音声知覚(speech perception><<学生による解説
音声によるコミュニケーションの仕組みについては、おおむね(1)音声の産出(2)音声の伝播(3)音声の知覚、認識、理解の3つの領域に分けることができます。
まず、音声の産出において重要なことは、話し手は聞き手に理解してもらえるように話しているということである。これはあたりまえのことのように思えるかもしれませんが、音声を生み出すことと音声を知覚することは、密接な関係にあるのです。しっかりとした音声が発せられて初めて、きちんと相手の音声を理解することができるのです。
音声知覚は、ある人の発した音声を他の雑音などと区別し、言語や話者の感情などを認知する過程のことです。このように言葉で言う分には、とても簡単なことのように思えるかもしれませんが、音声知覚の過程は実は非常に複雑であるということが研究によってわかってきました。この過程には相手がなんと言ったかを理解することに集中できるように、という自然の計らいがあって、その複雑さが覆い隠されているのかもしれません。もしこのようなことが自然にできず、音声知覚に必要なすべての処理を意識しなくてはならないとしたら、おそらく言われたことのほとんどが、話の聞き手に理解される前に消えてしまうでしょう。
最近、このような複雑な過程で行われる音声知覚を、機械に行わせる技術の研究が進められています。現在でも語彙数に制限はありますが、音声を認識して反応するコンピュータは実用化されています。音声知覚に関する研究がもっと進めば、声でテレビのチャンネルを変えるなど、リモコン要らずの生活が実現する日もそう遠くはないかもしれません。(SA)
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日常の生活の中で、他人に何らかの感情や考えを伝えようとすることをコミュニケーションと言います。そうした時には、手紙の様に文字で表現したり、直接相手に言ったり、あるいは身振り手振りで示したり、などといった手段が使われます。その中でもおそらく一番頻繁に使用されるのは言葉を口にすること、つまり音声によるものではないでしょうか。
音声は、声帯の振動が声道を通り、口蓋・舌・顎・唇などで調節されて発せられます。親子や兄弟姉妹などの声は似ていることもありますが、ひとりひとり微妙に違っています。また、同じ言葉でも、声の調子によってはまったく違うことを言っているように感じられたりもします。例えば、あなたが久しぶりに会った友達に「元気?」と聞いたとします。「元気だよ!」と明るい声で言われたならば違和感はありませんが、暗く沈んだ声で「元気だよ」と言われても、とてもそうは思えないでしょう。私たちは、ちょっとした声の違いからそれが誰なのか気がついたり、気持ちを読み取ったりということを、生活の中で何気なく行っています。このように、ある人の音声を他の音声から選出・区別し、言語の種類や話している人、またその人の感情などを認知する過程を、音声知覚といいます。(KM)
音声によるコミュニケーションの仕組みについては、おおむね(1)音声の産出(2)音声の伝播(3)音声の知覚、認識、理解の3つの領域に分けることができます。
まず、音声の産出において重要なことは、話し手は聞き手に理解してもらえるように話しているということである。これはあたりまえのことのように思えるかもしれませんが、音声を生み出すことと音声を知覚することは、密接な関係にあるのです。しっかりとした音声が発せられて初めて、きちんと相手の音声を理解することができるのです。
音声知覚は、ある人の発した音声を他の雑音などと区別し、言語や話者の感情などを認知する過程のことです。このように言葉で言う分には、とても簡単なことのように思えるかもしれませんが、音声知覚の過程は実は非常に複雑であるということが研究によってわかってきました。この過程には相手がなんと言ったかを理解することに集中できるように、という自然の計らいがあって、その複雑さが覆い隠されているのかもしれません。もしこのようなことが自然にできず、音声知覚に必要なすべての処理を意識しなくてはならないとしたら、おそらく言われたことのほとんどが、話の聞き手に理解される前に消えてしまうでしょう。
最近、このような複雑な過程で行われる音声知覚を、機械に行わせる技術の研究が進められています。現在でも語彙数に制限はありますが、音声を認識して反応するコンピュータは実用化されています。音声知覚に関する研究がもっと進めば、声でテレビのチャンネルを変えるなど、リモコン要らずの生活が実現する日もそう遠くはないかもしれません。(SA)
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日常の生活の中で、他人に何らかの感情や考えを伝えようとすることをコミュニケーションと言います。そうした時には、手紙の様に文字で表現したり、直接相手に言ったり、あるいは身振り手振りで示したり、などといった手段が使われます。その中でもおそらく一番頻繁に使用されるのは言葉を口にすること、つまり音声によるものではないでしょうか。
音声は、声帯の振動が声道を通り、口蓋・舌・顎・唇などで調節されて発せられます。親子や兄弟姉妹などの声は似ていることもありますが、ひとりひとり微妙に違っています。また、同じ言葉でも、声の調子によってはまったく違うことを言っているように感じられたりもします。例えば、あなたが久しぶりに会った友達に「元気?」と聞いたとします。「元気だよ!」と明るい声で言われたならば違和感はありませんが、暗く沈んだ声で「元気だよ」と言われても、とてもそうは思えないでしょう。私たちは、ちょっとした声の違いからそれが誰なのか気がついたり、気持ちを読み取ったりということを、生活の中で何気なく行っています。このように、ある人の音声を他の音声から選出・区別し、言語の種類や話している人、またその人の感情などを認知する過程を、音声知覚といいます。(KM)