中東の有力な産油国リビアで混乱が広がっている。最高指導者カダフィ大佐の次男が反政府デモを武力で鎮圧する方針を明確にした後も、21日に首都トリポリで警察署の炎上などが伝えられ、外交官を中心に政府内から体制への批判が噴出した。石油の生産が落ち込む懸念も浮上。21日の中東産ドバイ原油の取引価格は約2年5カ月ぶりに1バレルドル台に乗せた。
【カイロ=花房良祐】リビア情勢の緊迫化は、最大の産業である石油の生産にも影響を及ぼし始めた。ロイター通信などは21日、独化学大手BASFグループが日量10万バレルの生産を止める方針と報じた。石油関連施設が集中する中部ラスラヌフでは同日、施設の従業員らによる抗議デモが発生。資源開発を手掛ける英BPなど欧米大手は相次いで駐在員を出国させる方針を決めた。
2009年のデータでリビアの石油の確認埋蔵量は世界8位の約440億バレル、1日当たりの生産量は18位の約160万バレル。外国企業の従業員を中心に国外に脱出させる動きが広がれば、関連した工場などの操業が一段と落ち込む恐れもある。
リビアの首都トリポリで始まった反体制を訴える抗議デモと治安部隊などの衝突により61人が死亡した。中東衛星テレビ局アルジャジーラが21日、医療関係者の話として伝えた。20日夜から21日未明にかけて政府庁舎や警察署が放火されたほか、国営テレビ局やラジオ局が襲撃された。
現地の報道関係者によると、21日午前も首都で軍が市民に向け発砲、約10人を射殺した。市内では複数の黒煙が上がっている。反体制派メディアは同日、トリポリ中心部の「緑の広場」に集まった市民を軍が銃撃したと伝えた。東部の部族が、首都へのデモ行進を呼びかけたとの情報もある。
最高指導者カダフィ大佐の次男セイフイスラム氏が20日夜に演説で沈静化を図ったが、反発が和らぐ気配はない。北東部の第2の都市ベンガジのほかに、ベイダやシルトなど複数の都市を反体制派が制圧したとの報道もある。国際人権団体は21日までのリビアの死者が300人以上に達したことを明らかにした。
政府関係者によるカダフィ大佐への批判も公然と出始めた。21日までにインドや中国などに駐在するリビア外交官が政権の強硬姿勢に抗議し、相次いで辞意を表明した。現地メディアによると、アブドルジャリル司法書記(法相)は21日、市民への発砲などに抗議して辞任した。
トルコメディアはエルドアン首相とカダフィ大佐が在リビアトルコ人の安全などを巡り20日に電話会談したと伝えた。前後して大佐がリビアからベネズエラに出国したとの情報も一時流れた。AFP通信によると、リビアの戦闘機2機とヘリコプター2機が21日、地中海のマルタ島に着陸。乗客7人はフランス人と主張している。反政府デモとの関連は不明だ。
韓国政府は21日、トリポリ近郊の建設現場で韓国人らが暴徒に襲われ、3人がケガをしたと発表。騒乱状態の広がりに、各国政府や企業は駐在員の出国の準備など対応に追われている。
【カイロ=花房良祐】リビア情勢の緊迫化は、最大の産業である石油の生産にも影響を及ぼし始めた。ロイター通信などは21日、独化学大手BASFグループが日量10万バレルの生産を止める方針と報じた。石油関連施設が集中する中部ラスラヌフでは同日、施設の従業員らによる抗議デモが発生。資源開発を手掛ける英BPなど欧米大手は相次いで駐在員を出国させる方針を決めた。
2009年のデータでリビアの石油の確認埋蔵量は世界8位の約440億バレル、1日当たりの生産量は18位の約160万バレル。外国企業の従業員を中心に国外に脱出させる動きが広がれば、関連した工場などの操業が一段と落ち込む恐れもある。
リビアの首都トリポリで始まった反体制を訴える抗議デモと治安部隊などの衝突により61人が死亡した。中東衛星テレビ局アルジャジーラが21日、医療関係者の話として伝えた。20日夜から21日未明にかけて政府庁舎や警察署が放火されたほか、国営テレビ局やラジオ局が襲撃された。
現地の報道関係者によると、21日午前も首都で軍が市民に向け発砲、約10人を射殺した。市内では複数の黒煙が上がっている。反体制派メディアは同日、トリポリ中心部の「緑の広場」に集まった市民を軍が銃撃したと伝えた。東部の部族が、首都へのデモ行進を呼びかけたとの情報もある。
最高指導者カダフィ大佐の次男セイフイスラム氏が20日夜に演説で沈静化を図ったが、反発が和らぐ気配はない。北東部の第2の都市ベンガジのほかに、ベイダやシルトなど複数の都市を反体制派が制圧したとの報道もある。国際人権団体は21日までのリビアの死者が300人以上に達したことを明らかにした。
政府関係者によるカダフィ大佐への批判も公然と出始めた。21日までにインドや中国などに駐在するリビア外交官が政権の強硬姿勢に抗議し、相次いで辞意を表明した。現地メディアによると、アブドルジャリル司法書記(法相)は21日、市民への発砲などに抗議して辞任した。
トルコメディアはエルドアン首相とカダフィ大佐が在リビアトルコ人の安全などを巡り20日に電話会談したと伝えた。前後して大佐がリビアからベネズエラに出国したとの情報も一時流れた。AFP通信によると、リビアの戦闘機2機とヘリコプター2機が21日、地中海のマルタ島に着陸。乗客7人はフランス人と主張している。反政府デモとの関連は不明だ。
韓国政府は21日、トリポリ近郊の建設現場で韓国人らが暴徒に襲われ、3人がケガをしたと発表。騒乱状態の広がりに、各国政府や企業は駐在員の出国の準備など対応に追われている。