これがモルディブのツナ缶工場だ!
翌日。
オジサンふたりは、マーレ島から飛行場のある島に渡り、そこから水上飛行機に乗って北に向かった。
眼下にはインド洋。その上に環礁がいくつも浮かんでいる。
環礁の周囲の浅いところはエメラルドグリーンで、その周りの海はくっきりとした紺碧だ。
その様子、まさしく「インド洋の真珠」であります。
「うおーすげー。美しすぎる!」
「まさに」
「うおーうおー」
「まさに」
人間、本当にコーフンすると、表現が幼稚になるのであります。
右画像:インド洋に浮かぶ環礁。上に見えてるのは翼の一部
※撮影:伊藤氏
約40分の飛行を終えると、水上飛行機はクレドゥ島という島に着水した。
今度はここで、高速ボートに乗り換えるのだ。
波の上を跳ねながら、まさに高速ですっ飛んでいくと、周囲にはリゾート島や無人島がいくつも見える。
潮風が心地好い。水面が眩しい。
やがてボートが減速を始めると、目の前に緑豊かな小島が現れた。
その島が、今回の旅のメインテーマであるフェリバル島なのであります。
水産加工業者・フェリバル社の施設しかない島
ゲストハウスで一泊させてもらって、翌日...。
いよいよ、工場を見学させてもらうことになった。
ここには漁港があり、フェリバル専用の漁船もある。
その船で獲ってきたカツオやキハダマグロは、すべて一本釣り漁法のみ。
というのも、モルディブでは、自国で獲れる魚を
「将来に亘って大事に育てていこう」
と、網による大量漁獲を禁じているのだ。
そうして獲ってきた魚は、漁港の目の前にある倉庫に入り、温度管理された海水にいったん浸けられる。
その後、生のまま缶詰にしたり、冷凍加工したりするわけだ。
この工場は、1977年(78年という人もいる)に日本水産が建てたものだ。
水産加工に必要な設備を揃え、モルディブ人にその扱い方、メンテナンスなどを教え、やがてその工場一式を同国に売却した。
その買取り資金は、日本政府によるODA(政府開発援助)が活用されたらしい。
今では、ここで作られるツナ缶が、モルディブの重要な産業になっている。ツナ缶は、同国が輸出している唯一の水産加工食品なのだ。
(水産加工ではもう1社、国営のMIFCOという会社があり、そこでもツナ缶が作られている。MIFCOとフェリバルは元々同じ会社だったが、途中で国営と民営の2社に分かれたという)
①生もしくは冷凍していた魚を、まずは内蔵とエラを落としてきれいに洗う。
(取材した日はキハダマグロを加工していた)
②きれいになったキハダマグロを網棚に乗せ、高温の蒸気で一度蒸す。画像はその網棚をクッカーに入れたところで、なぜか笑顔でポーズをとってくれた。
③一旦冷やした②のキハダマグロは、この広大な作業場に移される。床、壁まできれいに磨き上げられているのに注目!
④一尾ずつ手作業で、頭と尻尾を落とし、骨を抜き、皮を剥いていく。血管なども取り除きフィレの状態にするのだ。途中で出た細かい肉も、残さず集められる。
⑤フィレと細かい肉に分けられた状態。すごくキチンとしてるぞ!
⑥フィレと細かい肉を、溝状のラインに詰めていく。これは「チャンク」と呼ばれる、塊肉とフレークの混ざったツナ缶を作るため。ほかにも、細かい肉だけを入れる「フレーク」、フィレだけを入れる「ステーキ」など、ツナ缶のタイプによって詰め方を変える。
⑦さっきのラインが流れていく先に、カッターと缶が待ち受けている。身肉はここで垂直にカットされて、缶に詰められるのだ(ロータリー状に缶が並んでいるのが見える)。
つづく!
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