名言は、心の元気づけにどのような効果を持つかーー名言セラピーの可能性
第1 問題の所在と研究のねらい
認知療法では、不適切な信念、思考が心と行動の不具合をもたらするとして、その変更をカウンセリングの主要な目的の一つとしている。
この考え方を踏まえるならば、適切な信念を持つようにさせれば、あるいは適切な思考ができるようにすれば、それに応じた心と行動の変化を期待できることになる。
本研究では、ポジティブな心と行動の変化を期待して、そうした効果を促す名言を提供し、果たしてそのような変化が期待できものかどうかを検討してみる。
考え方の枠組みは、次のようになる。
名言の提示―>理解―>信念化―>心と行動への効果
ここで、信念化とは、単にその名言を知識として記憶しているだけでなく、みずからの心と行動の変化に効果があると確認することである。具体的な信念化操作としては、
名言の過剰記憶と現場での実践体験を想定する。
なお、名言は言葉で表現される。本研究の背景には、もうひとつ、言語で表現されたものの実効性という基本的な問題意識もある。
言語の行動調整機能については、経験的にも実験的にも実証されているが、
言葉が有する心の調整機能についての心理学的な知見は意外に少ない。その点についても、検討を加えてみたい。
第2 方法
2-1)概要
心を元気にする名言5個と、統制用として、知的活動にかかわる名言5個を用意する。
それぞれの名言について、その心理的イメージをまず計測する。
ついで、それぞれが信念として組み込まれるような操作(信念化操作)を1週間行う。
その後、それぞれの名言に対する心理的イメージの変容と、心と行動への効果を査定する。
2-2)名言の収集と内容分析と設定
① 関連する書籍から、心を元気にする名言を収集して、その内容分析をする。
・ 表現の特徴
・ 語彙分析
・ 表現の特徴
② 3名の合議によって、2つのカテゴリーのそれぞれについて、5個の名言を設定した。
「心を元気にする名言」
「知的活動にかかわる名言」
2-3)名言の心理的イメージの計測
次のような項目ついて5段階で評定
元気がでる
うれしい
楽しい
明るい
そうしたい
2-4)信念化操作
信念として機能させるために、次のような操作を行った。
○実験第1日
① 名言を記憶すること
○実験第2日目から約2週間(各自、以下のことをしてもらう)
② それをおりにふれて思い出すこと(過剰記憶)
③ 名言を実行する試みをする(行動化)
2-5)効果査定
約2週間後に、以下の項目に関して評定してもらう。
元気になった
さらに、次のような項目について内省をとる。
2-)実験参加者
T大学1年生20名
未完です@@@@@@@@@@