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ポジティブマインド作り

2012-03-14 | ポジティブ心理学

ポジティブマインド作り

そのブログの記事は、腫々雑多であるが、と

きおり、連載じみたこともやる。その一つが、「ポジティブマインド作り」である。

 うつうつとした不機嫌な社会にあって、せめて心だけでも元気になろうよ、という檄を飛ばす内容のものであるが、実は、自分への檄も半分はある。

こういう記事を書いてみて実感したのは、皆さん元気になりましょう、とあれこれその方策を書いているうちに、自分も本当に元気になれることであった。

 その大枠は、領域を4つに分けて、それぞれの領域でキーワードを設定して心を元気するためのコツを考えていくというものである。(「海保 心の元気づくり」で検索するとあちこちに書いたりブログにアップした記事が出てくるはず。なんと講義動画まである。笑い)。

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第1部 頭を元気にする習慣づくり         

連想  熱中 努力 内省 希望 質問など

第2部 気持ちを元気にする習慣づくり

心身一如 信念 幸福感 感動 達成感など

第3部                仲間を元気にする習慣づくり

笑い ほめ言葉 感謝 傾聴尊敬 寛容など

第4部                心を元気にするもの

小説 祭り 食事 TV 歌 ペット若者など 


リハーサル「学生が解説すると

2012-03-14 | 心理学辞典

リハーサル(rehearsal>

 私たちは難しい言葉や英単語などを覚えるとき、その言葉を頭の中で繰り返したり、何度も何度も口に出したりして覚えます。このように情報を記憶する時に、頭の中や、時には声に出して何度も反復することをリハーサルと言います。これは短期記憶の中にある知識を長期記憶に保存するための方法です。リハーサルの回数が多ければ多いほど再生率が高くなるとされています。リハーサルには2つの型があり、それぞれ維持リハーサルと精緻化リハーサルと呼ばれています。維持リハーサルは短期記憶内に記憶を維持し、忘却を防ぐためのリハーサルです。精緻化リハーサルは統合的リハーサルとも呼ばれ、情報をある形式から別の形式に変換し、短期記憶から長期記憶に記憶を転送し、長期記憶の構造に統合するためのリハーサルです。

たとえば英単語を覚えるとき、単語一語をそのまま繰り返すようなやり方が維持リハーサル、すでに知っている単語との関連で覚えたり、語呂合わせなどを使って記憶するやり方が精緻化リハーサルです。単語を覚える例に限らず、歴史で鎌倉幕府ができた年号を「いいくにつくろう鎌倉幕府」などと覚えたり、ルート5を「富士山麓オーム鳴く」などと覚えるのは精緻化リハーサルの例です。(SH)

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 記憶には2つの種類があります。1つは長い間覚えていられる「長期記憶」と、もう1つは短い間しか覚えられず、すぐに忘れてしまう「短期記憶」があります。

 たとえば、漢字の読み方や英単語を覚えるようとするとき、何度も声に出して覚えようとした経験は誰にでもあると思います。このような行動を「リハーサル」といいます。リハーサルは短期記憶の中にある知識を長期記憶に移すための方法であると言えます。

ある単語をそのままくり返すようなやり方を「維持リハーサル」、すでに知っている単語との関連で覚えたり、語呂合わせなどを使ったりして記憶するやり方を「精緻化リハーサル」と言います。たとえば鎌倉幕府ができた年号を「いい国(1192)作ろう鎌倉幕府」などと覚えるのは精緻化リハーサルです。

このようにリハーサルは情報を長い間記憶する上でとても重要な行動であると考えられます。リハーサルはテストなどに役立つと思いますので、ぜひ使ってみてください。(KY)

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 ここで言うリハーサルというのは、皆さんが普段使うような意味でのリハーサルとは、ちょっと違います。皆さんは例えば、「本番の前にリハーサルをする」といったような使い方をすると思います。

 しかし、心理学ではこのリハーサルという言葉を、記憶するとき、つまり私たちが物事を覚えるときに使います。

 私たちは、一度物事を覚えたとしても、何もしなければその覚えた物事をすぐに忘れてしまいます。そうではなくて、長い間物事を覚えておくために、心の中でその物事を繰り返すことを、リハーサルと呼ぶのです。

 例えば、先生が授業中に英語の単語を言ったとします。このとき、私たちはその単語を忘れないために、頭の中で繰り返し発音したりします。これが、私たちが普段よく行うリハーサルの例です。

 このリハーサルには、文字やイメージなどの視覚的な情報や、発音などの聴覚的な情報が関わっていることが分かっていますが、特に聴覚的な情報、つまり音がリハーサルに大きな影響を与えていると言われています。(YO)


拍手「周りを元気に

2012-03-14 | ポジティブ心理学

拍手「拍手は、場を盛り立てる」 

●拍手、あれこれ

ひそかに拍手先生とよんでいる先生がいる。学生が発表したり、質問に答えたりすると、「はい 拍手」。もちろん、すべてにわたり、ポジティブに評価する先生です。

そう言えば、アメリカ人がよくやるスタンディング・オベーションもいいですね。

すばらしいこと、感動したことを素直に全身で表現しているわけですから、そうさせた本人にとって、これほどうれしいことはないはずです。

自分も、最後の講義のときに、学生全員が期せずして立ち上がり、「先生、ありがとう。講義、すばらしかったです」とばかりに拍手のなかを退場というシーンを夢みて、これまで40年近くやってきました。まことに残念なことに、そんなことは、一度もありませんでした(恥ずかしい!)。そういう光景を実は、UCLAの心理学の授業でみたことがあります。

何にしても、よいことは素直によいと表現すること。

拍手はその一番有力な手段です。

 

●拍手効果

拍手効果。馬鹿になりません。2月になるとおこなわれる卒論発表会をイメージして、その拍手効果を考えてみます。

①    場にメリハリをつける効果

 拍手は音を発生します。それまで静まりかえっていた場に、一斉の拍手の音が鳴り響けば、区切りになります。

 卒論の発表会では、次々に発表があります。それが終わるたびに拍手すると、一区切りついたころになります。拍手が、一つが終わって次が始まることのシグナルになります。

②    ポジティブな雰囲気にする効果

 拍手は、すばらしいこと、感動したことを相手につたえるための道具です。

途中の真剣な聴取態度、うなずき、笑顔に加えて、拍手があれば、場は完璧にポジティブな雰囲気になります。

残念なことに、卒論発表会では、これはあまりありませんが、それでも、拍手の音量で少しはそのあたりの雰囲気を感ずることができます。

なお、日本の学会発表では、拍手はなしで平穏が常なのですが、時には、期せずして拍手が起こるようなことも何度かありました。すばらしい発表だったからです。

③    参加者をその場へ積極的に関与させる効果

これにはレベルがあります。

レベル1 周りが拍手するので自分もする(義理拍手)

レベル2 周りがするから自分もするが、ひときわ強く拍手をする(気配り拍手)

 レベル3 あまりすばらしかったので思わず拍手してしまった(真正の拍手)

 むずかしいのは、言うまでもなく、レベル3ですね。思わず拍手してしまった、でも、誰も追従してくれなかった、では恥ずかしいし、座がしらけますから。

レベル2くらいが無難なところですね。

 

●拍手で周りを元気にする拍手をするコツ

①率先して拍手を

 レベル3は、確かに難しいのですが、気持ちは、これですね。自分から率先して、すばらしいものはすばらしい、だから拍手を、という気持ちですね。

 「拍手リーダー」になるくらいの気迫?があってもよいのではないでしょうか。

 それは、相手や場のポジティブな面にあなたを注力させることにもなります。

 日本では、レベル1、それも、司会者から強制されての拍手が多すぎます。もっと自発的な拍手があってもよいと思います。講演が終わったとたん拍手なんてこと、12度はあったように思いますが、たいていは、司会者が「では、盛大な拍手で先生をお送りしたいと思います」ばかりでした。

 余談になりますが、我が国の国会のヤジ。なんとかならないものでしょうか。与野党そろっての拍手とまでは言いませんが、せめて静かに耳を傾けるくらいにならないかと思います。

②手をたたく強さを変える

 拍手は、一人ではあまりやりません。周りと一緒にすることになります。

 不本意拍手も感動拍手もあります。いつも同じではなく、拍手に強弱をつけて、それを表現することになります。感動拍手は、とりわけ、目立つようにからだ中でやりたいものです。

③    笑顔、うなずきも大事

拍手には、一段落して総括的な評価ということになります。そこにいくまでの熱心なまなざし、うなずき、笑顔、即座の反応も忘れてはなりません。その累積としての拍手になれば、言うことなしです。


心理師の国家資格の創設の要望

2012-03-13 | 教育

日本心理学諸学会連合というのがあります

45の心理系の学会が集まった組織です

そこから「心理師」の国家資格創設の要望が国に提出されています

応援、よろしくお願いします

 

なお、会員数の多い順に

心理臨床学会 24000人

心理学会 7600人

LD学会 7300人

教育心理学会 6800人

カウンセリング学会 5300人


第4回心理学検定の結果

2012-03-13 | 教育

心理学の知識を問う検定試験が今年で4年目
年々受験者数が増加
1300人からはじまり第4回は2000人に
第4回の結果 2184人の受験者
1級合格者 24%
2級合格者 33%

東京成徳大学の臨床心理学科では、すでに1名の1級合格者がでました


豪華朝食メニュー

2012-03-13 | 心の体験的日記

だいたい、朝、豪華、だんだん貧弱がパターン

今朝は

ラッキョウ

ほうれんそうのごまあえ

温野菜

あゆの甘露煮

牛乳

 

これでも、まないたを使わないで

はさみだけで

10分で

ごはんは、朝一で自動炊飯の準備をする


運動用めがね

2012-03-12 | 心の体験的日記

 

テニスコート

夕日が非常にまぶしい

昨日、運動具店で、

あのマラソン選手がつけてるような

めがねがほしいといったら、

出してくれた

18000円をはたいてかった

これが大成功

軽くてまぶしくなくて

それが奏功してか、

1敗しかしなかった わらい

運動には道具が大事


習慣の行動的なレベルでの特徴

2012-03-12 | 認知心理学

習慣の行動的なレベルでの特徴を挙げてみると、次の2つになる。
 1つは、その時その場に臨めばいつも同じ行為をする。
 2つは、その行為は最初のきっかけ(トリガー刺激)によって自動的に要素行為が進行していく。多くは、時間がトリガー刺激になるが、場(状況)や声掛けなどによっても自動的に進行する。
 さらに、行動は認知によってガイドされている。習慣的な行動も同じである。その認知レベルでの習慣の特徴は、3つある。
 1つは、認知的な努力はほとんど払われることはないことである。あたかも、状況にガイドされて動く自動機械のようなものである。
 2つは、したがって、行為全体は意識的であっても、要素行為は無意識的なことである。いつもと同じ状況であれば、何も考えずにいつもの行動ができる。
 3つは、行為も自動的に進行するが、それをガイドする認知過程も運動スキーマ(行動をガイドする知識のまとまり)に従って自動的に進行することである。


アクセス数分析

2012-03-12 | Weblog

元旦からのアクセス数

偶然だが、

アクセス数が26000

閲覧数が260000 でアクセス数のちょうど10倍

ただそれだけでした

愛読感謝です

たんたん

たくさん

たのしい記事アップにこころがけます

 

桜さま

greenさま

楽しいコメ

感謝です

桜さまの名句と映像にも

感謝です

 

 


研究室での小ドジ

2012-03-12 | 心の体験的日記

研究室の電話の子機はどこにでもおいておける

便利だが、

とっさに電話がかかってきたとき

子機がどこにあるかがわからない

パニくっているうちに電話がきれてしまう

ことが何度かある

音源定位はマクロにはできるが

ミクロには意外と難しい

なお、携帯にはほとんど出ることはない

留守録まであるもの、登録番号ありの電話については、

コールバックする

ようにしている

なお、家の固定電話はほとんど使っていない

解約しようかと思っているのだが

一括契約になっているし

解約料金が馬鹿高い

この業者、なにかと騙し商法に近いプランが多いので

要注意

パソコンさえないなら、全部解約したいのだが

今度は、TVが見られなくなる

うーん

 


保健体育科の目標

2012-03-12 | 健康・スポーツ心理学

保健体育科の目標と心理学の関連

<中学校(平成20年3月告示)>

 心と体を一体としてとらえ、運動や健康・安全についての理解と運動の合理的な実践を通して、生涯にわたって運動に親しむ資質や能力を育てるとともに健康の保持増進のための実践力の育成と体力の向上を図り、明るく豊かな生活を営む態度を育てる。

<高等学校(平成21年3月告示)>

 心と体を一体としてとらえ、健康・安全や運動についての理解と運動の合理的、計画的な実践を通して、生涯にわたって豊かなスポーツライフを継続する資質や能力を育てるとともに健康の保持増進のための実践力の育成と体力の向上を図り、明るく豊かで活力のある生活を営む態度を育てる


きょうの小ドジ

2012-03-12 | 心の体験的日記

人の名前がとっさに出ない

とっさに誤った名前を言う

これが高齢者想起の特徴ではある

これがだんだんひとくなる

今日は、テニス仲間の名前

さない、えはら、さんの名前が出なかった

おおすぎさんをこすぎさんと読んだ<<大きいと小さいの違い 許せ です 笑い

すみません


「組織としての事務ミスを防ぐ」

2012-03-11 | Weblog

「組織として事務ミスを防ぐ」

①    「ヒヤリハット情報」を共有する

一人でおかすミスは限定されていても、組織のメンバーそれぞれがおかすミスを集めれば、かなりの数と種類になるはずです。

   そのためには、組織の安全文化の中に、ミスは誰もがおかすもの、したがって、隠しだてはしない、という共通認識をまず共有する必要があります。そのうえで、ミス情報をメンバーが共有できるシステムを作ることになります。

 かつて本誌39号で、「やいがや(わいわいがやがや)会議」を提案したことがあります。自らのミスを開示してメンバー間でミス情報を共有してすることを企図したものです。

②稟議を実効のあるものにする

「書類に印鑑がずらり」は、事務書類ではごく普通です。稟議です。ほとんどがめくら判になりますが、時には、とても重要な案件が紛れ込むことがあります。

 稟議は、ミス防止の観点からすれば、安全工学で言う、多重チェックになります。ひとりが見逃したミスも、次の人によって気がつくことを想定したシステムです。ミス防止には強力な方策の一つですが、ここにも、注意しなければならないことがあります。

 それは、責任の社会的分散と社会的手抜きです。

 「あの人がオーケーなら、まー大丈夫、次の人がチェックするからまーいいか」の連鎖で、結果としてとんでもないミスの発生となってしまうことです。

 書類だけでの稟議には、この危険性が高くなりますので、案件の重要度に応じて口頭、面談での稟議も必要です。手間隙がかかりますので、仕事の重要度い応じた仕分けが必要となるところです。

①    組織のミス文化を変える

「ミスにやさしい組織は人にもやさしい」

「ミスを憎んで人を憎まず」

こうした考えが貫徹している組織は、ミスに強いというのが私の長年の観察から得た信念です。

 組織での仕事には、ミスゼロを志向しなければならない領域もありますが、それでもミスがおこるのが人間ですし、人間の作った組織です。

さらに、一方では、むしろミスにめげずに挑戦しなければならない領域もあります。「怪我の巧妙」が必須の領域もあるのです。

そのことを組織として共通の認識とすれば、角を矯めて牛を殺してしまうようなことにはならないと思います。


薬局における鑑査という業務におけるミス

2012-03-11 | ヒューマンエラー

 

 

---薬局における鑑査という業務について、どのようにお感じですか。

海保 今回、薬局で鑑査という作業をしていることを初めて知りましたが、鑑査は、一般的に言えば「確認」の作業に当たります。確実性を求められる重要な作業ではあります。

ただ、鑑査のおかれた環境は、他業種に比べてさほど過酷ではないように感じます。 というのは、時間に余裕があるからです。バスや電車の運転士とか、飛行機のパイロットとかいう人たちの仕事の時間の流れとは違って、ある程度、自分で仕事の流れをコントロールできる時間的な余裕があるからです。確認作業ということに対する知識とスキルを持って、それを意識的に行えます。

 実際には、のんびりやっていたら、患者さんに「早くしろ」と言われるかもしれませんが、かといって、自分が作業を一時ストップしても、それで何か起こるわけでありません。

切迫した状況で作業をすると、あわててエラーをしてしまう怖さがあります。ブレーキとアクセルを踏む、間違えるようなミスです。

 鑑査は、自分のペースでできます。ですから、鑑査のテクニックをしっかり学んだり、同業者がどういう工夫をしているを知り、それを自分が意識的に使って監査をよりミスのないものにできます。

 

---特集では、鑑査の具体的な工夫がいろいろと集まりました。これらをご覧になって、いかがですか。

海保 確認作業には、「ダブルチェック」「動き」「見える化」の3つが大切です。「声を出しながら確認する」というのは、目で見て、声に出すという意味では「ダブルチェック」でもあるし、「動き」でもある。指を差したり、処方箋に丸を付けたりというのは、「動き」でもあり、「見える化」でもあります。この3つをうまく組み合わせることで、確認作業の精度が増します。調査に寄せられた実例を見ると、みなさん上手に工夫をされていると思います。

 

---鑑査の方法をルール化している薬局もありましたが、ルール化は、した方がよいのでしょうか。

海保 ルール化は、確認の大事さを全員で共有するという意味では重要です。「調剤と鑑査は別の人間が行う」といったルールであれば、組織としてのマネジメントにもつながります。

 ただ、ルール化してしまうと、すぐに慣れてしまい、例えばダブルチェックをしても、それが機能しなくってしまう場合があります。彼がやったんだから自分はいいやとか、彼女がやったなら間違いないだろう、とかいうものです。責任が分散してしまうのです。

 これは、心理学の世界では「社会的手抜き」とか「フリーライダー」(ただ乗り)とか言います。人間は横着な存在です。意識せずに力を抜いてしまうのです。しかも鑑査は、1000回に1回くらいしか起こらないミスを見つけることが目的なわけですから、自分だけに責任がないなら、ついついて手抜きをとなりがちです。

 

---ルール化すると、作業に慣れが生じてしまうことも心配です。

海保 そうです。ルール化には、社会的手抜きのほかに、次第に、その作業に注意を払わなくなるというリスクもあります。「確認行為」はしているんだけど、実際に「確認」はしてない。これは確認作業に伴うパラドックスなんです。

 指差し確認をした。してはいるんだけど、指を指しているだけで、頭の中では「今日の昼飯は、何を食おうかな」と考えているとかね(笑)。

 厳格なルールを作ると、どうしてもそういうことが起きてくる。確認作業では、形骸化が一番怖いんです。一般に、エラーの発生確率が低いほど、確認作業が形骸化しやすいとされています。

 社会的手抜きや形骸化を防ぐには、作業に、自分なりの工夫を入れ込むこと、それを意識的に行うことが大事です。人に言われたからやるのではなく、自分の意志で確認する主体性が大事です。

 ですからルールは、「ここは2人で確認する」くらいにして、どっちが先にやるかとか、具体的なやり方については、現場で話しあいをして、時々変えてみるというのがよいと思います。

 

---「ここで指を差す」なんていうのは、決めちゃいけないわけですね。

海保 いや、大事なところなら、そうした取り決めも必要でしょう。ただ、そこに個人の工夫ができる余地は残しておく。極端な例ですが、指差し確認の手の角度を何度にして、なんていうルールを決めているようなケースもあるんですよ。声出しは、大きな声でとか。

 でも、そこは、その人なりにやっていい。その工夫を、個人がしているかどうかが大事なんです。確認が効果的になるように、自分なりに、決められた範囲内で工夫するということです。それが、確認行為の形骸化を防ぐことになるからです。

 例えば、いつも右手で確認するんじゃなくて、今週は左手でやってみようとか。つまらないことかもしれませんが、これだけでも、確認の意識改革ができる。あるいは、いつもは50cm離れて処方箋を眺めているのを、今日は指で触って指差し確認をしようとか。自分なりに工夫をすることで意識化ができますから、社会的手抜きなどによるミスも防げます。

 

---鑑査の精度を高めるために、休憩を取るというのは有効でしょうか。

海保 休憩は大切です。集中して作業をしていると、自分自身が疲れていることになかなか気付きませんから。これもパラドックスで、一生懸命やっているほど疲れを感じない、でも、実際は疲れていて、効率は落ちている、ということになります。

 ですから、何時になったら休むとか、何時間やったら休むとか、強制的に決めておく必要があります。60分か90分ごとに休みをとるというのが目安です。

 昼寝もおすすめです。30分くらい寝る。昼休みに同僚としゃべるなんて時間がもったいない。しゃべるって、結構疲れるでしょう。気を使うからリラックスにはならない。午後に備えて、昼寝をするのが一番です。しゃべって飲むのは夕方から、ということで(笑)。

 

---鑑査をしている人には、電話をとりついだり、話しかけたりしないという工夫もいくつかありました。

海保 鑑査に限らず、ミスを防ぐには重要です。仕事を効率よく進めようとすると、色々なことを並行してやってしまうようになります。これを「多重課題」といいますが、これがミスの引き金になる。車を運転しながら、携帯電話を使って事故といったようなものが代表的です。

 でも現実には、頭の中まで含めれば、誰もが常に多重課題をやっているんです。考え事をしながら仕事をするというやつです。「あの仕事はどうしようか」などと考えながら作業をしてしまう。

 これを避けるには、考えなければいけないこと、あとでやらなければいけないことを、全部書き出しておくのが効果的です。これを「外化」といいます。看護師さんが、やらなくちゃいけないことを手の甲に書いたりしているのを見ますよね。あれが外化です。作業にせよ、考え事にせよ、目の前の作業と並行してやるんじゃなくて、書き出しておいて、後で順番にやる。ToDoリストを作って、作業を系列化、シリアル化することで、多重課題を避けるわけです。

 とにかく書き出すことで、頭の中から外に出せますから、今やっている仕事に集中できるようになるはずです。