キャリアの悩み
相談者:放送作家/26歳/男性
企画が降りてこない!
悩み:
よろしくお願いいたします。
私は放送作家として仕事をしています。まだまだ経験が浅いので収入は低いですが、この道でがんばっていきたいと思っています。
しかし、ここ最近になって番組の企画がまったく思い浮かばなくなりました。直近で出した企画もすべて不採用でした。
台本書きに会議、仕事の人付き合いで忙しくなりすぎていることが原因かな?とも思いましたが、もしかして企画系の仕事に限界がきているのかと不安になります。このままこの状態が続けば転職も止むを得ないと思っています。
柔軟で面白い発想ができるような良い習慣などありますでしょうか?
ご教示いただけると幸いです。
この相談には海保カウンセラーがズバリ答えます!
お答えします。
●まずは、現状認識
企画が浮かばない、提案が通らない状態は不安ですね。
組織に属しているビジネスマンなら仲間もいますし、長い射程で考えればよいので気楽ですが、一人で台本書き一本で生活している(?)わけですから、あなたの不安な気持ちは、よくわかります。
あなたは今、26歳という年齢から推察すると、初期段階のスランプ状態(一時的な進歩の停滞)にあると思います。「3年の壁」とも言われます。
あなたのご相談の趣旨である「柔軟で面白い発想ができるようになる良い習慣作り」のほうにいきたいのですが、その前に少し寄り道をさせてください。
岡本浩一「上達の法則」(PHP新書)という本があります。ぜひ、一読してみてほしいのですが、そのなかに、心理的飽和という概念が紹介されています。あれこれに興味関心がありたくさんの友人がいるような人が落ちいりやすい「疲れた、飽きた」という状態です。
「会議、仕事の人付き合いで忙しくなりすぎている」状態から推察すると、今のあなたはこの心理的飽和状態ではないでしょうか。
それからぬけだすには、岡本氏によると、何か今していることとは別の種類のこと、たとえば、スポーツや旅行、さらには次に述べるようなことをしてみることをおすすめします。
●柔軟で面白い発想ができるようになるためには
「発想法」の本は掃いて捨てるほどあるのはご存知だと思います。わたくしも1冊書いたことがあります(笑い)。そんななかの何冊かを買い込んで、これは使えるというようなものを見つける努力はありです。
ただ、これは、あなたの頭の中にあるものの素材(知識)を引き出し、あれこれつなぎ合わせて斬新なアイディアを発想するための手法ですので、素材が貧弱であれば、それをベースにしたアイディアもあまり期待できるものにはなりません。
そこで、頭の中に新たな素材を蓄積することが、発想のインフラとして大事ということになります。もしかすると、あなたの今の企画不振の根本的な原因がここにあるかもしれません。
そこで、新たな素材を蓄積するためにおすすめするのは、次の2つです。いずれも、一時的で付け焼刃ではだめで、一生ものです。今後、一流の放送作家として大成するためには持続的な習慣にする必要があります。
その一つは、興味関心のある現場に自分の身を置いてそこでの体験を深化させることです。平凡な現実では、そこからの発想も平凡なものになってしまいますので、できれば今現在の状況を変えて、そうですね、外国体験あたりがおすすめです。いわば、ルポ作家、あるいはドキュメンタリー製作者になるようなものです。
もう一つは、仮想世界を豊かにすることです。たくさんの映画やTVを見て、小説を読み、空想を豊かにすることです。これに現実体験がうまく共振すれば、すばらしいアイディアがふつふつとわき出てくるはずです。
「3年の壁」は突破してこそ次のもう一つ上の熟達段階へとスキルアップできます。26歳、まだ若い、これからです。がんばってください。