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平均貯蓄1739万円ってホント?実は100万円未満が多かった

2014年05月18日 19時46分07秒 | 経済
総務省が16日に発表した2013年の家計調査報告によると、2人以上世帯の平均貯蓄額は1739万円に上りました。「みんな、そんなに持っているの?」と驚いた人も少なくなかったようです。消費税率も4月から上がり、生活に四苦八苦する人が少なくない中、「この数字は実態を反映していない」という意見があります。実際はどうなのでしょうか。詳しいデータの中身を見ると、実は「100万円未満」の割合が目立って高かったのです。なのに、どうして1739万円という数字が出るのでしょうか?

そもそも、家計調査とは何か。これは国民すべてを対象にしたものではありません。サンプルを抽出した標本調査です。調査数は、全体で約9000世帯。うち、単身世帯を除くと、2人以上の世帯は約8000世帯です。

そして調べ方です。家計調査は調べる項目によっては調査員が直接、質問するものもありますが、貯蓄については調査票に記入して出してもらうことになっています。もちろん、銀行口座などを調べるわけではないですから、回答者が見栄を張って、多めに記入する可能性もないとは言えないでしょう。

その上で、改めて今回の総務省の発表を確認します。2013年、2人以上の世帯当たり貯蓄額の平均値は1739万円。前年よりも81万円、4.9%増えたといいます。けっこうな額です。

ただ、この発表をよくみると、続きがあります。「貯蓄を持つ世帯の全体を二分する中央値は1023万円」という説明があります。これはどういうことかというと、「貯蓄の低い世帯から高い世帯を順に並べて、ちょうど分かれ目となる世帯の値」です。つまり、「額」の平均は、1739万円だけれども、実際はほぼ半分の世帯は、貯蓄が1000万円に届かない、ということです。

さらに、今回調査した2人以上の世帯のうち、勤労者世帯つまり現役で働いている世代の割合は、51.3%に過ぎません。ということは、調査対象の中に、すでに長年働いて貯蓄に励み、リタイアした世代がかなりの割合でいるものと推察されます。実際、勤労者世帯だけに絞ってみると、貯蓄の平均額は1244万円で、全体平均よりも500万円近く少なくなります。また、上記で説明した「中央値」は、勤労者世帯では735万円なのです。
次に、貯蓄額別の分布を見てみましょう。横軸に「貯蓄の金額」、縦軸に「世帯のパーセンテージ」とします。表で見ると、はっきりした「反比例」の傾向が見て取れます。100万円きざみで分類して、ぶっちぎりで最も多いのは「100万円未満」の世帯で、全体の10%を占めます。ここを頂点として、貯蓄額が増えるに従って、どんどん世帯のパーセンテージは落ちていきます。「100~200万円」は6.4%、「200~300万円」は5.1%という具合です。平均額が含まれる「1600~1800万円」の割合は、わずか3.6%しかいません。

ただ、割合が少なくなるとはいえ、お金持ちはいるものです。調査結果では「4000万円以上」として、それ以上の額はうかがい知れませんが、これらの人たちの割合は11.1%。この中には億単位の貯蓄を持つ人もいるでしょうから、全体の平均額を押し上げたことは想像に難くありません。そもそも母数がせいぜい8000ですから、とてつもない大金持ち世帯が1つあっただけで、平均はかなり上がるでしょう。

他人の懐具合が気になるのは人情で、今回の「1739万円」にたじろぐ人が多いのも無理はありません。が、実態は上記の通りで、わが家の貯蓄が平均よりも大幅に少ないからといって、必要以上に落ち込む必要はなさそうです。

(文責・坂本宗之祐)

「博多時間」「沖縄時間」って? 訪問先への礼儀

2014年05月18日 08時08分00秒 | お役立ち情報
 「博多時間」や「薩摩時間」「沖縄時間」――。九州・沖縄には独特の時間感覚を表す言葉が存在する。宴会や待ち合わせに遅れて来る地元の人を皮肉る言葉としても使われるが、本来はどんな意味があるのか。なぜ九州・沖縄にはこうした言葉がある地域が多いのだろう。取材してみると、相手を思いやる商都の伝統や県民性が浮かび上がってきた。


多くの飲食店が集まる中洲(福岡市博多区)
 福岡市で開かれた飲み会。集合時間は午後7時なのに、参加者は遅れて三々五々集まり、1時間後に来た人もいた――。博多時間を象徴する例として、宴会の際に時間通りに集まらないことを挙げる人は多い。こうした習慣が広く伝わり、今では博多時間とはルーズな時間感覚の意味だと理解されることが多い。約束に遅れた際に「博多時間ですいません」などと謝る人もいる。

 福岡県出身で元日本文化人類学会会長の波平恵美子さん(71)は「博多時間には本来もっと深い意味合いがあり、意味を取り違えている人が少なくない」と指摘する。

 商売第一の博多商人の家を訪ねる時、約束の時間より前に行くと、ギリギリまで客の迎え入れ準備をしている相手に迷惑をかける。「ちょっと遅れて行くのが礼儀として博多時間が定着した。宴席などでは、特に立場が上の人にみられる習慣」(波平さん)

 ただ、博多時間は全ての会合に当てはまらないという。博多でも、取引先との打ち合わせなど仕事に関することや、結婚式など半ば公的な行事の時には時間通りに集まるのが一般的。一方で、私的な行事の際にはわざと約束時間に遅れて行く習慣が根付いたとされる。

 宴会などに遅れる風習は九州の他の地域にもみられる。鹿児島県奄美大島出身の民俗学者、鹿児島国際大学の山下欣一名誉教授(85)は「薩摩時間の場合、プライベートな飲み会などを開く時には、大まかな集合時間を決め、都合の良い時間に集まってくる」と話す。

 ご当地では1~2時間の遅れには寛容で、参加者が遅れて到着する度に、乾杯を繰り返して盛り上がる光景が県内の居酒屋などでみられる。一方、こちらでもオフィシャルな行事には遅刻しない文化らしい。

 博多・薩摩時間と並んで広く知られているのが沖縄時間だ。西日本の民俗文化に詳しい福岡大学の白川琢磨教授(61)がこんなエピソードを紹介してくれた。
 「かつて沖縄本島北西部にある伊平屋島(いへやじま)に民俗調査のため訪ねた際、現地の方の集まりに午後7時に参加することになった。10分前に集合場所に到着したところ誰もおらず、数十分たっても来ない。不安になって参加者の家に行ったら、なんと入浴中。全員が集まったのは午後9時を過ぎた頃だった」

 白川教授によると、島民にとって午後7時も午後9時も同じ「夜」。わざと時間に遅れるといった博多時間の概念とやや異なり、現地では時間そのものを大ざっぱに捉えているようだ。宮崎にも同様の感覚を示す「日向時間」があるという。


九州・沖縄県民はのんびり屋・楽天家が多い 問い:のんびりしている方だ
順位 都道府県 回答率
1位 宮崎県 93.1
2位 沖縄県 87.0
3位 静岡県 85.1
4位 鹿児島県 81.8
4位 北海道 81.8
6位 三重県 78.0
7位 岩手県 77.4
8位 山形県 76.5
9位 愛媛県 76.0
10位 秋田県 75.2

問い:楽天的な方だ
順位 都道府県 回答率
1位 沖縄県 81.0
2位 宮崎県 79.2
3位 高知県 77.2
4位 大阪府 70.0
5位 北海道 66.7
6位 鹿児島県 62.6
7位 福岡県 62.0
8位 静岡県 57.4
9位 大分県 52.9
10位 長崎県 51.5

(注)問いに対して「あてはまる」「まああてはまる」と回答した割合の合計、%、リクルート調べ
 こうした時間感覚は県民性に表れているかもしれない。リクルートが全国の20~69歳の男女約6400人を対象に行ったアンケート調査(有効回答数約4600人)によると、「のんびりしている方だ」との問いに当てはまると答えた県民は宮崎が93.1%で1位。2位が沖縄(87.0%)、4位が鹿児島(81.8%)と続いた。

 「楽天的な方だ」という問いについては、沖縄の81.0%を筆頭に、上位10に福岡など九州・沖縄の6県が入った。半面、「きちょうめんな方だ」との問いの場合、上位10位内に九州・沖縄は入っていない。

 こうした「ご当地時間」はいつごろ誕生し、広まったのか。博多時間の場合、白川教授は「近世の博多商人時代からの名残だが、言葉自体は近代以降に誕生した」とみる。波平さんは「言葉が生まれたのは『支店経済』として福岡市の存在感が増した40年前ぐらい。博多時間は東京からの転勤族など外部の人間が言い始めた言葉」と話す。

 大企業の拠点で潤う支店経済の街は全国にいくつもある。博多にこうした時間感覚が根付いたのは古くからの伝統や風習、文化が今なお色濃く残っていることも背景にあるという。「博多などではしめ飾りを旧正月まで飾るなどの旧暦文化を大事にしており、博多時間の習慣も失われなかった。九州・沖縄の多くの地域でも旧暦文化が残っている」(白川教授)

 明治以降、鉄道や時計の普及で時間を守る意識が国民に広く浸透したが、それ以前の日本人は時間におおらかだったとされる。九州・沖縄に独自の時間感覚を示す言葉が多く存在するのは、昔からの文化や伝統が多く残っていることの証しかもしれない。

(西部支社 後藤伸太郎)