20240525
ぽかぽか春庭ことばのYaちまた>2024二十四節季のことば(2)卯波
どこにも出かけなかった5月、歳時記をぼうっと眺めている。普段の生活では使わないことばがいろいろ並んでいる。ほほう、こんな語があるのか、と目を開き、知らなかった季語を使って、こんなにたくさんの俳句が詠まれているのかと新しい世界が開ける。
卯の花は生活の中に入っているし、卯月も旧暦四月のことだとわかる。でも、海なし県に育ったので、卯波ということば、知りませんでした。川面や湖面にも卯波は立つそうですが、やはり海の波がふさわしい。
能登の卯波、今はどうでしょうか。
・能登卯波終と思ひし旅了へて 能村登四郎
・卯波越えゆける旅路の晴となる 稲畑汀子
・ひとの恋あはれにをはる卯波かな 安住敦
・島の葬列すぐに卯浪につきあたる 有馬朗人
・海女一人に桶一つ浮く卯浪かな 鈴木真砂女
・舟住みの子に小鳥啼く卯波晴れ 石原八束
東南アジアなどにはまだ「水上生活者」の舟があると旅行番組などで見たりしますが、日本では「泥の舟」の映画で見た記憶くらいしか残っていません。
・卯波寄せて泥の舟べり濡れにけり 春庭
加賀まりこ、きれいでした。
<つづく>