20151028
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>2015十五夜満月日記10月(4)雨の鎌倉だるダル散歩
10月16日金曜日、逗子駅までミサイルママと歩いている間は大丈夫でしたが、隣の鎌倉駅に降りたら雨が降り出しました。何の計画もない鎌倉散歩。ただ行き当たりばったりに歩こうと思っていたので、目の前に大仏前経由藤沢行きというバスが来たので、乗りました。大仏前で降りたけれど、まだ7時半。大仏様の開門は8時でした。
まあ、カメラでも用意して待っていようと思って、リュックの中を見たけれど、カメラがない。さあ、たいへん。カメラは、シゲさんが貸してくれたものなのです。私のカメラは、ヤンゴンのお寺のトイレに落としてしまった、という話を笑いながら聞いて、「今、手持ちのカメラがふたつある。ひとつは、夏のダイビング用に買った完全防水のカメラ。来年のダイビングシーズンまで使わないから、貸してあげる」と、貸してくださった。親切に甘えたはいいが、さて、そのカメラはどこ?
まだ電車の中であろうミサイルママに、「借りたカメラを逗子に置いてきてしまったらしい。シゲさんに、そのへんに置きっ放しになっていないか、さがしてもらって」と、メールしました。
そんなメールをしているうちに、開門になったので、大仏の前へ。金曜日の8時。雨の大仏の前には、どこの撮影チームなんだかカメラクルー1組のほかは、参拝者男性一人女性ひとり。ほとんど人がいない、私にしては初めての「大仏のまわりに人がいない」というシチュエーションなのに、大仏様を撮るカメラもない。シゲさんにカメラ弁償しなきゃならないけれど、ダイビング用防水カメラっていくらぐらいするもんなのだろう、と思いながらの参拝だから、せっかくの美男の顔を拝むのも、気もそぞろ。
境内一回りして、与謝野晶子の「かまくらやみほとけなれど釈迦牟尼は美男におわす夏木立かな」の歌碑を眺める。
「晶子はこの大仏は阿弥陀様だと知っていながらあえて実存した釈迦牟尼っていうことにしたのか、それともほんとうにお釈迦様だと思っていたのか」という、毎回大仏を見るたびに考える疑問をもう一度考える。そして、毎回のように結論は出ない。
鎌倉時代の史書『吾妻鏡』には、1252(建長4)年に「深沢里にて金銅八丈の釈迦如来像の造立が開始された」と書かれていて、一般には「釈迦如来像は、阿弥陀像の誤記」とされているのだって。晶子は、吾妻鏡に書かれていることを利用してあえて、釈迦牟尼としたのか、それとも、美男だから実在の人物、と単純に考えたのか。
まあ、歌の鑑賞は心に響くかどうかが重要で、釈迦でも阿弥陀でもいいのかもしれないけれど、春庭説をご披露。
日本語音声学を15年教えている間に、日本語母音と子音の響きに敏感になったので。
「カマクラ」という「K」音の響きに響き合うのは、Amidaという母音中心の音よりも「Shaka muni」という「K」音を含み、シャカという摩擦音破裂音のあとにムニという鼻音でやわらげる名のほうが、ずっと全体の響きがよくなる、ということ。
長谷寺まで歩いて行ったが、長谷寺も開門前でした。開門まで待つ気が失せたので、江ノ電長谷駅へ。江ノ電は、鎌倉江ノ島間は乗ったことがあるけれど、藤沢まで行ったのことがないので、雨で傘さして歩くのもたいへんなので、今日は乗り鉄に徹しようかと。
藤沢まで、乗り鉄、一番前の車両に乗り込み、運転士さんの肩越しに前方を眺められて楽しかったです。雨が降っているので、ワイパーの動きが少し邪魔だったけれど。
鎌倉の海は、海なし群馬県生まれの私が初めて海水浴をしたところ。初めて海を見た60年前に重ねながら藤沢まで行きました。
江ノ電乗り鉄
藤沢駅前のミスドに入る。コーヒーとドーナツのトレイを持って2階席に登ったら、階段終わったところでよろけて、コーヒーはドーナツの上と床にぶちまけられる。リュックがバランス悪いし、よろけるような年寄りは1階席にしておけっていうの。
店員さんに「モップ貸してください」と、申し出たら、掃除は店員さんがしてくれた上、もう一度コーヒーとドーナツをサービスしてくれました。藤沢駅前ミスタードーナツ店さん、ありがとう。
コーヒーを飲んでいると、池袋の職場に着いたミサイルママから「部屋を探したけれど、カメラはないって。e-Naちゃん、もう一度リュックの中を全部探してみて」という返事。
もしも、移動途中で落としてしまったのだとしたら、たいへんです。私は、リュックのファスナーを閉め忘れて、中のものを落とす、なんてのはしょっちゅうやらかしてきたので。ミスドのテーブルに、リュックの中のものを全部広げました。
あれれ、リュックの内ポケットになにやら、、、、ありました。そうだ、人様の借り物をなくしたらたいへんと思って、内ポケットの奥に入れたこと、すっかり忘れていた。
ミサイルママに「すみません、もう一度探したら、ありました。ミスドのコーヒーこぼして、服がコーヒーかぶってしまい、もう人様に迷惑かけたバツは受けているので、シゲさんに、e-Naを叱らないように、頼んでおいてね」と、メール。
あとで、シゲさんからは「笑っちゃいます」という返事がきました。
私は、ジャズダンス発表会の衣装をどこかにしまい忘れて、ミサイルママに2度買ってきてもらったり、これまでもさんざん迷惑をかけているのですが、今回はシゲさんにまで迷惑をかけてしまいました。お恥ずかし。これで、シゲさんにも、私の「うっかり粗忽迷惑キャラ」がしっかり伝わったことでしょう。
だが、鎌倉のドジは、これだけではおわりませんでした。
江ノ電乗り鉄、藤沢から鎌倉に戻りました。本日の主な目的は、鶴岡八幡宮の隣にある鎌倉近代美術館。いつもはJR鎌倉駅から小町通りを通って行くのに、江ノ電鎌倉駅に降りたら、方向音痴の私、たちまち迷いました。途中で線路踏切を見つけて、線路を渡り、小町通りに。雨の平日なれど小町通りは、散歩のオバサングループと、社会科見学の小学生で、混み混み。途中の小間物屋で、漆塗りのスプーンを買う。娘は金属アレルギーなので、金属のスプーンやフォークを持って食べると手が赤くなる。
やっとたどり着いた鎌倉近代美術館。お目当ての展示は、17日土曜日がオープンで、16日金曜日は展示準備の休館日。ガ~ン。
しかたないから、いつもはパスしている鶴岡八幡宮の宝物館に入りました。自動販売機で200円の入館料を払って入り、受付のパンフレットを一枚もらったら、巫女姿バイト嬢に、パンフレット要るなら、入館料の他にお賽銭を払え、と言われる。無料と思ったので手に取ったのに、賽銭とるなら、最初から「有料パンフレット」と書いておけっての。
でも、展示物の説明が必要と思うので、賽銭箱に100円入れる。読むと、パンフレットは、鶴岡八幡宮の説明のみ。宝物の解説は書いてない。「展示物の説明はないのですか」と尋ねると、巫女嬢は、「展示の脇に書いてあるから読んでください」という。読んでも忘れるからと思って説明書きの写真を撮ろうとしたら、カメラ出しただけで「撮影禁止です」と、叱られた。しかも、展示宝物の三分の二は、複製品でした。これじゃ「宝物館」じゃなくて「宝物複製品館」ではないか。入館料は無料にすべきだ。ショーモないと思いながら複製品の「鎌倉時代の十二単」など見る。となりで見物のご夫婦は「あらあ、鎌倉時代の着物なのに、色がよく残っている」と、感心している。だから、複製なんだよ。
鶴岡八幡宮
シゲさんが「知り合いが鎌倉に手打ち蕎麦の店だしたので、鎌倉で昼ご飯食べるなら、行ってやって」と紹介してくれたので、新出店の蕎麦屋めざして、バスに乗る。最寄りのバス停でおりて渡された店の名刺の電話に連絡。「青砥橋前のバス停から、浄妙寺バス停へ戻るんですね」と念を押すと「はい、左側です。店の前に出ています」と電話に出た女性が言う。浄妙寺バス停まで戻る間、それらしき蕎麦屋はなかったので、もう一度電話。なんと、青砥橋から戻るのではなく、先へ進むのだった。電話に出た店主らしき人に「でも、さきほどの女性は青砥橋から浄妙寺へ戻るんですねと、私が尋ねたら、そうですと答えたのですよ。昼営業は3時までとあるのですが、今2:45なのに、今から行って食べられるのですか」と、尋ねる。OKというので、しかたない、また青砥橋まで戻り少し行くと、電話の女性が迎えに出ていた。「すみません、ご案内になれていなくて」と、謝るので「これだけ往復歩いたので、おなかがすいて、おそばがいっそうおいしくいただけると思います」と、言う。
古民家蕎麦屋「青海波」
屋号の青海波は、雅楽の曲名ですが、ご主人は伝統文様の青海波から名付けたと。
築80年の古民家を改築して蕎麦屋開店にこぎ着けた、という、店主こだわりの店構え。昭和10年ころの建物を、家主の代が変わるたびにリフォームしてきたので、最初とはだいぶ変わっているかも知れないけれど、どうしても和風の家で蕎麦屋を開きたくて長年物件を探してきたそうです。
青海波室内
しばし、待つうち、てんぷら蕎麦が来た。おいしかったが、1700円は、私には高価な蕎麦になる。日頃エキナカ立ち食い450円のかき揚げ蕎麦を食している身には、立ち食い蕎麦より2倍は美味、というのは確実だが、3倍美味しいかといえば、そうではない。蕎麦値段は1000円で、古民家見物代が700円と思うことにした。
エビ天ぷら1本と蕎麦3分の1くらい食べてから「そうそう、写真」と思って食べたので、天ぷらも蕎麦も減っていますが。
鶴岡八幡宮前の蕎麦屋では、蕎麦ランチが1000円だった。たぶん、それよりはいいそば粉を使っていたりするんだろうけれど。なんせ鎌倉と言っても青砥橋の先では、フリの観光客は来ない。知り合いの間の口コミで「蕎麦の味がわかる」客層を開拓するしかないだろう。しばらくは経営がたいへんかも。まあ、逗子には金持ちがいっぱいいるというので、常連客がつくことを期待しよう。
私はいつもの早食いなので、3時30分には食べ終わってしまう。
浄妙寺まで歩いて戻り、華頂の宮邸を見ることにする。
前回の見学で、「お屋敷が建てられた時、華頂の宮は臣籍降下して華頂侯爵になっていたのだから、華頂侯爵邸と表記すべきなのに、保存管理公開にあたる鎌倉市が、宮邸を名乗るのは、侯爵邸より宮邸のほうがエラそうだと考える鎌倉市小役人のスノッブ価値観の表明である」と、ケチをつけた。
もう一度見ておこう、と思ったのは、ときたまある無料のアクセス解析で、「華頂の宮」「不倫」という検索キーワードで春庭サイトにやってくる人が、一定数いることが、わかったからです。華頂の宮邸にまつわる不倫スキャンダルを「こぼれ話」として書いておいたことが、人の興味を引くとは。世の中、スキャンダル好きが多いのね。
しかし華頂の宮邸に着いたら、3時で閉館だった。ガ~ン。なんてツイてない鎌倉だったことか。朝の大仏からダメダメで、複製品宝物見て蕎麦食べただけで終わり。美術館もお屋敷見物もできず。
華頂の宮邸、塀の外から撮りました。
バスで鎌倉駅に戻り、JR湘南新宿ラインで帰宅。金曜日夜の、ジャズダンスに行くからね、とミサイルママに約束したけれど、疲れたから家に帰って寝てしまった。
10月17日金曜日雨の鎌倉見物。
雨の大仏、見るまで開門30分待ち。江ノ電往復600円。鶴岡八幡宮宝物複製品見物200円。新開店古民家蕎麦屋で天ぷら蕎麦1700円。以上。
いいこともあった鎌倉散歩。
ミサイルママ、お弁当のマフィンサンドおいしゅうございました。ありがとう。シゲさん、カメラ騒動を笑って許してくれて、ありがとう。
<おわり>