閑寂肆独白

ひまでさびしい本屋のひとりごと

王義之展を見に行った その2

2018-04-02 23:05:47 | 日記
承前
我々は今、王義之に連なる能筆、顔真卿 虞世南 褚遂良 欧陽詢 などを知っている。それらがどの時点でどのようにして日本にもたらされたか、については今小生の知るところではない。 行書の王義之、楷書の褚遂良という評価は鎌倉期くらいまでには日本でも知られていたらしい。仮名の書き方、連綿体に至る話では王義之の影響・連なりで説明はつくであろうけれども、良寛は褚遂良を手本にしていたことは常識の範囲。江戸期の手習いの手本では欧陽詢のほうが勝っていたのではないかと何かの説明にあったように思う。良寛の展示はすごく違和感あり、江戸初期・中期の光悦・信尹などはどう見ても「日本流」。王義之の流れの云々の範疇だろうか。さらに言えば 蕪村・隆盛 崧翁もそして最後にあった蒼海・副島種臣はまさに一個の天才の書であって 誰それの影響などということではないと思う。
 要するにこの「特別展」は王義之の作品がまとまって(といっても、摸本であり全部で8点でしかないのだ)という持ち込みの企画に乗っただけではないかと思った次第。
 年間にいくつもの企画展示をしなければならないご苦労はわからないでもないけれど、宣伝が勝ちすぎたようで、やはり「高い」」という気持ちはぬぐえない。展示の説明も「足りない」と思った。音声ガイドにどのように説明されているかは知らないけれど、「そんなのネットでわかるわい」あるいは「書道全集」に書いてある。程度。その物の背景・履歴などがもっとあると見るほうも楽しいのになあ、と思った次第。これで展覧会については了。

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