11/06 音楽の秋(1)伍芳の中国古箏演奏
11/07 音楽の秋(2)月下独酌
11/08 音楽の秋(3)ガラスの箏
11/09 音楽の秋(4)古箏、琴、尺八
11/10 音楽の秋(5)アフリカンドラム
11/11 音楽の秋(6)コンゴのロキト
11/12 音楽の秋(7)コンゴの求愛ダンスを踊る
11/13 音楽の秋(8)アメイジンググレイス
11/14 音楽の秋(9)バラアイスとジャズスタンダード
2007/11/06 火
ぽかぽか春庭やちまた日記>音楽の秋(1)伍芳の中国古箏演奏
10月27日土曜日に、北トピアつつじホールで、「日中箏饗宴 中国の音色日本の音色」というコンサートに出かけました。
とてもすばらしいコンサートだったので、紹介したいと思います。
コンサートもバレエや演劇公演も大好きなんですけれど、映画をシニア席千円でみるのとちがい、コンサートなどは、私にとっては、チケット少々お高いものが多うございます。
「中国古箏」のコンサートも、チケット前売り5千円、当日5500円。
チケット自腹で聞くなら、夕食のおかず代にひびくところだったのですが、持つべきは良き友。友人が招待券をゆずってくれました。
古い友人のK先生、関西在住。
13年前に中国で仕事をしたときの同僚で、宿舎が隣の部屋同士でした。夏休みに娘と息子がいっしょに暮らしている間、子どもたちにもとても親切にしていただいた方でした。
引っ越し先の住所がわからなくなり、何年か年賀状の交換もなくなっていたのですが、今年、私が再び中国で仕事をしたことから、いろんな方へのリレー探索で、連絡先がわかりました。
8月に帰国後、メールで連絡しあって、9月に会いました。久しぶりのおしゃべり、楽しくお話がはずみました。
その中で、K先生の教え子さんの何人かのお話も出ました。
K先生の教え子さん、日本での留学を終えて帰国した人もいますし、日本で仕事を得て働いている人たちもいます。
教え子さんたちのなかで、K先生にとって忘れられないひとりが、K先生がかって教えていた独立行政法人の日本語学校卒業生。京都大学に進学した「伍さん」という人。
とても優秀な方で、将来を嘱望されていたのに、1995年阪神淡路大震災のとき、下宿先で亡くなりました。
だれもがその才能を惜しむ、中国上海出身の美しい留学生でした。
K先生は上海と日本を往復して、ご両親をなぐさめてきました。ご両親と同じく、悲嘆にくれていた妹さんをも慰め、励まし続けました。
この妹さんが、伍芳さん。亡くなった伍さんの妹さんは、中国古箏の演奏家です。
伍芳さんは、9歳から古箏の練習をはじめました。
1990年に上海音楽学校を主席で卒業したのち、来日。お姉さんとともに勉学に励みました。
1995年、お姉さんを地震で失うという悲しいできごとに遭いましたが、お姉さんへの慎魂の曲を古箏に表現し、1996年に東芝EMIからデビュー。これまでに通算9枚のアルバムを出しています。
私はそのうちの3枚をもっており、伍芳の箏のしらべをCDで聞いてきました。
様々なジャンルの音楽家と共演してきた伍芳さんですが、今回のコンサートは、若手邦楽演奏家との共演。
日本と中国の琴の共演、尺八を加えたトリオの演奏も、すばらしい音色でした。
<つづく>
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2007年11月07日
ぽかぽか春庭「月下独酌」
2007/11/07 水
ぽかぽか春庭やちまた日記>音楽の秋(2)月下独酌
10月27日の演奏、日頃、邦楽をあまり聞かないという人にも、中国箏の演奏を初めて聴いたという人にも、すばらしい曲の数々で、音楽の持つ力って、ほんとうにすごいものだなあ、と改めて感じるひとときになりました。
みやざきみえこさんは、日本の琴の演奏家作曲家で、現在はフランスで活躍しています。
伍芳さんといずれアヤメかカキツバタの美女です。
「邦楽界の貴公子」と渾名されている尺八演奏家の藤原道山さん。ハンサムです。
4時からの第一部では、みやざきさん伍芳さんのそれぞれのソロ曲と13絃琴と21絃箏の二重奏。
琴のみやざきえみこさん。芸大邦楽科卒業後、ピアノやオーケストラなどさまざまな人との共演をし、また作曲活動も続けてきました。
みやざきさんは、竹下夢二作詞の「宵待草」をうたいながら演奏しました。声も美しかったです。
そういえば、昔、私の姉が生田流のお琴の稽古に通っていたころ、私は「お琴の演奏だけならいいけれど、歌いながら演奏するのがいやだから、私は琴のお稽古に通う気はない」と言った覚えがあります。
「さくらさくら」くらいなら歌いもするけれど、なんだか古くさい歌ばかり並んでいるので、そういう古いうたを歌うのはごめん被ると、生意気盛りの私は思ってしまったしだい。
伍芳とみやざきの箏と琴の二重奏は、火花が散るような迫力の音で、みやざき作曲の「月下独酌」も、伍芳作曲の「撥水節」も、すごかった。
「月下独酌」は、李白の詩に想を得た作品。伍芳は、中国語で詩を読んでくれました。
李白「月下独酌」
花間一壷酒 独酌無相親 挙杯邀明月 対影成三人
月既不解飲 影徒随我身 暫伴月将影 行楽須及春
我歌月徘徊 我舞影凌乱 醒時同交歓 酔後各分散
永結無情遊 相期遥雲漢
(拙訳:春庭)
花の間に酒壷ひとつ ひとり手酌で飲んでいる 杯を挙げて明月を招き、我が影もいれて三人となる
月はもともと飲めないし、影も私に寄り添うだけだが しばし、月と影とを伴って、春を楽しむことにしよう
私が歌えば月は経巡り、私が舞えば影も乱舞す 酒の間はともに楽しみ、酔ったのちにはそれぞれ分かれる 永く結ぶはこの交遊、次は天にて落ち合おうよ
<つづく>
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2007年11月08日
ぽかぽか春庭「ガラスの箏
2007/11/08
ぽかぽか春庭やちまた日記>音楽の秋(3)ガラスの箏
5時すぎからの第二部の最初に、ハリオガラス制作の「ガラス琴」の演奏がありました。
中国古箏をガラスで制作し、21本の絃をはってあります。
このような大きな型を、吹きガラスで作ることは世界に例がなく、ガラス製造の精粋技術を会社をあげて追求した結果、透明なきらめく箏ができあがりました。
曲目は『里の秋』
透明でとても美しいガラスの琴から、高く繊細な音色が響いてきます。
演奏する伍芳にとっても、はじめてのガラス琴演奏なので、緊張したそうです。
ハリオグラスは、自社のガラス製作技術を高めるために、ガラスでバイオリンやチェロなどの楽器を制作しています。
ガラス琴は、総制作費3250万円かかったそうで、「職人の手吹き技術による、世界初・世界最大のガラス楽器」だそうです。
http://www.hario.com/whatsnew/violin.html
我ら凡俗は、ガラス琴の値段が「ウン千万」と聞いただけで「ヒェー」と思います。
伍芳が「今日のコンサート、この世界一のガラス楽器の音をきいただけでも、モトがとれてます」と、冗談を言ったら、聴衆みな「うん、うん」と、納得していました。
もちろんガラス琴だけではなく、みやざきみえこさんの琴演奏も、藤原道山さんの尺八もすばらしい演奏で、モトがとれるコンサートでした。私は招待券入場だけれど。
尺八の藤原道山さんは、10歳から尺八の稽古をはじめ、人間国宝山本邦山に師事、東京芸大で邦楽を専攻、大学院を修了した新進気鋭の演奏家です。
なによりもイケメン!女性のファンが多いんじゃないかしら。
道山さんもさまざまなジャンルの人と共演を続けており、山田洋二監督木村拓哉主演の『武士の一分』では、映画音楽の分野でもその演奏を生かしました。
「武士の一分」に触発されたのか、2007年に結成されたチェロとピアノと組んだユニットの名前は「kobudo 古武道」です。
<つづく>
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2007年11月09日
ぽかぽか春庭「古箏、琴、尺八」
2007/11/09 金
ぽかぽか春庭やちまた日記>音楽の秋(4)古箏、琴、尺八
第二部は、デュオとトリオ。
琴のみやざきみえこさん。伍芳との二重奏もよかったです。
また、みやざきさんと藤原道山さんのふたりで組んでいる「イースト・カレント(東の流れ)」という名のデュオは、日本だけでなく、アメリカでの演奏も好評をはくしてきたというコンビなので、息ぴったりの二重奏でした。
尺八と琴デュオ「みつばち」これはみやざきみえこ作曲。おなじく、尺八と琴でビアソラの「オブリビオン」
伍芳と藤原道山の二重奏は、お正月といえば必ずこの曲が流れてくる「春の海」。
いつもは尺八と琴の合奏曲ですが、今回は伍芳が古箏で「春の海」に挑戦。
1956年に作曲者の宮城道雄が亡くなってから、50年。昨年の12月に著作権が切れているので、今は「演奏し放題」なんですって。
尺八、琴、古箏のトリオでは、マシコタツロウ作曲の「春告鳥」と伍芳作曲の「永遠の道」アンコールではみやざきみえこ作曲「秋の**」(タイトル忘れた)が演奏されました。
どの曲もすばらしいコラボレーション、アンサンブル。圧倒的な音色が響きました。
このコンサートは、東京都北区が毎年開催している北トピア国際音楽祭「世界の古楽」のひとつ。さまざまな「伝統的楽器」による、各国の演奏をとりあげている、ユニークな音楽祭です。
今年2007年は、「世界の古楽、テーマは伝説」
ヴェルサイユ宮殿で人気だった古楽器ヴィオルとクラブサンの演奏、韓国のパンソリ、スウェーデンの伝統音楽など、多彩な演目が10月28日から11月17日まで、行われています。
10月27日の「日中箏饗宴」は、そのプレ企画で、ボランティアさんが自主的に企画運営をしたイベントです。
北トピアでは同時開催イベントとして「琴のルーツ古箏、一絃、五絃、七絃の各琴」の展示や、一絃琴の演奏がありました。
「一絃の琴」は、宮尾登美子が直木賞を得た作品のタイトルとして知っているものの、目の前で演奏するのを見たのは初めてでした。
秋のひととき、琴と古箏と尺八の音色にひたりました。
<伍芳の古箏おわり、アフリカンドラムへとつづく>
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2007年11月10日
ぽかぽか春庭「アフリカンドラム」
2007/11/10
ぽかぽか春庭やちまた日記>音楽の秋(5)アフリカンドラム
ケニアの首都ナイロビでアフリカンダンスを習ったのも、もう遙か遠い昔のことになりました。
私、1979年から1980年にかけて、ナイロビでダンス修行をしました。
アフリカンドラムの強烈なリズムにあわせて、手ふり腰ふり、足踏みをして踊るのは楽しかった。足のリズムがむずかしくて、覚えられなかったけれど。
2分の2拍子、ワルツの三拍子くらいまではなんとかなるけれど、アフリカンビートの8分の5拍子など、複雑なリズム、むずかしい。
ケニアなどアフリカでは、子どもでもなんなくこなすこのビートが、アジア農耕民族には調子がとれなくなる。
今でもアフリカンミュージックが聞こえると、踊りたくなります。
アフリカンミュージックの主役はドラム。
木の胴体に皮を張ったドラム。タムタム、ジェンベなど、さまざまな種類があります。
アフリカンドラム、東アフリカ西アフリカ南アフリカ、それぞれの地域に独自のドラムがあるけれど、10月28日、コンゴの首都キンシャサからきた「ロキト」というパーカッショングループのドラム演奏をききました。
ロキトとは、アフリカ・コンゴのリンガラ語で「大きな音」「おおいなる響き」という意味だそうです。
コンゴのリンガラ語は、アフリカ・バントゥ諸語のひとつ。私が習った東アフリカのスワヒリ語もバントゥ諸語のひとつですから、親戚にあたることばです。
ケニアとコンゴ民主共和国は、ウガンダを間にはさんで、東側にケニア、西側にコンゴが位置している赤道アフリカの国で、コトバも文化も近隣関係にあります。
リンガラ語でひとつだけ、覚えやすい語を紹介します。
ネコはnyau ニャウ、または、niau ニァウといい、鳴き声がそのまま名詞になっています。
日本語のネコは「ネウ、ニェウ」という泣き声を語源とするという説をとるなら、リンガラ語の発想と同じですね。
「肉」は、スワヒリ語と同じニャマです。「火」「熱い/暑い」をmotoというのも同じ。共通している単語、調べればもっともっと見つかるでしょう。
メンバーのうち、モフランは1987年に来日しました。劇団四季のミュージカル初演時に初代パーカッショニストとして出演したのをはじめ、日本のアフリカンミュージックシーンをリードしてきました。日本でくらして20年になります。
日本語でのMCも達者なもので、「しゃべるのは慣れたけれど、漢字は苦手。でも、好きな漢字があるよ。品川。かわいいね。ボックス、ボックス、ボックス、箱三つで品。ラインラインライン、ライン3つで川、おもしろいね」
B・B・モフランさんのブログ
http://blog.livedoor.jp/bbmofranck/archives/2006-12.html
<つづく>
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2007年11月11日
ぽかぽか春庭「コンゴのロキト」
2007/11/11 日
ぽかぽか春庭やちまた日記>音楽の秋(6)コンゴのロキト
コンゴのミュージカルグループ「ロキトLokito」
ロキトのMC、モフランさんは、ユーモアを交えながら、メンバーの名前を紹介をしました。
「一番背が高い人、ムクナ。ムクナはね、名前おもしろいよ。日本語でいうと山っていう意味」
ムクナ・チャカトゥンバは、パーカッション、アフリカンドラムとボーカル、キーボード担当。
「一番背が低い人、名前、面白いよ。日本語でブタの反対。タブー」
タブー・ンゴンゴは、アルトサックス、パーカッション、ボーカル担当。
ケニア・マンゲレパでの活動を経て、1987年に初来日。1992年から日本に拠点をおいて音楽活動を続けている。
「次はね、名前、おもしろいよ。自転車じゃないよ、自動車じゃないよ、エドシャです」
エドシャは、パーカッション、ボーカル担当。
「チャールズ・カプトゥ」は、パーカッション&ダンサー。体型はちょいメタボ系ですが、柔軟かつダイナミックな踊りを見せました。
「山」という意味のムクナも、モフランと同じくライオンキングの初代パーカッショニスト。ロキトのほか、「ムクナバンド」を率いて、アフリカ音楽の演奏家として活躍中。
他のメンバーもそれぞれ、さまざまな音楽活動を行っています。
ロキトの楽器は、5人のメンバーが8個のコンガドラムと1つの腰に抱えるドラムを入れ替わりでたたきます。
そのほか木のパーカッションや、カバサというマラカスのようなシャシャシャッという音の出る楽器、同じくシャッシャと鳴るシェイカーなど。
絶妙のアンサンブルで、リズムを刻み、リンガラ語の歌をうたう。
「アフリカのリズム、むずかしいよ。ウンは休んでね、タンとタタは手拍子。はい、ウン、タン、ウン、タンタタ、ウン、タン、ウン、タンタタ、これ、9分の8拍子ね」
モフランは9分の8拍子といいましたが、ウン、タン、ウン、タン、タタは、8分の5拍子じゃないかと思います。私も数字に弱いけれど、たぶん、西洋音楽のリズムでいうと、8分の5にあたる。
観客、8分の5拍子のリズム、上手に手拍子を打っていました。
アフリカンビートは、複雑にリズムがかわり、いろんな拍子が組み合わさったり、途中で入れ替わったりします。
アメリカ大陸に渡った人々によって、レゲエやサルサ、サンバなどさまざまなリズムも生まれて、世界の人になじみの音楽となっているので、私がナイロビでダンス修行をしたころに比べると、皆、楽しそうにリズムにのっていました。
<つづく>
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2007年11月12日
ぽかぽか春庭「コンゴの求愛ダンスを踊る」
2007/11/12
ぽかぽか春庭やちまた日記>音楽の秋(7)コンゴの求愛ダンスを踊る
ロキトの演目は、リンガラポップスと呼ばれるアフリカンポップスから伝統的なコンゴ音楽まで、幅ひろい。
「ヤヨ」「カタコリソ」などの歌やドラム合奏。
「♪カタコリソ、カタコリソ~」と繰り返してうたいながら、「日本の人、この歌きくと、肩がこってくるね。ちがうよ。カタコリソは、肩こらない歌だよ」と、モフランがで笑わせます。
「ムペンデ」は、チャールズのコンゴダンスパフォーマンス。
見ているうちに、ナイロビのボーマスオブケニアでアフリカンダンスの練習に参加したころのことが思い出されてきます。踊りたくなってきます。
ライブハウスなどでの公演では、観客がみな踊り出すということだったのですが、私が見ていた「まちかどコンサート」では、年配の方が多く、楽しんではいますが、いっしょに踊るところまではいかないみたい。
「男性が求婚するときのセレモニーの踊りをこれからやります。ボランティアの人、手伝って」と、モフランが観客に呼びかけたのですが、反応なし。
「まちかどコンサート」は、区の無料のコンサートであり、ボランティアスタッフがいろいろなお手伝いをしています。
観客は、モフランがそのボランティアスタッフに呼びかけているのだと思って、だれも反応しないのです。
それで、私が「ボランティア」で手をあげました。あわよくば、アフリカンドラムに乗って踊れるかと思ったの。
でも、私の役目は、求婚される女性として、椅子にじっと座っているだけ。わー、つまんない。
求婚されるにはちょいとトウが立ちすぎているボランティア。
でも、観客のほとんどは、私より年上の60代70代のじいちゃんばあちゃんばかりだったのだから、私でも「若手」のうちよ。
チャールズ・カプトゥがメタボなおなかをゆすって、自分のパワーを女性に示し、結婚申し込みを受け入れるようにアピールしてきます。
女性は、3度ことわらなければなりません。それも求婚の儀式のうち。4度目にようやくOKを出します。カプトゥ、フィアンセの前で喜びのダンス。
ええい、花嫁にも踊らせんかい!
ただ椅子に座っているだけのボランティア参加でしたが、ま、楽しかったです。
<アフリカンドラムおわり、パイプオルガン&ソプラノへつづく>
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2007年11月13日
ぽかぽか春庭「アメイジンググレイス」
2007/11/13
ぽかぽか春庭やちまた日記>音楽の秋(8)アメイジンググレイス
「無料、タダ、ご招待、ご自由にお持ち帰りください」が大好きな春庭にとって、東京に住んでいて「いいこと」のいくつか。
ティッシュペーパーを街角ごと駅前ごとに配っているので、ティッシュペーパーを買わずにすむこと。
無料のコンサートがあちこちで開催されること。
毎月2回行われる「ホクトピアのパイプオルガン演奏会」も、無料で音楽を楽しめるイベントです。
10月は、27日土曜日に、広瀬奈緒のソプラノと荻野由美子のパイプオルガンのデュオコンサートがありました。
広瀬さんは、英国王立音楽大学(ロイヤル・カレッジ・オブ・ミュージック)に2001年に入学し、2003年には最優秀賞を得て首席卒業。古楽のコンクールでたびたび入賞し、活躍しています。
荻野さんは、東京芸大でオルガンを専攻。各地の教会やコンサートホールでの演奏を行う一方、後進の指導にあたっています。
10月27日に聞いた曲は、オルガンソロで柿沼唯作曲「エコーとナルキッソス」
私の苦手な現代音楽でした。
ラストの曲が、オルガンとソプラノデュオで、モーツァルトの「アレルヤ」と、イギリス民謡「アメージング・グレイス」
「アメイジング・グレイス」は、私も大好きな曲で、自分でもよく口ずさんでいます。広瀬さんの美しいのびやかな声は、この曲にぴったりでした。
アメイジンググレイスは、もともとイギリスに伝わった曲に、ジョン・ニュートン(1725~1807)が詩をつけたものです。アメリカでは黒人霊歌となって、広まりました。
黒人奴隷貿易を生業としていたニュートンは、黒人をアメリカに運んだことを悔い、後半生を神に仕えてすごしました。
ニュートンが詩をつけた曲は、奴隷としてアメリカに渡った黒人たちによって盛んに歌われるようになりました。
現在では、たくさんの歌手がカバー曲をレコーディングしているので、好きなバージョンで聞くことができます。
また、賛美歌として教会で歌われることも多い。
今年12月21日は、ジョン・ニュートンが亡くなってからちょうど200年。この曲はますます人々の心の歌として世界中で歌われていくことでしょう。
Amazing Grace by John Newton 驚くべきみ恵み (拙訳:春庭)
Amazing grace! how sweet the sound 驚くべき み恵みよ! なんと甘い響き
That sav'd a wretch like me! 神は私のようにあわれな者も救われた
I once was lost, but now am found, 私は見失われていたけれど今見いだされたのだ
Was blind, but now I see. 私は何も見ることができないでいたが、今は見える
'Twas grace that taught my heart to fear, み恵みは、私の心に畏れることを教えてくれた
And grace my fears reliev'd; そして 私を恐怖から解き放った
How precious did that grace appear, なんと貴いこの恵みの現れ
The hour I first liev'd! 私が初めて信じた時
Thro' many dangers, toils and snares, 多くの危険と苦悩と罠を越えて
I have already come; 私はやってきた
'Tis grace has brought me safe thus far, このみ恵みは、長く私に平安もらしてくれた
grace will lead me home. み恵みが、私を天の家へ導いてくれる
The Lord has promis'd good to me, 主は私に良きことを約束なさった
His word my hope secures; 主の言葉は、私の望みをお守りくださる
He will my shield and portion be, 主は私の盾となり私の一部となる
As long as life endures. 命のながらえる限り
Yes, when this flesh and heart shall fail,そう、この肉体と心が朽ちて
And mortal life shall cease; 限りある命が終わるとき
I shall possess, within the veil, 私は帳(とばり)の中に隠されている
A life of joy and peace. 喜びと平和の命を得るだろう
The earth shall soon dissolve like snow, いつかは地球も雪のように消えるだろう
The sun forbear to shine; 太陽も輝きを失うだろう
But God, who call'd me here below, しかし私に呼びかけてくれた神は
Will be forever mine. 常に私とともにあるだろう
アメイジンググレイス・オルゴールバージョン
http://home.g01.itscom.net/midi/songs/grace-mb.MID
<アメイジンググレイスおわり ジャズスタンダードへつづく>
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2007年11月14日
ぽかぽか春庭「薔薇アイスとジャズスタンダード」
2007/11/14
ぽかぽか春庭やちまた日記>音楽の秋(9)薔薇アイスとジャズスタンダード
秋も深まった旧古河庭園。秋咲きのバラが庭を彩り咲き誇っています。
庭園に入園して、まず売店で薔薇入りアイスクリーム200円を購入。四阿(あずまや)で食べました。
春庭、芸術の秋より、まずは食欲の秋なので。
バラアイスクリームには、「旧古河庭園」というシールがはってあるけれど、製造者は、鹿児島の大隅バラ農場。
添加物を使わない無農薬のバラをアイスの中にいれてあるといううたい文句。
最近では、赤福も比内地鶏もみんなウソばかりだけど、このバラアイス、バラの花盛りに食べる雰囲気のよさもあって、おいしくいただきました。
大隅バラ農場の手作り工房バラアイスのHP
http://www.roseice.com/
おみやげに「バラ羊羹」も買いました。こちらも「旧古河庭園ばらの花ようかん」というラベルが貼ってありますが、販売会社は盛岡市の長登屋NK。
白あん羊羹にバラの花びらが練り込んであります。
家に帰ってから「痛快!羊羹一本丸かじり」で食べました。
バラの庭を見て、芝生広場の「秋バラ音楽会」をききました。
10月28日は、小松みゆきさんのスタンダードジャズ。
小松みゆきさんのオフィシャルHP
http://music.geocities.jp/jazzmiyuki/index.html
オールオブミー、チャップリンのスマイル、フライトゥザムーンなどのスタンダードナンバーのほか、中島みゆきの「かもめ」など、大人のムードで聞くことができました。
ベース志村洋一、ギター西村俊哉、ドラムス野村綾乃。
ドラムの野村さん、女性ドラマーも昨今は珍しくなくなったとはいえ、その経歴が、千葉県市原市出身。武蔵野美術大学建築学科卒。同大ジャズ研出身ときくと、え~、建築家目指していたのかあ、と珍しく思います。
ジャズは、曲のところどころに、ソロパートが入ります。ドラムソロ、いい感じでした。
私はジャズは、まったく聞き慣れていないので、どういうのがテクニックが上で、どういうのが下手なのか、よくわかっていないのですが、野村さんのドラムは、とても心地よかったです。
野村綾乃さんのHP
http://geocities.yahoo.co.jp/gb/sign_view?member=ayano_ds
旧古河邸をバックにしてステージがしつらえられ、観客は芝生に思い思いに座ってききます。
午後3時開演にやわらかな秋の日差しが降り注ぎ、隣では親子4人連れが楽しそうにじゃれながら聞いていました。台風一過で空がとてもきれい。久しぶりに青空を満喫。
音楽を楽しむ秋。バラアイスも美味しかったし、いい一日になりました。
「音楽の秋」というシリーズでしたが、結局最後はアイスやら羊羹やら「食欲の秋」になってしまうのが私ですが、、、、
<音楽の秋、おわり>
11/07 音楽の秋(2)月下独酌
11/08 音楽の秋(3)ガラスの箏
11/09 音楽の秋(4)古箏、琴、尺八
11/10 音楽の秋(5)アフリカンドラム
11/11 音楽の秋(6)コンゴのロキト
11/12 音楽の秋(7)コンゴの求愛ダンスを踊る
11/13 音楽の秋(8)アメイジンググレイス
11/14 音楽の秋(9)バラアイスとジャズスタンダード
2007/11/06 火
ぽかぽか春庭やちまた日記>音楽の秋(1)伍芳の中国古箏演奏
10月27日土曜日に、北トピアつつじホールで、「日中箏饗宴 中国の音色日本の音色」というコンサートに出かけました。
とてもすばらしいコンサートだったので、紹介したいと思います。
コンサートもバレエや演劇公演も大好きなんですけれど、映画をシニア席千円でみるのとちがい、コンサートなどは、私にとっては、チケット少々お高いものが多うございます。
「中国古箏」のコンサートも、チケット前売り5千円、当日5500円。
チケット自腹で聞くなら、夕食のおかず代にひびくところだったのですが、持つべきは良き友。友人が招待券をゆずってくれました。
古い友人のK先生、関西在住。
13年前に中国で仕事をしたときの同僚で、宿舎が隣の部屋同士でした。夏休みに娘と息子がいっしょに暮らしている間、子どもたちにもとても親切にしていただいた方でした。
引っ越し先の住所がわからなくなり、何年か年賀状の交換もなくなっていたのですが、今年、私が再び中国で仕事をしたことから、いろんな方へのリレー探索で、連絡先がわかりました。
8月に帰国後、メールで連絡しあって、9月に会いました。久しぶりのおしゃべり、楽しくお話がはずみました。
その中で、K先生の教え子さんの何人かのお話も出ました。
K先生の教え子さん、日本での留学を終えて帰国した人もいますし、日本で仕事を得て働いている人たちもいます。
教え子さんたちのなかで、K先生にとって忘れられないひとりが、K先生がかって教えていた独立行政法人の日本語学校卒業生。京都大学に進学した「伍さん」という人。
とても優秀な方で、将来を嘱望されていたのに、1995年阪神淡路大震災のとき、下宿先で亡くなりました。
だれもがその才能を惜しむ、中国上海出身の美しい留学生でした。
K先生は上海と日本を往復して、ご両親をなぐさめてきました。ご両親と同じく、悲嘆にくれていた妹さんをも慰め、励まし続けました。
この妹さんが、伍芳さん。亡くなった伍さんの妹さんは、中国古箏の演奏家です。
伍芳さんは、9歳から古箏の練習をはじめました。
1990年に上海音楽学校を主席で卒業したのち、来日。お姉さんとともに勉学に励みました。
1995年、お姉さんを地震で失うという悲しいできごとに遭いましたが、お姉さんへの慎魂の曲を古箏に表現し、1996年に東芝EMIからデビュー。これまでに通算9枚のアルバムを出しています。
私はそのうちの3枚をもっており、伍芳の箏のしらべをCDで聞いてきました。
様々なジャンルの音楽家と共演してきた伍芳さんですが、今回のコンサートは、若手邦楽演奏家との共演。
日本と中国の琴の共演、尺八を加えたトリオの演奏も、すばらしい音色でした。
<つづく>
00:11 コメント(2) 編集 ページのトップへ
2007年11月07日
ぽかぽか春庭「月下独酌」
2007/11/07 水
ぽかぽか春庭やちまた日記>音楽の秋(2)月下独酌
10月27日の演奏、日頃、邦楽をあまり聞かないという人にも、中国箏の演奏を初めて聴いたという人にも、すばらしい曲の数々で、音楽の持つ力って、ほんとうにすごいものだなあ、と改めて感じるひとときになりました。
みやざきみえこさんは、日本の琴の演奏家作曲家で、現在はフランスで活躍しています。
伍芳さんといずれアヤメかカキツバタの美女です。
「邦楽界の貴公子」と渾名されている尺八演奏家の藤原道山さん。ハンサムです。
4時からの第一部では、みやざきさん伍芳さんのそれぞれのソロ曲と13絃琴と21絃箏の二重奏。
琴のみやざきえみこさん。芸大邦楽科卒業後、ピアノやオーケストラなどさまざまな人との共演をし、また作曲活動も続けてきました。
みやざきさんは、竹下夢二作詞の「宵待草」をうたいながら演奏しました。声も美しかったです。
そういえば、昔、私の姉が生田流のお琴の稽古に通っていたころ、私は「お琴の演奏だけならいいけれど、歌いながら演奏するのがいやだから、私は琴のお稽古に通う気はない」と言った覚えがあります。
「さくらさくら」くらいなら歌いもするけれど、なんだか古くさい歌ばかり並んでいるので、そういう古いうたを歌うのはごめん被ると、生意気盛りの私は思ってしまったしだい。
伍芳とみやざきの箏と琴の二重奏は、火花が散るような迫力の音で、みやざき作曲の「月下独酌」も、伍芳作曲の「撥水節」も、すごかった。
「月下独酌」は、李白の詩に想を得た作品。伍芳は、中国語で詩を読んでくれました。
李白「月下独酌」
花間一壷酒 独酌無相親 挙杯邀明月 対影成三人
月既不解飲 影徒随我身 暫伴月将影 行楽須及春
我歌月徘徊 我舞影凌乱 醒時同交歓 酔後各分散
永結無情遊 相期遥雲漢
(拙訳:春庭)
花の間に酒壷ひとつ ひとり手酌で飲んでいる 杯を挙げて明月を招き、我が影もいれて三人となる
月はもともと飲めないし、影も私に寄り添うだけだが しばし、月と影とを伴って、春を楽しむことにしよう
私が歌えば月は経巡り、私が舞えば影も乱舞す 酒の間はともに楽しみ、酔ったのちにはそれぞれ分かれる 永く結ぶはこの交遊、次は天にて落ち合おうよ
<つづく>
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2007年11月08日
ぽかぽか春庭「ガラスの箏
2007/11/08
ぽかぽか春庭やちまた日記>音楽の秋(3)ガラスの箏
5時すぎからの第二部の最初に、ハリオガラス制作の「ガラス琴」の演奏がありました。
中国古箏をガラスで制作し、21本の絃をはってあります。
このような大きな型を、吹きガラスで作ることは世界に例がなく、ガラス製造の精粋技術を会社をあげて追求した結果、透明なきらめく箏ができあがりました。
曲目は『里の秋』
透明でとても美しいガラスの琴から、高く繊細な音色が響いてきます。
演奏する伍芳にとっても、はじめてのガラス琴演奏なので、緊張したそうです。
ハリオグラスは、自社のガラス製作技術を高めるために、ガラスでバイオリンやチェロなどの楽器を制作しています。
ガラス琴は、総制作費3250万円かかったそうで、「職人の手吹き技術による、世界初・世界最大のガラス楽器」だそうです。
http://www.hario.com/whatsnew/violin.html
我ら凡俗は、ガラス琴の値段が「ウン千万」と聞いただけで「ヒェー」と思います。
伍芳が「今日のコンサート、この世界一のガラス楽器の音をきいただけでも、モトがとれてます」と、冗談を言ったら、聴衆みな「うん、うん」と、納得していました。
もちろんガラス琴だけではなく、みやざきみえこさんの琴演奏も、藤原道山さんの尺八もすばらしい演奏で、モトがとれるコンサートでした。私は招待券入場だけれど。
尺八の藤原道山さんは、10歳から尺八の稽古をはじめ、人間国宝山本邦山に師事、東京芸大で邦楽を専攻、大学院を修了した新進気鋭の演奏家です。
なによりもイケメン!女性のファンが多いんじゃないかしら。
道山さんもさまざまなジャンルの人と共演を続けており、山田洋二監督木村拓哉主演の『武士の一分』では、映画音楽の分野でもその演奏を生かしました。
「武士の一分」に触発されたのか、2007年に結成されたチェロとピアノと組んだユニットの名前は「kobudo 古武道」です。
<つづく>
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2007年11月09日
ぽかぽか春庭「古箏、琴、尺八」
2007/11/09 金
ぽかぽか春庭やちまた日記>音楽の秋(4)古箏、琴、尺八
第二部は、デュオとトリオ。
琴のみやざきみえこさん。伍芳との二重奏もよかったです。
また、みやざきさんと藤原道山さんのふたりで組んでいる「イースト・カレント(東の流れ)」という名のデュオは、日本だけでなく、アメリカでの演奏も好評をはくしてきたというコンビなので、息ぴったりの二重奏でした。
尺八と琴デュオ「みつばち」これはみやざきみえこ作曲。おなじく、尺八と琴でビアソラの「オブリビオン」
伍芳と藤原道山の二重奏は、お正月といえば必ずこの曲が流れてくる「春の海」。
いつもは尺八と琴の合奏曲ですが、今回は伍芳が古箏で「春の海」に挑戦。
1956年に作曲者の宮城道雄が亡くなってから、50年。昨年の12月に著作権が切れているので、今は「演奏し放題」なんですって。
尺八、琴、古箏のトリオでは、マシコタツロウ作曲の「春告鳥」と伍芳作曲の「永遠の道」アンコールではみやざきみえこ作曲「秋の**」(タイトル忘れた)が演奏されました。
どの曲もすばらしいコラボレーション、アンサンブル。圧倒的な音色が響きました。
このコンサートは、東京都北区が毎年開催している北トピア国際音楽祭「世界の古楽」のひとつ。さまざまな「伝統的楽器」による、各国の演奏をとりあげている、ユニークな音楽祭です。
今年2007年は、「世界の古楽、テーマは伝説」
ヴェルサイユ宮殿で人気だった古楽器ヴィオルとクラブサンの演奏、韓国のパンソリ、スウェーデンの伝統音楽など、多彩な演目が10月28日から11月17日まで、行われています。
10月27日の「日中箏饗宴」は、そのプレ企画で、ボランティアさんが自主的に企画運営をしたイベントです。
北トピアでは同時開催イベントとして「琴のルーツ古箏、一絃、五絃、七絃の各琴」の展示や、一絃琴の演奏がありました。
「一絃の琴」は、宮尾登美子が直木賞を得た作品のタイトルとして知っているものの、目の前で演奏するのを見たのは初めてでした。
秋のひととき、琴と古箏と尺八の音色にひたりました。
<伍芳の古箏おわり、アフリカンドラムへとつづく>
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2007年11月10日
ぽかぽか春庭「アフリカンドラム」
2007/11/10
ぽかぽか春庭やちまた日記>音楽の秋(5)アフリカンドラム
ケニアの首都ナイロビでアフリカンダンスを習ったのも、もう遙か遠い昔のことになりました。
私、1979年から1980年にかけて、ナイロビでダンス修行をしました。
アフリカンドラムの強烈なリズムにあわせて、手ふり腰ふり、足踏みをして踊るのは楽しかった。足のリズムがむずかしくて、覚えられなかったけれど。
2分の2拍子、ワルツの三拍子くらいまではなんとかなるけれど、アフリカンビートの8分の5拍子など、複雑なリズム、むずかしい。
ケニアなどアフリカでは、子どもでもなんなくこなすこのビートが、アジア農耕民族には調子がとれなくなる。
今でもアフリカンミュージックが聞こえると、踊りたくなります。
アフリカンミュージックの主役はドラム。
木の胴体に皮を張ったドラム。タムタム、ジェンベなど、さまざまな種類があります。
アフリカンドラム、東アフリカ西アフリカ南アフリカ、それぞれの地域に独自のドラムがあるけれど、10月28日、コンゴの首都キンシャサからきた「ロキト」というパーカッショングループのドラム演奏をききました。
ロキトとは、アフリカ・コンゴのリンガラ語で「大きな音」「おおいなる響き」という意味だそうです。
コンゴのリンガラ語は、アフリカ・バントゥ諸語のひとつ。私が習った東アフリカのスワヒリ語もバントゥ諸語のひとつですから、親戚にあたることばです。
ケニアとコンゴ民主共和国は、ウガンダを間にはさんで、東側にケニア、西側にコンゴが位置している赤道アフリカの国で、コトバも文化も近隣関係にあります。
リンガラ語でひとつだけ、覚えやすい語を紹介します。
ネコはnyau ニャウ、または、niau ニァウといい、鳴き声がそのまま名詞になっています。
日本語のネコは「ネウ、ニェウ」という泣き声を語源とするという説をとるなら、リンガラ語の発想と同じですね。
「肉」は、スワヒリ語と同じニャマです。「火」「熱い/暑い」をmotoというのも同じ。共通している単語、調べればもっともっと見つかるでしょう。
メンバーのうち、モフランは1987年に来日しました。劇団四季のミュージカル初演時に初代パーカッショニストとして出演したのをはじめ、日本のアフリカンミュージックシーンをリードしてきました。日本でくらして20年になります。
日本語でのMCも達者なもので、「しゃべるのは慣れたけれど、漢字は苦手。でも、好きな漢字があるよ。品川。かわいいね。ボックス、ボックス、ボックス、箱三つで品。ラインラインライン、ライン3つで川、おもしろいね」
B・B・モフランさんのブログ
http://blog.livedoor.jp/bbmofranck/archives/2006-12.html
<つづく>
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2007年11月11日
ぽかぽか春庭「コンゴのロキト」
2007/11/11 日
ぽかぽか春庭やちまた日記>音楽の秋(6)コンゴのロキト
コンゴのミュージカルグループ「ロキトLokito」
ロキトのMC、モフランさんは、ユーモアを交えながら、メンバーの名前を紹介をしました。
「一番背が高い人、ムクナ。ムクナはね、名前おもしろいよ。日本語でいうと山っていう意味」
ムクナ・チャカトゥンバは、パーカッション、アフリカンドラムとボーカル、キーボード担当。
「一番背が低い人、名前、面白いよ。日本語でブタの反対。タブー」
タブー・ンゴンゴは、アルトサックス、パーカッション、ボーカル担当。
ケニア・マンゲレパでの活動を経て、1987年に初来日。1992年から日本に拠点をおいて音楽活動を続けている。
「次はね、名前、おもしろいよ。自転車じゃないよ、自動車じゃないよ、エドシャです」
エドシャは、パーカッション、ボーカル担当。
「チャールズ・カプトゥ」は、パーカッション&ダンサー。体型はちょいメタボ系ですが、柔軟かつダイナミックな踊りを見せました。
「山」という意味のムクナも、モフランと同じくライオンキングの初代パーカッショニスト。ロキトのほか、「ムクナバンド」を率いて、アフリカ音楽の演奏家として活躍中。
他のメンバーもそれぞれ、さまざまな音楽活動を行っています。
ロキトの楽器は、5人のメンバーが8個のコンガドラムと1つの腰に抱えるドラムを入れ替わりでたたきます。
そのほか木のパーカッションや、カバサというマラカスのようなシャシャシャッという音の出る楽器、同じくシャッシャと鳴るシェイカーなど。
絶妙のアンサンブルで、リズムを刻み、リンガラ語の歌をうたう。
「アフリカのリズム、むずかしいよ。ウンは休んでね、タンとタタは手拍子。はい、ウン、タン、ウン、タンタタ、ウン、タン、ウン、タンタタ、これ、9分の8拍子ね」
モフランは9分の8拍子といいましたが、ウン、タン、ウン、タン、タタは、8分の5拍子じゃないかと思います。私も数字に弱いけれど、たぶん、西洋音楽のリズムでいうと、8分の5にあたる。
観客、8分の5拍子のリズム、上手に手拍子を打っていました。
アフリカンビートは、複雑にリズムがかわり、いろんな拍子が組み合わさったり、途中で入れ替わったりします。
アメリカ大陸に渡った人々によって、レゲエやサルサ、サンバなどさまざまなリズムも生まれて、世界の人になじみの音楽となっているので、私がナイロビでダンス修行をしたころに比べると、皆、楽しそうにリズムにのっていました。
<つづく>
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2007年11月12日
ぽかぽか春庭「コンゴの求愛ダンスを踊る」
2007/11/12
ぽかぽか春庭やちまた日記>音楽の秋(7)コンゴの求愛ダンスを踊る
ロキトの演目は、リンガラポップスと呼ばれるアフリカンポップスから伝統的なコンゴ音楽まで、幅ひろい。
「ヤヨ」「カタコリソ」などの歌やドラム合奏。
「♪カタコリソ、カタコリソ~」と繰り返してうたいながら、「日本の人、この歌きくと、肩がこってくるね。ちがうよ。カタコリソは、肩こらない歌だよ」と、モフランがで笑わせます。
「ムペンデ」は、チャールズのコンゴダンスパフォーマンス。
見ているうちに、ナイロビのボーマスオブケニアでアフリカンダンスの練習に参加したころのことが思い出されてきます。踊りたくなってきます。
ライブハウスなどでの公演では、観客がみな踊り出すということだったのですが、私が見ていた「まちかどコンサート」では、年配の方が多く、楽しんではいますが、いっしょに踊るところまではいかないみたい。
「男性が求婚するときのセレモニーの踊りをこれからやります。ボランティアの人、手伝って」と、モフランが観客に呼びかけたのですが、反応なし。
「まちかどコンサート」は、区の無料のコンサートであり、ボランティアスタッフがいろいろなお手伝いをしています。
観客は、モフランがそのボランティアスタッフに呼びかけているのだと思って、だれも反応しないのです。
それで、私が「ボランティア」で手をあげました。あわよくば、アフリカンドラムに乗って踊れるかと思ったの。
でも、私の役目は、求婚される女性として、椅子にじっと座っているだけ。わー、つまんない。
求婚されるにはちょいとトウが立ちすぎているボランティア。
でも、観客のほとんどは、私より年上の60代70代のじいちゃんばあちゃんばかりだったのだから、私でも「若手」のうちよ。
チャールズ・カプトゥがメタボなおなかをゆすって、自分のパワーを女性に示し、結婚申し込みを受け入れるようにアピールしてきます。
女性は、3度ことわらなければなりません。それも求婚の儀式のうち。4度目にようやくOKを出します。カプトゥ、フィアンセの前で喜びのダンス。
ええい、花嫁にも踊らせんかい!
ただ椅子に座っているだけのボランティア参加でしたが、ま、楽しかったです。
<アフリカンドラムおわり、パイプオルガン&ソプラノへつづく>
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2007年11月13日
ぽかぽか春庭「アメイジンググレイス」
2007/11/13
ぽかぽか春庭やちまた日記>音楽の秋(8)アメイジンググレイス
「無料、タダ、ご招待、ご自由にお持ち帰りください」が大好きな春庭にとって、東京に住んでいて「いいこと」のいくつか。
ティッシュペーパーを街角ごと駅前ごとに配っているので、ティッシュペーパーを買わずにすむこと。
無料のコンサートがあちこちで開催されること。
毎月2回行われる「ホクトピアのパイプオルガン演奏会」も、無料で音楽を楽しめるイベントです。
10月は、27日土曜日に、広瀬奈緒のソプラノと荻野由美子のパイプオルガンのデュオコンサートがありました。
広瀬さんは、英国王立音楽大学(ロイヤル・カレッジ・オブ・ミュージック)に2001年に入学し、2003年には最優秀賞を得て首席卒業。古楽のコンクールでたびたび入賞し、活躍しています。
荻野さんは、東京芸大でオルガンを専攻。各地の教会やコンサートホールでの演奏を行う一方、後進の指導にあたっています。
10月27日に聞いた曲は、オルガンソロで柿沼唯作曲「エコーとナルキッソス」
私の苦手な現代音楽でした。
ラストの曲が、オルガンとソプラノデュオで、モーツァルトの「アレルヤ」と、イギリス民謡「アメージング・グレイス」
「アメイジング・グレイス」は、私も大好きな曲で、自分でもよく口ずさんでいます。広瀬さんの美しいのびやかな声は、この曲にぴったりでした。
アメイジンググレイスは、もともとイギリスに伝わった曲に、ジョン・ニュートン(1725~1807)が詩をつけたものです。アメリカでは黒人霊歌となって、広まりました。
黒人奴隷貿易を生業としていたニュートンは、黒人をアメリカに運んだことを悔い、後半生を神に仕えてすごしました。
ニュートンが詩をつけた曲は、奴隷としてアメリカに渡った黒人たちによって盛んに歌われるようになりました。
現在では、たくさんの歌手がカバー曲をレコーディングしているので、好きなバージョンで聞くことができます。
また、賛美歌として教会で歌われることも多い。
今年12月21日は、ジョン・ニュートンが亡くなってからちょうど200年。この曲はますます人々の心の歌として世界中で歌われていくことでしょう。
Amazing Grace by John Newton 驚くべきみ恵み (拙訳:春庭)
Amazing grace! how sweet the sound 驚くべき み恵みよ! なんと甘い響き
That sav'd a wretch like me! 神は私のようにあわれな者も救われた
I once was lost, but now am found, 私は見失われていたけれど今見いだされたのだ
Was blind, but now I see. 私は何も見ることができないでいたが、今は見える
'Twas grace that taught my heart to fear, み恵みは、私の心に畏れることを教えてくれた
And grace my fears reliev'd; そして 私を恐怖から解き放った
How precious did that grace appear, なんと貴いこの恵みの現れ
The hour I first liev'd! 私が初めて信じた時
Thro' many dangers, toils and snares, 多くの危険と苦悩と罠を越えて
I have already come; 私はやってきた
'Tis grace has brought me safe thus far, このみ恵みは、長く私に平安もらしてくれた
grace will lead me home. み恵みが、私を天の家へ導いてくれる
The Lord has promis'd good to me, 主は私に良きことを約束なさった
His word my hope secures; 主の言葉は、私の望みをお守りくださる
He will my shield and portion be, 主は私の盾となり私の一部となる
As long as life endures. 命のながらえる限り
Yes, when this flesh and heart shall fail,そう、この肉体と心が朽ちて
And mortal life shall cease; 限りある命が終わるとき
I shall possess, within the veil, 私は帳(とばり)の中に隠されている
A life of joy and peace. 喜びと平和の命を得るだろう
The earth shall soon dissolve like snow, いつかは地球も雪のように消えるだろう
The sun forbear to shine; 太陽も輝きを失うだろう
But God, who call'd me here below, しかし私に呼びかけてくれた神は
Will be forever mine. 常に私とともにあるだろう
アメイジンググレイス・オルゴールバージョン
http://home.g01.itscom.net/midi/songs/grace-mb.MID
<アメイジンググレイスおわり ジャズスタンダードへつづく>
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2007年11月14日
ぽかぽか春庭「薔薇アイスとジャズスタンダード」
2007/11/14
ぽかぽか春庭やちまた日記>音楽の秋(9)薔薇アイスとジャズスタンダード
秋も深まった旧古河庭園。秋咲きのバラが庭を彩り咲き誇っています。
庭園に入園して、まず売店で薔薇入りアイスクリーム200円を購入。四阿(あずまや)で食べました。
春庭、芸術の秋より、まずは食欲の秋なので。
バラアイスクリームには、「旧古河庭園」というシールがはってあるけれど、製造者は、鹿児島の大隅バラ農場。
添加物を使わない無農薬のバラをアイスの中にいれてあるといううたい文句。
最近では、赤福も比内地鶏もみんなウソばかりだけど、このバラアイス、バラの花盛りに食べる雰囲気のよさもあって、おいしくいただきました。
大隅バラ農場の手作り工房バラアイスのHP
http://www.roseice.com/
おみやげに「バラ羊羹」も買いました。こちらも「旧古河庭園ばらの花ようかん」というラベルが貼ってありますが、販売会社は盛岡市の長登屋NK。
白あん羊羹にバラの花びらが練り込んであります。
家に帰ってから「痛快!羊羹一本丸かじり」で食べました。
バラの庭を見て、芝生広場の「秋バラ音楽会」をききました。
10月28日は、小松みゆきさんのスタンダードジャズ。
小松みゆきさんのオフィシャルHP
http://music.geocities.jp/jazzmiyuki/index.html
オールオブミー、チャップリンのスマイル、フライトゥザムーンなどのスタンダードナンバーのほか、中島みゆきの「かもめ」など、大人のムードで聞くことができました。
ベース志村洋一、ギター西村俊哉、ドラムス野村綾乃。
ドラムの野村さん、女性ドラマーも昨今は珍しくなくなったとはいえ、その経歴が、千葉県市原市出身。武蔵野美術大学建築学科卒。同大ジャズ研出身ときくと、え~、建築家目指していたのかあ、と珍しく思います。
ジャズは、曲のところどころに、ソロパートが入ります。ドラムソロ、いい感じでした。
私はジャズは、まったく聞き慣れていないので、どういうのがテクニックが上で、どういうのが下手なのか、よくわかっていないのですが、野村さんのドラムは、とても心地よかったです。
野村綾乃さんのHP
http://geocities.yahoo.co.jp/gb/sign_view?member=ayano_ds
旧古河邸をバックにしてステージがしつらえられ、観客は芝生に思い思いに座ってききます。
午後3時開演にやわらかな秋の日差しが降り注ぎ、隣では親子4人連れが楽しそうにじゃれながら聞いていました。台風一過で空がとてもきれい。久しぶりに青空を満喫。
音楽を楽しむ秋。バラアイスも美味しかったし、いい一日になりました。
「音楽の秋」というシリーズでしたが、結局最後はアイスやら羊羹やら「食欲の秋」になってしまうのが私ですが、、、、
<音楽の秋、おわり>