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収益額は1兆8530億円の赤字、国内株以外の3資産がマイナスに
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国内外の株価は上昇、円高による影響で外貨建て資産押し下げ
世界最大の年金基金、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の2022年度第3四半期(10-12月)の運用収益はマイナス0.97%だった。赤字額は1兆8530億円。4四半期連続の赤字は約20年ぶりとなる。
資産別の収益率は、国内債券がマイナス1.73%、国内株式がプラス3.24%、外国債券がマイナス5.33%、外国株式がマイナス0.05%だった。
12月末時点の運用資産額は189兆9362億円と、9月末の192兆968億円を下回った。市場運用を開始した01年度からの累積の収益率(年率)はプラス3.38%、収益額は98兆1036億円。
SMBC日興証券・金融財政アナリストの末沢豪謙氏は、運用結果について「金利上昇と為替の影響が大きかった」と分析。今後もGPIFは基本ポートフォリオを超えたら売却、下回ったら買いという「時価ベースのアセットアロケーションに徹するしかない」と指摘した。
10-12月は国内外の株価が堅調に推移した一方、外国為替市場では円高が進んだ。株価指数でみると、先進国と新興国の株式で構成されるMSCIオールカントリーワールド指数が9.4%高、米国のS&P500種株価指数が7.1%高、東証株価指数(TOPIX)は3%高だった。
為替は円がドルに対して9.4%高、対ユーロでは1%高となり、外貨建て資産の円換算額を押し下げた。
GPIFは、長期の実質的な運用利回り目標として賃金上昇率を1.7%上回る水準に設定し、20年度からは資産配分を国内外の債券と株式に25%ずつ、等分に振り向ける基本ポートフォリオに基づいて運用している。
現在とは収益率の計算方法が異なるが、GPIFが過去に4四半期連続で赤字運用となったのは02年度の第1四半期から第4四半期。当時は円高が進んだほか、巨額の不正会計問題を引き起こした米エネルギー取引会社エンロンが01年12月に破綻するなどした影響で、世界的な株価下落を招いた。
資産構成割合 | 22年12月末 | 9月末 | 6月末 | 3月末 | 21年12月末 |
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国内債券 | 26.07% | 27.26% | 25.65% | 26.33% | 24.95% |
国内株式 | 25.07% | 23.84% | 24.53% | 24.49% | 24.92% |
外国債券 | 24.59% | 25.04% | 25.70% | 24.07% | 24.46% |
外国株式 | 24.27% | 23.86% | 24.12% | 25.11% | 25.68% |
オルタナティブ | 1.43% | 1.47% | 1.32% | 1.07% | 0.92% |
10-12月 | 収益額 | 収益率 |
---|---|---|
運用資産全体 | -1兆8530億円 | -0.97% |
国内債券 | -8475億円 | -1.73% |
国内株式 | +1兆5670億円 | +3.24% |
外国債券 | -2兆6651億円 | -5.33% |
外国株式 | +926億円 | -0.05% |
※GPIFによると、収益額と収益率の計算方法が異なるため、外国株式では収益額がプラスの一方で収益率がマイナスになる現象が発生した
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