法務問題集

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民法 > 親族 > 親権 > 効力 > 利益相反行為

2013-09-17 00:00:00 | 民法 > 家族法
【問題】
01. 親権者から子への財産の有償譲渡は、利益相反行為に該当する。

02. 親権者が自身の借入金債務について子所有の不動産に抵当権を設定する行為は、利益相反行為に該当する。

03. 親権者が子の借入金債務について子所有の不動産に抵当権を設定する行為は、利益相反行為に該当する。

04. 親権者(母)が夫(子の義父)の借入金債務について子所有の不動産に抵当権を設定する行為は、利益相反行為に該当する。

05. 第三者の金銭債務の連帯保証人である親権者が、子を代理して、同一債務について連帯保証をし、親権者と子の共有不動産に抵当権を設定する行為は、利益相反行為に該当する。

06. 親権者が数人の子を代理して遺産分割を協議する行為は、利益相反行為に該当する。

【解答】
01. ○: 民法826条(利益相反行為)1項

02. ○: 最判昭37.10.02 要旨
 親権者が自己の負担する貸金債務につき未成年の子の所有する不動産に抵当権を設定する行為は、借受金を右未成年の子の養育費に供する意図であっても、民法第826条にいう「利益が相反する行為」にあたる。

03. ×: 大判昭08.01.28

04. ×: 最判昭35.07.15 理由
(略)上告人の親権者(母)であったDは、当時その夫であったE(上告人には継父にあたる)が被上告人から金員を借受けるについて、上告人の法定代理人として、上告人を債務者とし、上告人所有の本件各不動産に抵当権を設定し、かつ判示賃借権設定の契約を締結し、それぞれ判示登記を経由したというのであるが、右金銭貸借、抵当権設定等は、Dはその夫たるEのためにしたものであって、D自身の利益のために為されたものでないことは原判決の認定するところである。
とすれば、右の行為をもって、親権者たるDと上告人との間の民法826条にいわゆる「利益が相反する行為」というにあたらないとした原判決は正当であって、論旨は採用することはできない。

05. ○: 最判昭43.10.08 要旨2
第三者の金銭債務について、親権者がみずから連帯保証をするとともに、子の代理人として、同一債務について連帯保証をし、かつ、親権者と子が共有する不動産について抵当権を設定するなどの判示事実関係のもとでは、子のためにされた連帯保証債務負担行為および抵当権設定行為は、民法第826条にいう利益相反行為にあたる。

06. ○: 最判昭49.07.22 要旨2
遺産分割の協議は、民法826条2項の適用上は、利益相反行為に該当し、(略)

【参考】
民法第826条 - Wikibooks