知の生態を観察する現場
一つは、認知研究の現場である。大学で「メッシュ化されたカタカナ文字の認識」というテーマで卒論を書いた1965年からこのかた、テーマこそ、パターン認識、漢字情報処理、記憶検索、マニュアル設計、ヒューマン・インタフェースと変わりはしたが、33年にわたり認知研究の現場にいる。そこで蓄積された知見や、「知の生産」の現場での体験、ノウハウ、裏話をしてみたい。
2つは、大学教育の現場である。1968年に徳島大学の教育学部に助手として就職して以来、これもすでに30年になる。教えてきた内容は、仲間には言えないようなものもあったが、認知心理学、教育心理学、心理統計、教育評価あたりが多かった。この間、学生気質も変わったが、こちらも加齢とともに変わった。学生との年齢差という冷厳なる事実もある。いずれにしても、「知の流通」をめぐっての言いたいことは山ほどある。
3つは、身の回りの知の現場である。トフラー氏の本を読んであらためて身の周りを見まわすと、確かに「知」が、溢れんばかりである。コンピュータあり、電話ファクスあり、各種雑誌あり、広告あり、知爛漫である。「知の消費」の現場に否応なしに組み込まれている。 ここでもカルチャーショックがらみの話が、いくらでもある。 主に、この3つの現場から、毎回、トピックを一つ取り上げてみる。
たとえば、、次のようなものである。
○知の生産
論文査読 思考停止装置 翻訳 老人力 朝の仕事術 理工系気質 心理学の研究 税金による研究 業績 記憶術
○知の流通
知のグレーゾーン 本の編集 取扱説明書 卒論指導 カウンセリング・ブーム 手帳 国際学会 書く・話す 広告表現 メディア・リテラシ
○知の消費
コンピュータ・ゲーム 新聞購読 車の運転 読書 小銭 入試