20141029
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>十四事日記10月(7)秋深しわたしは何をする人ぞ
秋もだいぶ深まってきました。まもなく銀杏が黄金色に輝く晩秋。秋は駆け足で過ぎゆきます。
私立大学は9月半ばから、国立大学も十月から後期の授業が始まって、自転車操業授業。10月23日には、他大学の日本語教師志望留学生が私の授業を参観するというイベントもあり、今回もなんだかはちゃめちゃな授業になりました。
授業を受けている日本語初級の学生は、「楽しい授業だった」と、言って帰って行きました。参観の大学院生と留学生の交流時間を設けて「覚えたての日本語で会話してみる」という経験もできたし、最後は日本語発話をうながすためのゲーム(フルーツバスケットゲーム)をしたので、留学生と参観学生にとっては、楽しかっただろうと思います。
でも、存在文「~にある」「~にいる」を教えるところなのに「~あいだに」を抜かしてしまい、ひとり落ち込んでいる私。導入すべき文型をひとつ忘れてしまったことを、次の授業をする先生に「すみません。AとBのあいだにCがあります、の文型導入を忘れました。あしたお願いします」というメールを出さなければなりませんでした。失敗しっぱい。
金曜日の授業は、私が日本語教授法を教えている日本人学生が見学に来たのですが、この日は、配布すべき宿題プリントを忘れてしまい、月曜日の先生に「すみません。宿題を月曜日に配布してください」というメール。初級語学授業は複数の教師がチームを組んでスケジュールをこなしていくので、いつもてんやわんやです。
毎回の失敗に、「秋深し、わたしは何をする人ぞ」と落ち込みます。何をする人ぞと問われたなら、まあ、「失敗ばかりする人」なのでしょう。
仕事で失敗したなら、次の週のために週末は必死で授業準備をしたらいいのですけれど。週末は仕事のうさばらしに遊び歩かねば。
十月最後の週末も盛りだくさんに楽しみました。
10月25日土曜日。午前中。ゆっくり起きて、テレビ放映を録画しておいた「すーちゃんまいちゃんさわ子さん」を見ました。益田ミリ原作の漫画を映画化した作品。
監督御法川修。カフェの店員すーちゃん柴咲コウ、やり手の営業社員不倫中真木よう子、祖母の介護をしつつ自宅でパソコンの仕事寺島しのぶ。それぞれの結婚に至ったり至らなかったりの30代女子の日常を描いています。
それぞれの人生の選択。さわ子さんは、40歳手前で同級生からプロポーズされるが、「親が、子どもを産める体かどうかの証明書をもらってこいって言うもんで」という男にキレる。そうそう、子どもをどうするかは、結婚する二人の問題であって、「親が言うから」なんて男は、けっとばしてやるべき。
捨ててしまった「有能な社員」としての自分に未練を残しながらも、結婚相談所利用の結婚をして出産に至るまいちゃん。
気になっていた職場の男性を、同僚のちゃっかり女にさらわれてしまったすーちゃん。店長としてがんばってみよう、と決意。
「がんばりすぎずに、すすめ!!女子たち!」と応援したくなります。ほっこり気を抜く場所を確保しつつ、友情をたもっていきましょうね。
25日土曜日午後。飯田橋へ。ギンレイで2本立て。「Wood Job神去りなあなあ日常」(原作三浦しをん、監督矢口史靖)と「超高速参勤交代」(監督本木克英、脚本土橋章宏)。どちらもとてもおもしろかったです。
朝から何も食べずに出てきて、2本立ての間の入れ替え時間にスコーンをひとつ食べたのだけれど、まだおなかがいっぱいではありません。
夫にギンレイシネマパスポートのカードを返したあと、セブンイレブンの「おでんどれでも70円」という看板に惹かれて、おでんを買ってイートインコーナーで食す。
餅入り巾着、ロールキャベツ、がんも、やさい薩摩揚げ。家で作るとき大根とか昆布とかが好きなのだけれど、それは買わない。こんぶ90円や大根80円が70円になってもあまりありがたみがないが、餅入り巾着130円が70円になったほうがずっと得した気がする。こういうのを貧乏性というのですね。貧乏性なのではなくて、真性貧乏なのですが。
BookOffに寄って、100円の文庫200円の単行本を買う。
目に付いた100円本をかごに放り込んでいき、今回は9冊購入。1200円。柳田国男『日本の伝説』司馬遼太郎『街道をゆく〈24〉近江・奈良散歩 』『果心居士の幻術』井上ひさし『百年戦争下』田辺聖子『小倉百人一首上』加納喜光『この漢字が読めますか』村上春樹『村上ラヂオ』榎本正嗣編『ことばを調べる』安東仁兵衛『戦後日本共産党私記』
最後の一冊など、よほど暇になるか、なんらかの必要が生じない限り読むことなく「積ん読」予想はするが、なにせ100円なもんで。読まないとしても資料としてとっておこうか、というのと、解説が辻井喬だったので買いました。辻井も言っているように、敗戦直後の日本共産党に集まった人々、ある時期の若者にとって、「日本共産党」が「希望」と同義だった時期があったのだ、ということは理解できます。
戦争直後の日本共産党には、西武鉄道の坊ちゃまである辻井喬(堤清二)も参加していました、除名されてしまいましたけれど。
私の青春時代には、ニッキョーといえば落ちた偶像になっていました。私はミンセー加入の友達から「あんたみたいのをトロツキストって言うんだ」とか言われてゼッコーされたっけ。トロツキストというのがなんなのか、わからない私だったけれど。今でもようわからんが。
帰宅して、晩ご飯。おでんを食べたけれど、娘が作ったナポリタンとサラダ、ちゃんとおなかに収まる。デザートは生協購入の「ハロウィーンパンプキンパイ」でした。でも、かぼちゃの部分が少なかったので、ハズレのパイ。「りんごがあるから明日、りんごパイを作ろう」と、娘に提案。
かぼちゃパイ食べながら、娘息子とテレビ録画でフィギュアスケート観戦。グランプリシリーズが開幕しました。まおちゃん出ないので寂しいですが、我が家は放映される全試合の全選手の演技を応援します。26日は、町田樹がショートトップに立ちました。高橋選手引退のあと、羽生、町田の活躍に期待がかかります。
アメリカ大会の注目選手はカナダのナム・グエン( Nam Nguyen)16歳。名前からみると親か祖父母はベトナムからの移住なのかな。織田信成の後継者みたいなお顔で、いいんじゃないかと思います。テレビの文字ではNguyenを「ニューエン」と書いていたので、アジア系の顔立ちだけど、いったいどこの国からの移民子孫だろうかと思いましたが、Nguyenはニューエンではなくてグエンだろっ。それともカナダ移住後はニューエンと発音しているのか。語頭のNguは、鼻濁音の「グ」です。
夜中の11時半から午前2時半まで娘と「Wiiカラオケ」を使って、母娘カラオケ大会。交代で3時間歌いまくりました。10万曲ある、というのですが、Wiiカラオケは、通信ゲーム機なので、私が歌いたい昔の歌は入っていません。たとえば、美空ひばりの『りんご追分』、好きなんだけれど、検索してもWiiにはない。
まず、絢香の「にじいろ」を歌いました。半年間聞いていたから覚えたので。「にじいろ」で思い出したので、「虹色の湖」を検索したら、 中村晃子バージョンは古いから入っていないけれど、徳永英明のボーカリストバージョンが入っていたので、なつかしく歌いました。
娘が中村晃子なんて歌手知らない、というので、「結婚寸前だった同棲中の恋人を、大竹しのぶにとられちゃった人」なんて、古いスキャンダルを教えました。仕事に必要なことはさっぱり覚えられないけれど、こういうことはちゃんと覚えているのが、不思議。2時20分にカラオケ24時間の通信契約がきれたので、寝ました。
娘は「24時間で300円の通信契約。15時間歌ったので、1時間あたり20円のカラオケ」と、言っていました。15時間歌い続けるのもどうかと思うけれど、「できるだけ長く歌ったほうが得した気がする」というのは、私が「80円のおでんが70円になるより、130円のおでんが70円に割り引きされたほうが得した気がする」という発想法を学んでしまったのだろうと思います。貧乏性が伝染してしまいました。貧乏な家に生まれると、貧乏性まで親に似る。
26日日曜日。
午前中、ヴェローナ野外劇場のオペラ公演『カルメン』を見ながら、洗濯とお茶碗洗い。
古代ローマの遺跡で上演されたゼッフィレッリの演出です。すごい規模に圧倒される。観客も出演者も最大規模のカルメンです。
カルメンがホセを誘惑している間に、りんご5個の皮を向き、薄切り煮りんごを作りました。りんごパイのフィリング用です。
カルメンにエカテリーナ・セメンチュク、ホセにカルロ・ヴェントレ。どちらもオペラ歌手らしく、たっぷりと太っています。オペラ歌手はいいなあ、これだけ太っていても、主役はれるんだから、、、、と思いました。
太めのカルメンもありですが、結核で死んでいく椿姫がお肉たっぷりゆらしながら、歌うのはどうもリアルじゃないけれど。
第一幕がおわったところで、りんごも煮えたので、カルメン中止。午後、北とぴあに行く。
3時から40分間のパイプオルガンコンサートを聞きました。一階ホールでの無料コンサート。演奏は山本真希。
私の好きなバッハの小フーガト短調のほかは、知らない曲ばかりでしたが、とてもよい演奏でした。キュリというアメリカの作曲家がモーツァルトのきらきら星変奏曲を「みんなのためのオルガンガイド」に編曲した作品、オルガンのさまざまな音色を楽しめました。
3:40からさくらホールへ。友人が「合唱祭」に出演するからです。素人の合唱サークル37チームが参加し、12時から1グループ10分の出演時間。私が聞いたのは、3:40から5時まで。友人のグループは宮沢賢治の『雨にも負けず』を合唱曲にした7分間の曲を歌い上げました。
雨にも負けず、風にも負けず、と歌うサークル
出演の友人は、ジャズダンス仲間のひとりです。歌い終わった友人とお茶して今後のダンス自習のことなど話す。
ジャズダンスの講師が胃がん手術で入院してしまいました。手術は成功したという連絡がありましたが、復帰がいつになるかわかりません。当分のあいだ、練習が自習になるのです。こんな状態で、もう自主サークルが維持できないところまできていますが、つづけたいなあ、ダンスサークル。おつきあい範囲が狭い私にとって、ジャズダンス仲間は得がたい友人達です。
娘の作った晩ご飯。今夜のメインは、鮭ソテー、シメジ添え。アボガドとトマトのバジルサラダ。トマトとモッテェレラチーズのグラタン。デザートはリンゴパイ。私が煮ておいたフィリングを詰めて、娘が生協冷凍パイシートで仕上げました。市販品よりずっとおいしいです。大きなパイがふたつできたので、ひとつは娘がおばあちゃんのところに持っていくことにしました。
10月最後の週末2日間は、こんな具合にすぎました。映画みて、テレビでフィギュアスケートやオペラを見て、コンサートホールで合唱聞いて、りんごパイ作って、、、、
10月26日はあたたかい日でした。これから秋の日はつるべ落とし。おっと、こう言っても若い人には「つるべ」って、落語家の笑福亭鶴瓶かと問われるので、うっかり使えません。
人生の秋もつるべ落としでしょうから、気を引き締めましょう。つるべ落としても我が身落とすな。
いやいや落としっぱなしの人生です。
北とぴあから帰り際、冷え込んできたのに、コートがない。パイプオルガン演奏を聴いていた時、会場に落としてしまった。おとしものわすれもの名人です。
問い合わせると、警備室にとどいていたので、よかったよかった。つるべ落としてもコート落とすな。
<おわり>