「法廷遊戯」
小説家であり弁護士でもあるという(頭いいんやねぇ~♪)五十嵐律人氏著の同名タイトル小説の実写映画化。毎度おなじみ原作小説未読です。
本作の原作小説は第62回メフィスト賞受賞作だそうです。おめでとうございました!(ぶっちゃけ知らん賞だったけど💦)
あらすじ
セイギ(永瀬廉)、彼の幼なじみの美鈴(杉咲花)、馨(北村匠海)らの通うロースクールでは、「無辜(むこ)ゲーム」と呼ばれる模擬裁判が行われていた。あるときクラスメートに過去の出来事を告発されたセイギは、異議を申し立てるために美鈴を弁護人に指名して模擬裁判に臨む。ロースクール卒業後、セイギは弁護士、馨は法学の研究者になっていたが、ある日、セイギは無辜(むこ)ゲームを再び開くという馨に呼び出されるが、そこで彼が目にしたのは馨の死体と、その隣でナイフを手にした美鈴の姿だった。(Yahoo!検索情報から丸パク)
予告編見て「ほー。法廷モノか。それにしちゃー面子が若過ぎぢゃねーか?大丈夫か?」と思ってたんだけど、この若さだからこそ!な話でしたね。
本作観ながら先ず思ったのがさー「コレ、多分活字で読んだら(活字で読んでも)相当面白いヤツだな。文章の描写表現にも興味出て来たわ。原作小説読んでみたい」です。そして、更に言えば本作は最近長尺映画多めの傾向にある中100分弱という割とコンパクトな作りで、だからだろうけど脚本がかなり練られていたんだろうと思います。短い時間で重要なヒントを散りばめながら、でも登場人物のバックボーンや色んな枝葉を付けていかなければならない…なかなかの手練れの仕事っぷりだったと思います。
でも…それもこれも根本的に面白い原作小説の描写あってこそなんだろう、と思いましてね。だから原作小説読みたいなーと。
同じ学び舎でかつて学んだ3人が、1人は事件の容疑者(加害者)になり、1人は被害者(死亡)になり、そして1人はこの事件の弁護士になった。
先ずこの関係性が斬新で面白い。くだんの殺人事件が起こる前段階で3人それぞれの個人的事情が少しずつ開示されて行くんだけど、事件前までは当然だけどまだ「彼らの超個人的事情」には触れられていなくて、事件後起訴→裁判になって以降に少しずつ過去の事情や事件の概要がつまびらかにされていく→するとある段階から事件の形がガラリと変わっていく、という展開になっています。
容疑者となった美鈴と美鈴を弁護しているセイギは共に同じ児童養護施設出身だという事はかなり前段階から提示されている事実で、2人は長らくお互いを庇い合い支え合う関係性だった事も判っていますが、何故か美鈴は逮捕後から警察だけでなく弁護士であるセイギに対しても完全黙秘を貫いていく。コレには理由があって、それこそがこの事件の形をひっくり返すキーにもなっています。
自分も長らくミステリ小説好きで読み倒して来たタイプなので、大体事件の大枠部分が提示された段階で「少なくとも事件概要としては犯人が○○なのはほぼ間違いない。ただ動機がよく判らんなぁ~」って感じだったんですが、この辺りの情報の見せ方は上手かったと思います。事件は更に最後の最後でややひっくり返っていきますが、正直コレに関しては過去のシーンを断片的に覚えていれば何となく予想のつくオチだったと思います。
という訳でー、杉咲花ちゃんのイカレた演技は凄かったな!クライマックスの咆吼(←と言って差し支えないだろう)するシーンのヒリヒリするような張り詰めた空気感、裁判の判決文を読み上げている裁判長を前にイッちゃった目でヘロヘロと笑い出す姿には鳥肌が立ちましたよ。それからキンプリの永瀬廉くんが弁護士って…と正直思ってましたが、過去の回想シーンでダッセー眼鏡掛けて完全にキラキラオーラ消した姿はなかなかなもんでした。彼は今後もコツコツと色んな役にチャレンジして欲しいな~いい役者さんに化ける可能性あるね!
北村匠海くんはもう演技もすっかり板に付いて若手役者の牽引者と呼んで差し支えないよね。彼の「必ず断罪する!」という決然とした目ヂカラにはハッとさせられます。
それから脇を支える大御所役者さん達…柄本明さん、大森南朋さん(←法廷証人のシーンとかパワフル過ぎて怖ぇーわw)、それから馨の父親を演じた筒井道隆さんが昔から好きなんですよねぇ~!静かな役が多いんだけど彼の実直な感じのキャラが大好き♪今作ではその彼の真面目で真摯な姿が返って美鈴の変なスイッチ押しちゃった、という皮肉な展開でしたが…こういう「誰かの無垢な善意が誰かの心を殺す」という話って、実は世の中に普通にありそうで空恐ろしい感じがしました。
主役にジャニタレさん使ってるからって偏見持たずに良質のミステリを楽しみたい方、是非劇場に観に行って欲しい一作です。