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[FT]仏・ベルギーの大手銀救済、リーマン前と酷似

2011年10月10日 10時07分10秒 | 経済
(2011年10月5日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 仏・ベルギー系の大手銀行デクシアが公的な救済措置を受けるとの報道に接し、ある種の既視感に襲われた。実際のところ米リーマン・ブラザーズの破綻直後に公的救済を受けた銀行の中に、デクシアは含まれていた。同行が今回、当局が不良資産だけを集めた「バッド・バンク」を創設して融資保証などの公的支援を受けるという事実は、見かけ以上に重大な意味を持つ。2008年の米証券大手ベアー・スターンズの経営危機と同様、前途にさらに大きな危機が待ち受けている兆候だからだ。


■ベアー・スターンズの危機と相似形




ベルギーとフランスの金融当局はデクシアの救済措置に踏み切る(10月5日、デクシア救済に関する会見に臨んだベルギーのルテルム首相)=ロイター

 破綻したベアー・スターンズとの対比で見ていこう。

 有力企業や機関投資家を相手にするホールセール(大口取引)が主体だったベアー・スターンズは、資金調達の道を閉ざされ経営危機に陥った。一方、欧州銀行が資金をやり取りする際の金利である銀行間取引金利は、この3カ月、2008年当時の米金融市場の同金利と同じような上昇幅を示している。

 ベアー・スターンズの経営危機を契機に下落局面に入った株価は、米S&P500種株価指数が信用収縮が起きてから初めて20%下落し、最終的にはさらに47%下落した。

 4日に新たな下げ相場に入った同指数は、5月のピーク時から20%下落している。

 地方自治体向け融資を中心とするデクシアは、さほど重要でないと言い切れるだろうか。結局のところ仏政府当局者が4日、ロイター通信に語ったように、同行が抱えているのは資金繰り問題であって財務の健全性の問題ではない。しかし全く同じことはベアー・スターンズについても指摘された。


■次のリーマンはどこか


 財務の健全性に問題があるかどうかは、実際のところそれほど重要ではない。ベアー・スターンズは、汚れた炭鉱である米ウォール街で投資家や顧客の恐怖によって破綻へ追い込まれたカナリアとなった。買い手が付かず焦げ付いた信用力の低い米個人向け住宅ローン(サブプライムローン)とそれを組み込んだ金融商品への恐怖がベアーを経営危機に陥れ、その後リーマンの破綻につながった。

 今回のデクシアの場合、恐怖の根拠は特にギリシャなど信用力の低い国債だ。その恐怖に正当性があるかどうかはさほど問題ではない。投資家が知りたいと思うのは、今回、リーマンの役割を果たすのはどこかということだ。ギリシャ政府同様に仏銀も疑いの目で見られている。

 より重要な問題もある。財政的、政治的に強力で、今回も金融システムを救済できる国の政府が果たして存在するのかという疑問だ。


By James Mackintosh

(c) The Financial Times Limited 2011. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.

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