ぽかぽか春庭ブックスタンド>2017の本棚(1)2017年1月~12月に読んだんだ本
@は図書館本 *は図書館リサイクル本 ¥は定価で買った本 ・はBookoffの定価半額本&100円本。+プレゼント本
<日本語・日本言語文化論>
@今井邦彦 『なぜ日本人は日本語が話せるのか』2004大修館
@村山修一 『安土桃山時代の公家と京都・西洞院時慶の日記にみる世相』2009塙書房
<小説 戯曲 ノンフィクション>
・日本文藝家協会『文学2017』2017講談社
+沼田真裕『影裏』2017年9月号文藝春秋
・司馬遼太郎『花妖譚』2009文春文庫
¥古川健 『幻の国』2017年9月号悲劇喜劇
・井上ひさし『東慶寺花だより』2015」文春文庫
・三上廷 『ビブリア書店の事件手帖5』2014角川文庫
・森まゆみ 『明治快女伝』2000文春文庫
¥山川三千子『女官』2016講談社学術文庫
<評論 エッセイ>
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+西江雅之『食べる』2010青土社
@五十畑弘『日本の橋』2016ミネルヴァ書房
@砂川秀樹「新宿二丁目の文化人類学」2015太郎次郎社エディタス
@池田忍「日本絵画の女性像―ジェンダー美術史の視点から」1998ちくまプリマーブックス
・米原万里『ロシアは今日も荒れ模様』2006講談社文庫
・辰巳芳子『料理歳時記』2005中公文庫
・宮尾登美子『わたしの四季暦』1994中公文庫
・西原理恵子『鳥頭紀行全部』2001朝日文庫
・ゲッツ板谷西原理恵子『鳥頭紀行』2001角川文庫
・岩本悠『流学日記』2006幻冬舎文庫
<アート>
@玉手義郎『西洋建築歴史さんぽ』2017世界文化社
@万城目・門井『ぼくらの近代建築デラックス』2015文春文庫
・赤瀬川原平『名画読本』2007光文社文庫
・赤瀬川原平『日本にある世界の名画入門』2006光文社文庫
・井出洋一郎『聖書の名画はなぜこんなに面白いのか』2010中経文庫
¥山種美術館『花の絵画名品集』2017山種美術館図録
・水村光男監修『世界遺産1ヨーロッパ』2002講談社文庫
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今年は、本のタイトルメモをしておかなかったので、大分忘れてしまいました。読んだ本のタイトルを思い出さないのは、読んだことになっていないってことで、いいのだけれど、部屋の中がぐちゃぐちゃで、読んだはずの本がいろいろ潜ってしまったっていう理由もあります。
読んだ本の大半は、百円の文庫本です。100円棚を見渡して、目に入ったタイトルを買うので、系統だった読書には無縁。読書があまり身につかないのも、テキトーに読むからでしょう。
新しい作品を読むとしたら、たとえば「影裏」は、夫が「買ってみたけど、あまり読む気が起きないのであなたが読むならあげる」と文春9月号をよこしたのですし、戯曲「幻の国」は、アコさんと観劇した劇の戯曲が掲載されていたので、あとで朗読の要望があったら読めるようにと買ったものです。自分からこれは今年中に読みたいと思って自分で買った、という本は少なかったです。
読書時間が減っているのは、通勤時間が減ったから。電車での通勤読書が一番本にひたれる時間です。寝る前のお休み本など、1ページも読まないうちに寝てしまうことが多い。
そんなカツカツ生活の中での読書。新しく知ったことばに目をひらかれ、卓越した文章を読んで心ふるわす。そして、本の著者との出会いも読書の喜びのひとつ。100円本をあさっていると、どうしてもなじみの著者の本を手に取りがちです。しかし、たまには本のタイトルにひかれて、今まで読んだことのない著者に出会うこともあります。
岩本悠も今年初めて読みました。100円文庫本のタイトル『流学日記』を見たときは、よくあるワカゾーの世界放浪紀行なんだろうと思いましたけれど、夫が校正を担当する本のひとつが「地球の~」というガイドブックなので、若者がツアーでなく旅した記録は読みたい本の一種です。
20歳の大学生が教育系の大学を1年間休学して世界放浪した記録。たしかによくあるパターンの異文化との出会い、人との出会いの日記だったのですが、今までの若者旅行記にはないものを感じました。体験記は自費出版からはじまって、一般販売の本となり、その印税を投じてアフガニスタンに小学校を建てた、というところまで文庫本には来歴が書かれていました。
こういう学生も、卒業後はフツーの会社員かなにかになっちゃっているのかなあ、と思っていたら 読み終わった直後に、新聞に岩本悠の名を見つけました。これも出会いです。
岩本は一流企業に就職し、数年は会社員としてフツーに働いたみたいです。このころ岩本の「世界放浪その後」の経歴を知ったら、ほらやっぱりね、たいていこうなる、と思ったことだったでしょう。
しかし岩本は、世間からみれば安泰なサラリーマンとして一生おくれそうと思う有名企業(ソニー)を飛び出して、ド田舎で公務員になり、現在はNPOと兼務で教育再生にがんばっていました。与党お気に入りの「教育再生会議」が戦前復古のようなことを言っているのに対して、岩本らのNPOは、ほんとに地道な草の根の活動をしています。
ソニー勤務時代、人事部にいた岩本は、島根県離島の高校から出張講師の依頼を受けました。ボロい校舎、先細りの生徒数。廃校寸前だった高校で岩本は講演しました。東京生まれ、縁もゆかりもない土地でした。
この離島の高校から「廃校にしないために、この高校を魅力ある学校に変えて、外部からも生徒が来るようにして、町起こしにつなげたい」という希望を聞いて、岩本はソニーをやめ、島にやってきました。そして本当に隠岐の島海士町の隠岐島前高校を、他県からも生徒が応募してくる高校に変えたのです。8年間の苦闘の末、他県からも「島留学」の生徒がやってくるようになりました。
その手腕を見込んだ島根県は、2015年4月に、岩本を全国でも前例のない役職「教育魅力化特命官」に任命し、その仕事が成果を見せ始めたことで、私が読んだ新聞記事になったのでした。
2017年4月からは、一般財団法人地域・教育魅力化プラットフォームを設立して、教育、社会の魅力化に取り組んでいます。今では3人のお子さんの父親だそうです。
こんな魅力的な人を知ると、私も頑張んなきゃ、と思えます。100歳まで頑張ってもあと32年しか残りが無くなり、この残り少ない日々に何が出来るというのだろうと毎日くらい顔で過ごしてきたのですが、元気がでてきます。
与党の施策、教育勅語万歳みたいな風潮の中、教育についてお先真っ暗な気分になっていたのですけれど、もう少し、この教育界でがんばろうという気になってきました。