アカデミズムの中には、構造的に自閉志向がある。研究の水準を高めるためには、理論的な体系の高度化をめざすことになる。そのためには、どうしても現実よりは理論のほうに目を向けて研究をすることになる。理論が理論を呼ぶような研究環境が作り出されてくる。現実と切り結ぶ研究は、どうしても理論的には雑になりがちで、したがって、評価もされないため、手を出す研究者も少なくなる。かくして、研究環境全体が現実離れした自閉的なものになってくる。
この傾向は、その学問領域が成熟してくればくるほど強まる。1世紀余の歴史を経て心理学も、成熟学問の域に達したのかもしれない。しかし、成熟はたちまち衰退につながるのが世の常である。そうならないための一つのヒントが、臨床医学や工学の研究スタンスの中にあるように思う。
この傾向は、その学問領域が成熟してくればくるほど強まる。1世紀余の歴史を経て心理学も、成熟学問の域に達したのかもしれない。しかし、成熟はたちまち衰退につながるのが世の常である。そうならないための一つのヒントが、臨床医学や工学の研究スタンスの中にあるように思う。