KUMIの句日記

写真と一日一句で綴るブログ。句の転載を禁じます。

吟行句会・生田緑地

2012年12月26日 | 俳句
天気 晴

先月も寒かったこの吟行、でも今日は風が冷たくても日差しがあるので何とか寒さをしのげそうだ、と思った。11月の方が曇天に時雨がきたりで寒かった。今日は、雪国へ行くような覚悟の支度をして。
来年は場所を移しての吟行になるので、こことは暫くお別れ。

寒いときは緑地内の民家園に入って風のない場所の古民家の縁側で日向ぼこでもすればいい。ところが、園内は修復工事があちこちで行われていてあまり歩き廻れない。仕方なく、一軒の「農家」の縁側に陣取っての句作。風のまったく来ない場所、おまけに家の中には正月用意のあれこれが展示されていて、なんだか子供の頃に戻った気分になれた。
土間に続く炉辺の部屋には、今出来上がった、という風に莚の上へ小さな鏡餅がたくさん並んでいた。

「揃ひけり杵臼蒸篭年用意」・・と作ったが、この季語では餅つき始めます、と言っているだけになる。どうしようかなあ、と歳時記を開いたら、餅搗の傍題に「餅莚」があった。
そうそう、子供の頃、我が家では搗いてのし餅や鏡餅にしたあと、普段使っていない茣蓙に置いていた。水分を発散させるためだったろう。農家ではなかったから莚は使わなかった。でも、農家だったら新しい莚はたくさんあったから、莚を使ったのではないか。
「餅莚」が歳時記にあるとは、私も初めて知った。

揃ひけり杵臼蒸籠餅莚 KUMI

として句会に出したが、誰も振り向かず。もっとも、他の句も、今日はあまり芳しくなかったが。とはいえ、子供の頃に帰れた風景なので、今日の中ではいちばん好きな句だった。
で、帰路の電車の中でもう一度推敲していて、はっと気づいた。
参加者には、「餅莚」とは読まれないで、「餅・莚」と読んだのだろう。それも仕方がない。みんな私よりも若いし都会育ちで、餅搗き風景なんて体験していないだろうし・・

と思い、推敲した句。ま、自分だけの思い出の句ではあるけれど。

ととのひぬ臼杵蒸籠餅莚  KUMI
コメント
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