天網恢恢疎にして漏らさず

映画レビューを中心に(基本ネタバレバレです)スキーやグルメ他、日々どうでもいいような事をダラダラと綴っています。

【映画】「ファーストラヴ」@6作目

2021年02月24日 | 映画感想
「ファーストラヴ」

島本理生氏著の直木賞受賞作(同名タイトル)を実写映画化。原作小説未読です。
北川景子ちゃんが主演だけど中村倫也さん、芳根京子ちゃんの3人で「トリプル主演」扱いしてもいい感じ。

あらすじ
アナウンサー志望の女子大生、聖山環菜(芳根京子)が父親を刺殺する事件が発生。環菜のドキュメンタリー本の執筆を依頼された公認心理師の真壁由紀(北川景子)は、面会や手紙のやり取りを重ね、環菜の周囲の人々を取材する。環菜に自身の過去を重ね合わせた由紀はやがて、心の奥底にしまっていた記憶と向き合うことになる(Yahoo!Movieから丸パク)

中村倫也さんは環菜の担当弁護士役で、更に由紀の旦那さん(窪塚洋介さん)の弟…実際は弟ではなく従兄弟関係なんだけど幼少期に母親が失踪した為伯母(母親の姉)の家に引き取られて兄弟のような関係で育った、というバックボーンがある。
本作を観た、とSNSにUPしたら「興味がある、感想聞かせて」と友達が言ってきたんだけど、それに対してレスしたのが「一言で表すと【激重胸糞トラウマ系】」
母親に見捨てられた、母親の愛情に飢えている迦葉(中村倫也さん)、幼少期に美大教授の父親にデッサンモデルを強要され、その際に男性ヌードモデルと同席させられたり父親の生徒である男性画学生達からスキンシップを受けた事で性的トラウマを持っている環菜、実父が仕事で度々フィリピンに出張する度に現地で幼女回春を繰り返していた事を知ってやはり性的トラウマを抱えている由紀、3人3様トラウマ持ちでそれが「父親殺し」の事件真相と絡まってそれぞれが自分のトラウマに向き合っていく、という内容。

正直言って「描写が甘い」というのが第一印象。
本作の軸が【性的トラウマ】だと思うのですが、その性的トラウマの掘り下げが甘過ぎると思う。
昨今この手の話題は割とタブー視されがちなのでど真ん中どストレートに「父親(画学生、アルバイト青年)から性的虐待を受けた」みたいな衝撃的な描写は敢えて避けてソフトな表現でうやむやにしたのだろうか?と勘繰りたくなる程トラウマの掘り下げが甘かった。
だから「え?この程度の事でトラウマになっちゃうの?ちょっとナイーブ過ぎなんちゃう?」というのが正直な感想。
まあ、百歩譲って環菜はまだしも由紀のそれは流石にトラウマって…そこまで泣き叫ぶレベルですかぁ~?って思ってしまった。潔癖症過ぎるんちゃうか?^^;

そんな訳で各人のトラウマ描写が甘過ぎるので色んなエピソードが常にしっくり来ないと言うのかな…
例えばだけど、どうやら迦葉は母親の愛情に飢えているが故に学生時代若干セックス依存症気味だった?らしいんだけど(由紀との絡みで本人が何十人と寝ても~と語るシーンがある&兄に可愛い子をナンパしたと語るくだりがあるので)それにしてはチャラさが足りない!て言うか物凄く感じいい青年にしか見えないっ!
男性ヌードモデルと同席させられるのが嫌だった、と環菜は語るがイチモツがモロに視界に入るような立ち位置にはしないようにちゃんと配慮されていたし、ゼミコンに同席させられた際に画学生達にベタベタ触られたと言っても所詮酔っ払いが肩叩いて来る程度のレベルだったし^^;
まあ、あのアルバイト青年とのくだりが一番性的トラウマ云々に絡むのかな?とも思ったけど、それもちょっと触るとか抱きしめる?程度でしかないので…原作小説はもっと踏み込んだ描写だったかもしれないけど、だったら映画でもそこは思いっきり触れるべき項目だったと思う。いっそR-18レイティングが付くレベルにするべきだった。
そうしないと、この事件に絡む幼少期のトラウマとの対峙、克服、昇華に観客が同調するのが難しい。

自分はリストカット経験がないし友人知人にもリスカ癖のある人が1人もいないので、このくだりは本当に理解出来なかったというのもモヤモヤの原因かと。
リスカすると傷跡を画学生に晒す訳にいかないので父親からデッサンモデルをしなくていい、と言われたから~までは分かるんだけど、就職試験で失敗した事を父親に報告する為にリスカの傷跡を見せに行く、というのが全然自分の中で結びつかなくて「???」だった。
面接試験官に一斉に見つめられる=画学生達から見つめられる=リスカすれば見つめられずに済む、は分かる。でもそれを父親に見せに行く、が繋がらなかった。
更に母親が娘のリスカ癖を知りながらも黙殺し、リスカを嫌悪している癖に自分も…というのも正直よく分からない。
コレはガチで「病んでる系」の人が観ると凄く同調出来るという事なんでしょうか?でもだとしたら、映画としては若干破綻してるのでは?映画というのは病んでない…むしろ自分のようにどこまでも底なしな脳天気バカも沢山観に来る訳で、そういう脳天気バカにも理解出来るように表現・描写しなければイミフになるのでは?と思いましたね。

ただね、役者さん達の演技は素晴らしかったですよ。
北川景子ちゃんのような美しい女優さんが目ヂカラめいいっぱいでトラウマ持ちのクレバーな心理師を演じるのはとてもスクリーンが華やぎますし、中村倫也さんはここんとこTVもスクリーンにも出ずっぱりで物凄い活躍をしていますが、色んなタイプの役を本当にソツなく演じられているなーと。いいキャラも悪いキャラもどちらにもハマる!
何より本作は芳根京子ちゃんの演技が光りましたね。彼女はいつか日本アカデミー賞の最優秀主演女優賞を取るね。間違いなく。
そして…最近地味に狂気じみた役が多いのでは?の木村佳乃さん、本作でもいい感じでしたー。彼女本当にいい役者さんだよね。キレっぷりが素晴らしいわ!

あ、そーいえば由紀の旦那さん演じた窪塚洋介さんに全く触れてなかったな…いやーちょっと浮世離れし過ぎなキャラで捉えどころなかったですよ。いい人過ぎない?
いっそ「こんないい旦那さんなのに実は…」みたいな【闇落ち】してくれたら面白くなったんじゃないかと…そこまですると話とっ散らかってまとまらなくなるかw
コメント
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