20140928
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>十四事日記9月(4)ヨコハマ散歩
ヨコハマ・トリエンナーレのチケットをもらったので、秋分の日の「芸術の秋」散歩は、ヨコハマを歩きました。
横浜美術館と新港ピアとバンカートで現代アートを観覧、、、、よくわからんかった。
実は、今回の美術館観覧は、娘息子を連れてヨコハマトリエンナーレを見るための下見です。娘も息子も私以上に現代美術には興味がありません。
娘は、「ヨコハマにいっしょに行きたいって、母が言うなら、中華街でご飯食べるついでなら美術館に寄ってもいいけど。現代美術は、どうせ見てもわからないから、母が見て、これならおもしろがって見ていられそう」というのを、ふたつみっつ見つくろっておいてくれれば、そのへんをちゃっちゃっと見て、すませるから」と、言います。
まあ、そうでしょうねぇ。ひとつひとつをじっくり鑑賞するほど現代アートとは仲良くしていない。中華ランチにつられて、母とつきあおうかという気になってくれるだけでも、ありがたいと思わなきゃね。
それで、先回りして、「おもしろそうなもん」を選んでおくことになりました。
最初に、みなとみらい駅で降りました。駅のそこかしこに、トリエンナーレ出品作家の作品が並べられています。
こちらは、駅コンコースにあった作品。作品名「ノイズ・アーキテクツ2013」
まあ、フツーというか、なんのひねりも変哲もない作品と思って通り過ぎたのだけれど。
横浜美術館の入り口には、でっかいゴミ箱が設置され、アーティストたちが、失敗作とか、いらないのを捨てるパフォーマンスによってオープニングイベントを行ったとか。
新港ピア展示場には「ゴミを固めたアート」というのが一室を占めて展示されていました。黒っぽいゴミの塊からささくれてほどけかかったロープなどが垂れ下がているオブジェが置かれています。
「華氏451度の世界-世界の中心には忘却の海がある」というアーティスティック・ディレクター・森村泰昌は、「価値なきものとして廃棄される膨大なもの。忘れ去られて顧みられることもない記憶、その中にこそ真に記憶すべき者が埋もれている、という。
「世界(宇宙)は、そのほとんどが「忘却」のブラックホール(あるいは、広大で奥深い海)によって満たされている。それに比べれば、記憶世界など「忘却の海」に浮かぶちっぽけな島にすぎない。」
さて、次の芸術作品は、タイトル「あるホームレスの記憶」
この、偉大な作品の作者は、、、、、
わかりません。バスでの移動途中に見かけたゴミの山。ゴミでないとしたら、あるホームレスの「全財産」を写したものです。これだって、タイトルとアーティスト名がつけられていれば、観覧の人々は「ふ~ん、これもアートか」と思って眺めるに違いない。
つまり、私には、美術館の中のゴミのかたまりと、街角のゴミ(のような全財産かもしれぬもの)の堆積を区別できません、ってこと。
トリエンナーレの期間中だけのことと思いますが、市内にいくつか点在している展示会場をつないで、無料のバスが巡回しています。無料の自転車も貸し出されているので、どちらにしようか迷いましたが、今回はバスで移動。横浜美術館、新港ピア、バンカート(Bankart1929=1929年に建てられたふたつの銀行の建物をアートスペースに転用しています)、象の鼻テラスの4カ所をまわりました。
新港ピアには映像作品が集められていました。
入り口近くの一室には、ヒロシマ1945の遺品を一点一点写真におさめた土田ヒロミ(1939~)の写真、インパクトがありました。土田の写真について、報道されている範囲でしか見てこなかったので、実際にまとめて見たのは、はじめてです。
ヒロシマ市内を40年間定点撮影した風景写真、「原爆の子」に写された子ども達を20年後と50年後に撮影した肖像写真。広島平和記念資料館の収蔵資料を写した「ヒロシマ・コレクション」
現首相はこの夏、平和記念館の前で、昨年の文言とそっくり同じ文を棒読みしました。たぶん、ヒロシマの記憶など早く忘却の海に捨ててしまいたい人なのでしょうが、一点一点の遺品を見ていくと、これらの品の持ち主たちが「忘れないで」と叫んでいるように思えます。
午後4時ごろ、バンカートの港に面したテラスで、タイ料理店「ピー」の出店のグリーンカレーを食して、遅い昼ご飯。
建物散歩先達のyokoちゃんが、横浜近代建築の写真をUPしてくれたのを見て、「いいなあ、もう一度見たいなあ」と、思っていた建物も夕暮れの中ささっとめぐって、「現代アート下見&横浜近代建築復習」の散歩をおひらきにしました。
私にとっておもしろかったものは、やなぎみわ作「日輪の翼」上演用のトレーラー舞台。大竹伸郎「濾過された記憶」、noridanというパフォーマンス集団の「楽器カー」
以上の三つ、共通点は車。記憶を閉じ込めて濾過する車、木琴や太鼓や鐘、いろんな楽器が組み合わさっており、ちゃんと動いて演奏しながらパレードできるノリダンの車。
娘と息子がはたして私のチョイスをおもしろがるかどうかわかりませんが。トリエンナーレについては、もう一度見てから。のちほどレポートします。あ、横浜の建物レポートも。
<おわり>