2019105
ぽかぽか春庭日常茶飯事典2019十九文屋日記秋深し(7)クロノトリガーゲーム音楽コンサート&フィギュアスケートカナダ大会
娘のお供で出かけるコンサート。秋一番は、ゲーム音楽のコンサートです。
時を渡る翼 CHRONO TRIGGER & CHRONO CROSS
とき:10月27日日曜日 開演:13:30~ (開場 12:30~)
場所:パシフィコ横浜 国立大ホール
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
指揮:指揮:佐々木新平
トークゲスト:光田康典(プロキオン・スタジオ)
開演前
娘はドラゴンクエストもファイナルファンタジー(FF)もゼルダの伝説も、おおよそ世に流行ったゲームはだいたいやりつくしているのですが、私がやったことがあるのはマリオシリーズの中のいくつかだけ。音楽はドラクエのすぎやまこういち作品やFFを聞きかじっている程度。クロノトリガーシリーズは全く知りません。
今回のコンサートではクロノの作曲者光田康典が出演するというので、ファンの間ではチケット争奪戦がすごかったのだそう。そんなファンの中に、「娘のお供ですから、途中で寝ちゃうかも」の私は、どうしましょう。娘は「抽選にはずれてチケットとれなかった大ファンがたくさんいるのに、寝ちゃったら、その人たちに悪いでしょ。居眠り禁止」とくぎを刺されました。
2011-12シーズンに、カナダのフィギュアスケート選手、ケヴィン・レイノルズ(Kevin Reynolds)がクロノ・トリガー/クロノ・クロスの曲によってフリーを滑っています。フィギュアは欠かさず見ているので曲も聞いているはずですが、まるで覚えていません。
娘と私のチケットは、「クロノシート・クロノトリガー25周年記念のオルゴールつき」というスペシャルチケット。13,800円×2
2曲入りの小さな箱のオルゴールが2つ。娘は売られている曲全部欲しいからと、チケットについていたオルゴールのほか、4曲分を買いました。娘が買ったプログラムもとても立派な作りで、ストーリーもキャラクターも知らない私に「これ読んで復習しておきなさい」と貸してくれました。
クロノトリガーは、1995年発売以降、累計出荷・ダウンロード販売本数550万本以上を記録している家庭用ゲームソフトです。『クロノ』シリーズ(『クロノ・トリガー』/『クロノ・クロス』)は、ドラゴンクエストやファイナルファンタジーに比べると一般的な知名度は劣りますが、その分コアなファンが多く、とくにクロノクロスは「私はなぜに私であるのか」という哲学的な内容を含んでおり、「ゲームにして哲学思想」という人気を誇ってきたのだそうです。
キャラクターデザインは鳥山明。ゲームクリエーターは、坂口博信(FFの人)、堀井雄二(ドラクエの人)という豪華版。
作曲者光田康典(1972~)が最初にクロノトリガーの曲を作ったときは弱冠21歳。高校生のころから作曲を始めており、音楽専門学校を卒業したのち、1992年にスクウェアに入社。1995年の『クロノトリガー』が作曲家デビューとなります。『ガンハザード』『ゼノギアス』などの作曲を担当したのち1998年6月に退社。「プロキオン・スタジオ」を立ち上げてゲームやアニメの曲を作っています。
クロノトリガー。クロノは「時」。トリガー(trigger)は、引き金(を引く)、引き起こす、起動装置、作動させる。IT分野では、きっかけになる出来事が起こったら自動的に特定の処理を起動するソフトウェアの仕組みをさします。
このゲームでは、クロノトリガーは「時の卵」とされています。
主人公クロノが現代から時空を超えて、原始時代では恐竜人とたたかい、古代や中世の魔王などと関わりながら、滅んでしまった自分たちの未来を救おうとするストーリー。
「クロノトリガー」が発売された1995年、娘は6年生息子は1年生。スーパーファミコン用のソフトは1万数千円。当時のおこずかいは、学年千円なので、息子は一ヶ月千円、娘はやっと6千円になったのですが、1万以上するソフトは買えませんでした。
周囲の友達が夢中になってこのゲームをやっているのをながめ、数年たって流行がおわるころ、公園のフリマで500円という中古ソフトを見つけました。「もしかして、作動しないソフトかも」と心配しながらも、ふたりでこずかいを出し合って買いました。ダメで元々で包装の箱などはなかったものの、ソフトはちゃんと使えるものでした。息子は夢中になってさまざまなエンディングに挑戦。ゲームの運び用によって、エンディングが変わってしまうのだそうです。
娘は中学で1年半、息子は高校で3年間の不登校生でしたから、ゲームにつかう時間はたっぷりあり、母が生活費稼ぎに行っている間、ゲームがお友達。
そんな思い出のあるゲームでしたから、娘は息子といっしょにコンサートを聞き、子どものころ夢中になったゲームの思い出話をしたくて、高いコンサートチケットに申し込み、抽選でオルゴールつきチケットを手に入れたのです。
しかし、息子は体調不全。聴覚過敏の症状もあり、物音がするところは苦手です。体調のいいときは何でもない音なのに、とつぜん物音が、頭の神経細胞が壊れてしまうくらいの音に聞こえたりするのだそうで、現在のところは有効な治療法はなく、薬を飲めば治るという症状ではないのです。
音楽を聴くと、自分がクロノの世界に入り込んで旅をしたときのことをひとつひとつ思い出すと、娘は言います。ホールに集まった5千人のクロノファンの想いも同じでしょう。 ゲームしたこともない婆さんが1席をしめちゃって、抽選に外れた人、ごめんね。でも、婆さんは、ゲーム音楽の価値を再認識しました。最初に認識したのはいつかというと。
娘が不登校になり昼夜逆転で一晩中ゲームをしていたとき、夜中にふっと目覚めるとFFの音楽が聞こえてきました。中学生の娘にはヘッドホンを買うおこずかいがなかったので、テレビから小さな音が聞こえてきました。ゲーム音楽を聴いた最初です。息子がゲームをしているときは、ヘッドホンで聞いていたので、私には届かなかったけれど。
クロノトリガーのキャラクター(ファンが描いた2次イラストのひとつ)
私にはなじみのなかったクロノトリガーの音楽でしたが、作曲家光田康典さんが舞台上で繰り広げたトークも興味深かったし、フルオーケストラアレンジされた曲も美しく、ゲームをやったことのない私にも楽しめました。
私が聞いた東京フィルハーモニー交響楽団のCDも発売されていますが、youtubeで無料で聞けるのはコスモスカイオーケストラの演奏
交響組曲「クロノトリガー」
https://www.youtube.com/watch?v=220Q8C9QVLg
「クロノクロス」
https://www.youtube.com/watch?v=RC31xi_hTnE
ご用とお急ぎではない方に。ゲーム音楽版2時間をどうぞ(Chrono Trigger - Full OST in HQ )
https://www.youtube.com/watch?v=mEoN_Xe-B-s
30年前、25年前くらいには、まだゲーム音楽は「芸大などの音大作曲科を出た人なら手掛けない分野」であり、キワモノ扱いでした。
今では、CD売り上げでトップを占める「人々に愛される音楽」になっています。芸大出た現代音楽の曲はまるでわからない私。でも、ドラクエの曲もFFの曲も「いい曲だなあ」と感じるわかりやすさがあります。
クロノトリガー・クロノクロスの曲も「わかりやすいことは低級なこと」と思っている人には「おゲージツ」扱いされてこなかったことと思いますが、こうしてフルオーケストラコンサートを開けば、5千席のホールが満杯になるのもわかります。
私はクラシックオーケストラのコンサートによく出かけますが、クラシック曲では、1000席でも空席が目立ちます。人がいっぱい集まればよい、ということではないですが、25年前に発表された作品、音楽でも小説でも映画でも、そのファンだった人たちが、5千席を埋めて集まることがあるでしょうか。ゲームの力は大きいなあと思います。
今回「ゲーム音楽」という私にはなじみのなかった分野の音楽を聴きました。私がなじんできた「映画音楽」と同じように、ゲーム世代にとっては「一生心に残る名曲」として未来へと続くのだろうと思います。
娘が「天才」と評した光田康典さん、まだ40代です。すぎやまこういちさんが88歳の現在も活躍しているのを見れば、あと30年40年は活躍してくれることでしょう。
ゲームの未来はどうなっていくのか。現在65歳の堀井雄一は今後どんなことをしていくでしょう。堀井はゲームファンと「2042年8月27日にJRお茶の水駅前に集合する」という約束を交わしているそうです。この日付は、堀井が執筆者のひとりであるゲーム雑誌発売日の60年後です。89歳になった堀井が高齢者になったゲームファンと交歓する現場を、93歳の私が見届ける。堀井はこのとき、文化勲章とか国民栄誉賞とかの受賞者になっているんじゃないかな。93歳まで生きているつもりの私もおめでたいが、堀井や坂口が文化勲章もらう日がきたらめでたい。
ドラクエ発売1986年から33年。クロノトリガーから25年。ゲーム文化は多様に花開いていますが、クロノトリガーが描き出した未来社会のひとつ「人間社会が滅亡している世界」になっていきそうな現代です。ゲームをせずに成長した世代の責任かもしれず、ゲームに没頭している間に、地球温暖化も世界経済破綻も進んできたのかもしれず、、、、
コンサートのあと、大急ぎで帰りました。なぜなら、フィギュアスケートを見たかったから。羽生結弦出演を見逃してなるものか。
みなとみらい駅からの帰りの電車は、ウェールズのTシャツを着たラグビーファンがいっぱい。でも騒いでいないので、ウェールズ負けたのだと思いました。スマホのネットニュースで確認すると、南アフリカが決勝進出。
ラグビーファンの意気消沈を前に、私と娘は、スマホワンセグですでに始まっていた女子フリーのフィギュアスケートを見ながら帰りました。
土曜日に作っておいたビーフシチューを温めなおして食べながら、テレビ観戦。夫はいっしょに食べる予定もフィギュアスケートをいっしょに見る予定もなかったのですが、諸般の事情で「フィギュアスケートになんの思い入れもないけれど」いっしょに見ることに。
夫は「フィギュアスケートなんて見たこともなかったけれど、羽生がほかの選手と別格だってことは素人目にもよくわかった」という感想でした。
ユヅ君、夫にもわかるくらいのすごい演技。ショートもよかったですが、フリーでは4回転からの連続ジャンプは、出来栄え点が少々不足したもののほぼ完璧に決めました。フリーの点数自己最高の212.99、ショートプログラムとの合計は322.59と、自己ベストを大きく更新しました。よかったよかった。
娘と私は「私たちが応援したから、時空を超えてユヅくんに届いた」と思うことにしました。(生中継ではなかった)
合計点ではアメリカのネイサン・チェン選手の持つ世界最高得点に0.83届かなかったけれど、ユヅ君は最高点をめざしてさらに練習を重ねることでしょう。どうかケガしませんように。田中刑事も3位に入って、グランプリファイナルをめざせる位置。
午後は横浜港クルーズ。夕方おいしいスイーツもたらふく食べて、夜はクロノトリガーコンサート聞いて、テレビでフィギュアスケート見て。なんと盛りだくさんな一日。疲れたけれど、楽しいことたくさんして、きっと免疫力UPしたに違いない。
<おわり>