パナソニックが代表取締役を11人から4人に減らすという人事が話題になりました。会社には、社長、会長、代表取締役などいろいろな肩書・役職があります。でもそもそも「代表取締役って一人じゃないの?」「代表取締役が社長じゃないの?」と思った人もいるかもしれません。代表取締役や社長とはどんな役職なのでしょうか。
代表取締役が「11人から4人に」
パナソニックの従業員は25万7533人。それより多い36万4445人のトヨタ自動車でも代表取締役は2人、27万4850人のNTTでも3人ですから依然、代表取締役という肩書は従業員数で比較すると他社より多いということになります。2017年3月期まで代表取締役が11人いたというのはかなり多いわけです。
代表取締役を減らした理由を、パナソニックは「従来、専務取締役以上を代表取締役としていた考え方」から「経営の必要性に応じ、機能や役割等を勘案し、代表取締役を定める考え方」に変更するためとしています。
つまり専務以上を代表取締役としてきたことが、他社より代表取締役の数が多くなった要因だといえます。合わせて同社では、会長・副会長・社外取締役は執行の役割を持たない取締役」とし、代表権が外れることになりました。実際の業務執行は代表取締役社長と役員そして取締役会で行うということになるのです。
ちなみにトヨタでは会長、社長、副社長の3人が代表取締役となっています。
法的根拠はない「社長」という肩書
そもそも代表取締役、取締役、社長、専務の肩書の違いは何でしょう。
意外と知られていないのですが、会長とか社長、専務、常務というのは会社法で定められているものではなく、会社組織内部のいわゆる「偉い人」の称号です。社長という肩書だけなら会社内部の最高責任者ですが、対外的な責任者ではないのです。そのままだと、てっきり外部向けの最高責任者と思って契約をしたのに、社長には対外的な責任がないとなったら取引先は混乱してしまいます。そこで、社長に対外的な責任を持たせるために代表取締役社長とするのです。対外的な責任がない場合は取締役社長ということになります。
逆に、代表取締役は、会社法に規定された、法的根拠のあるれっきとした肩書です。代表取締役は対外的に会社を代表して業務の執行をします。例えば、代表取締役が他社と取引契約した場合、それは会社を代表しての行為となるため、結果責任は原則、 会社が負うことになります。
パナソニックのような「取締役会設置会社」では、会社法の規定で取締役会が業務執行についての意思を決定します。取締役会のメンバー決定は株主総会で承諾を得る必要があります。取締役会は取締役の中から代表取締役を選定するのです。
ちなみに、会社の定款(企業の根本的な規則)に明記すれば、代表取締役の数には制限はありませんが、代表が複数いる場合でもそれぞれ単独で会社を代表します。
こういうことを知っていれば企業の役員や取締役会について理解しやすくなるでしょう。
(ライター・土肥真也)
代表取締役が「11人から4人に」
パナソニックの従業員は25万7533人。それより多い36万4445人のトヨタ自動車でも代表取締役は2人、27万4850人のNTTでも3人ですから依然、代表取締役という肩書は従業員数で比較すると他社より多いということになります。2017年3月期まで代表取締役が11人いたというのはかなり多いわけです。
代表取締役を減らした理由を、パナソニックは「従来、専務取締役以上を代表取締役としていた考え方」から「経営の必要性に応じ、機能や役割等を勘案し、代表取締役を定める考え方」に変更するためとしています。
つまり専務以上を代表取締役としてきたことが、他社より代表取締役の数が多くなった要因だといえます。合わせて同社では、会長・副会長・社外取締役は執行の役割を持たない取締役」とし、代表権が外れることになりました。実際の業務執行は代表取締役社長と役員そして取締役会で行うということになるのです。
ちなみにトヨタでは会長、社長、副社長の3人が代表取締役となっています。
法的根拠はない「社長」という肩書
そもそも代表取締役、取締役、社長、専務の肩書の違いは何でしょう。
意外と知られていないのですが、会長とか社長、専務、常務というのは会社法で定められているものではなく、会社組織内部のいわゆる「偉い人」の称号です。社長という肩書だけなら会社内部の最高責任者ですが、対外的な責任者ではないのです。そのままだと、てっきり外部向けの最高責任者と思って契約をしたのに、社長には対外的な責任がないとなったら取引先は混乱してしまいます。そこで、社長に対外的な責任を持たせるために代表取締役社長とするのです。対外的な責任がない場合は取締役社長ということになります。
逆に、代表取締役は、会社法に規定された、法的根拠のあるれっきとした肩書です。代表取締役は対外的に会社を代表して業務の執行をします。例えば、代表取締役が他社と取引契約した場合、それは会社を代表しての行為となるため、結果責任は原則、 会社が負うことになります。
パナソニックのような「取締役会設置会社」では、会社法の規定で取締役会が業務執行についての意思を決定します。取締役会のメンバー決定は株主総会で承諾を得る必要があります。取締役会は取締役の中から代表取締役を選定するのです。
ちなみに、会社の定款(企業の根本的な規則)に明記すれば、代表取締役の数には制限はありませんが、代表が複数いる場合でもそれぞれ単独で会社を代表します。
こういうことを知っていれば企業の役員や取締役会について理解しやすくなるでしょう。
(ライター・土肥真也)
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