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外国為替市場で、円安が再び加速してきた。10日の円相場は海外市場で一時1ドル=101円台後半と4年7カ月ぶりの円安水準まで下落した。経常収支の黒字縮小など構造的な円安基調が続くとの見方が強く、2008年秋のリーマン・ショック後、約4年半にわたった円高局面は節目を迎えた。
10日の東京市場では前日終値に比べ、1日で約2円50銭も円安・ドル高が進んだ。4月初めの日銀の金融緩和後も越えられなかった「100円の壁」をあっさり越えた。円の先安観が強まり、その後の海外市場でも円売りが優勢となった。
9日のニューヨーク市場で雇用など米景気が予想以上に強いとの見方が広がり、ドル高が進んだのがきっかけだったが、基底には中期的な円安の流れがある。円の主要通貨に対する総合的な実力を示す名目実効為替レート(08年=100)をみると、円は「独歩安」の様相。10日は99.8と4年7カ月ぶり低水準へ低下した。1月以降の下落率は約13%と主要通貨の中で最も大きい。
円安要因のひとつが、経常収支の黒字幅の縮小。10日発表の12年度の経常収支の黒字幅は4兆2931億円と過去最少に落ち込んだ。製造業拠点の海外移転などで貿易赤字の拡大が続いているためだ。経常黒字の縮小は外貨を円に替える需要を減少させ、円が売られやすい構造になっている。
日銀の長期国債の大量購入で、生命保険会社など機関投資家が運用益を求めて外債投資などに向かう兆しも出てきた。
財務省が10日発表した統計では4月下旬以降、2週連続で国内投資家が外債を買い越したことがわかった。日本時間10日未明の米30年債入札でも「日本の生命保険会社が購入に動いた」との観測が広がった。
ただ、一方向で円安が進むとの見方は少ない。日銀が4月に大規模な金融緩和を決めて以降、世界の中央銀行が相次ぎ利下げに踏み切っている。今週だけでもオーストラリアやポーランド、韓国、ベトナムなどの中銀が利下げを発表した。「新興国を巻き込んでの緩和競争」(三菱東京UFJ銀行の井野鉄兵氏)との指摘もある。
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