられない、という顔をします。「日本の卵は、新鮮なら生で食べることができる」という話も、半信半疑で受け止められます。
 「生卵をご飯にかけて食べるのが、子供の頃の私の毎日の朝ご飯でした」と話したのですが、そんな食べ方があるとは「信じられな~い」なのです。
 朝鮮料理のビビンバの上に生卵がのせられて出てきますが、器が熱々の鉄で、かき混ぜて熱を通すので、卵は煮えてしまいます。ご飯茶碗に生の卵を入れてそのまま食べるという食べ方は、「蚊の目玉を食べる」と聞いたのと同じくらい、奇妙な食べ方に思えるみたい。

 中国で、生卵は食べてはいけません。卵の衛生管理が行き届いていない場合があるので、賞味期限が切れていないとしても、生で食べることは厳禁。2007年の赴任時、チュンツォン先生は韓国料理屋で食事し、ビビンバの上に乗っていた生卵にあたって入院しました。

 卵は、1個1元くらいのものは、高いほう。もっと安いのもあります。私は8個で6元というのを購入。1個1元(15円)という値段は、中国食品物価にすると高いです。高いものでも必ず火をとおす。というか、中国では、火を通して熱々を食べるのが食事であって、生の魚などは食べる人がいません。都会の高級和食店では、刺身がメニューにありますが、一般の人は食べません。熱々でない料理はおいしいと感じないのです。刺身がコースにあるとしたら、涼菜(前菜)扱いで、メインディッシュにはならないでしょう。

 毎朝の卵に文句を言ってもバチに当たったことはなかったけれど、チュンツォン先生のように生卵にあたるような目にもあいたくないと願いつつ、中国食生活を楽しみたいと思います。

<つづく>
04:31 コメント(6) 編集 ページのトップへ
2009年05月07日


ニーハオ春庭「猿脳」
2009/05/07
ニーハオ春庭>中国食材事情(5)猿脳

投稿者:w******* 2009-05-05 20:30
蚊の目玉はともかく、猿の目玉でも出てきたらどうします?
スープの中からジッと睨む目を食べられますか?

 という、コメントをいただきました。中国ではむろん、スープの中から見つめる猿の目玉をにらみ返しつつ、おいしくスープをすするのです。私はたぶん、にらめっこに負けてしまうだろうけれど、猿の目玉ごときに負けていては、中国食生活はまっとうできません。本日は、猿の頭の料理について。

 「食は広州にあり」とも言われ、広州の「何でも食べる」は、中国でも有名。猿の脳みそ料理も、広州料理では「高級食材」として知られています。猿脳は、中国南方、ベトナム、台湾では、薬膳食材です。
 19世紀に、清の張海漚 (チャンハイオウZhang Hai Ou) によって著された『曼陀羅軒話』には、中国中の様々な地域の漢方薬や食材について記されています。16世紀に中国全土を旅した将軍によって記述されたものを転記した記述のなかに、将軍が出席した祝宴で生きた猿脳が供される描写があるんですって。(漢文を直接読んだわけじゃありませんので、あくまで伝聞)

 この話は後代に伝わり、だれもそれを食べたことも食べるところを見たこともないのに、「生きた猿の脳味噌料理」として有名になっているのです。
 「生きた猿をテーブルの下にくくりつける。穴をあけたテーブルから頭だけが出ている。頭蓋骨を割って、新鮮な脳に酒を混ぜて食べる」という食べ方が、「だれも見たことないのに、ほんとうのこととして信じられている」話のひとつになっています。

 う~ん、信じがたいが。机以外の四つ足、何でも食べるのですから、ほんとうなのかもしれません。私にはウェ~と感じられる食べ方ですが、「日本では、馬の肉を生で食べる」と言うと、「ウェ~」と、気味悪がられるので、どっちもどっちです。

 私が牛の脳みそ料理を食べたのは、遙か昔、30年前のケニア東海岸でのことでした。モンバサという海岸の町へ遊びにいき、イスラム料理の店に行って注文しました。いとこのミチコや夫もいっしょにいたのですが、同じ料理を注文したのだったと思います。豆腐のようなフワフワした食感で、おいしく食べました。現代ではメニューにあっても、牛の脳はBSEを警戒するから、猿脳よりも食べるには勇気がいるかも。

 牛脳は食べられましたが、マサイ族の家に行ったとき、牛の血に薬草を入れてかき混ぜたものを「体にいいから」とすすめられたときは、「仏教徒だから、血は飲めない。これは宗教上の理由なので、しかたがない」とか言って、断ってしまいました。エセ仏教徒、どんな肉でも食べているのに、生血だけはだめでした。薬草をまぜて、風味よくしてあるというのですが、、、。もう一度マサイ族の家にいくチャンスがあったら、今度こそ。

 今回の中国滞在で、同僚に高級料理店でおごってもらい、豚の血の煮凝りを食べました。やみつきになるというほどではなかったけれど、おいしかった。ヨーロッパでも血を腸詰めにしたおいしいソーセージが何種類もあります。
 食材、火を通してあればとりあえず何でも食べられる。

 アジアのある地方では、特大サイズのゴキブリ(の一種だろうと思う)を唐揚げにして、ぱりぱりとスナック菓子のようにおつまみにするというし、何をどう食べるのか、ということは、その地域の食文化なので、私としては、地元で食べられている食材は何でも食べてみたいとは思っています。

 さて、16世紀の中国将軍が賞味したという「猿の脳」を供されたら、、、、、、
 う~ん、やっぱり「仏教徒なので、これはちょっと、、、」とか言うかもしれません。「ノウ・サンキュウ」
 エヘヘ、今回のシリーズのオチは基本的オヤジギャグ。

<おわり>


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