天網恢恢疎にして漏らさず

映画レビューを中心に(基本ネタバレバレです)スキーやグルメ他、日々どうでもいいような事をダラダラと綴っています。

「英国王のスピーチ」16

2011年03月02日 | 映画感想
「英国王のスピーチ」

祝!アカデミー賞4冠
という訳で、レディースデーのシネコンに勇んで見に行った訳ですが・・・
やはりアカデミー賞効果というのはスゴイですね。
レディースデーとはいえ平日昼間、人気の映画でもせいぜい20人も観客がいればいい方なのが
通常なのですが、今日は箱半分強位の入りでしたよ。平日にこんなに客が来るのも珍しい!

そんな訳で本作、
物凄く丁寧に描き出した人間ドラマですね。いかにもオスカーにふさわしい王道作品。
子供の頃からの激しい吃音に悩むヨーク公は継承位第2位の英国皇太子。
人前でのスピーチでは恥のかきっ放し。悩んで様々な医師に掛かるものの、一向に良くならない。
まあでもね、兄貴が次期英国国王だから俺が表舞台に出る事はほとんどないしね♪
・・・とタカくくってたら、事もあろうか兄貴が人妻ヤンキーねーちゃんと不倫なんざー
ぶっコキやがった挙句に、その年増女と結婚するから王位は放棄するとかヌカして逃げやがった!
俺絶対に人前でスピーチとかムリだし!てか王って器でもないし!いやマジムリだしっ!!(涙

という、実話。

日本に比べて英国王室というのは割と情報が(真贋取り交ぜ)OPENに語られていますよね。
まあOPENとは言っても相手はロイヤルファミリー、人物像の描写にはかなり気を遣うでしょう。
ヨーク公(後のジョージ6世)は吃音の為に内気で物静かな一方、癇癪持ちで直ぐキレる男という
キャラとして表現されているが、癇癪持ちとはいえそこは相手は後に「善良王」とまで呼ばれた
英国でも人気の高い王様、キレても愛すべき紳士っぷりがイケてる♪コレはコリン・ファースの演技の賜物かな?

それよりもヘレナ・ボナム=カーター演じるエリザベス一世がお茶目で愛らしくてステキだったな♪
「私が2度もアナタのプロポーズを断ったのは、アナタの事が好きじゃなかったからじゃないのよ」
と語るシーンは慈愛溢れる表情に目頭が思わず熱くなって鼻にツーンと来たわ。

それから、ヨーク公は生まれ付きの左利きとX脚をかなり厳しく(かなりの苦痛を伴う)矯正させられた事と
乳母から嫌われて陰でいじめに遭っていた事、父王の余りにも高圧的な態度と理不尽な躾が吃音のトラウマに
なったと描かれていますが(まあこの部分はほとんど史実に則っているのだろうと推察)
私自身左利きで、それを矯正する為に何度も厳しく叩かれた事で失語症になってしまったという過去があり
(2~3歳当時。結局矯正は諦めて両方使えるように路線変更したら失語症は治った)
ヨーク公が抱えていたトラウマの深さと孤独感を思うと、彼がローグに自分の幼少時代を一人語りするシーンでは
「判るわぁ~、アンタ辛かったのね、うん。うん」と勝手にシンクロしちゃって泣ける、泣ける!^^;

まあ、そんな訳で個人的な過去の事情もあって、本作はとても「ジーン」と来る作品でした。
もし自分も利き手矯正のトラウマを持っていなかったとしたら・・・単なる「英国王室マンセー映画」に見えたのかなぁ?
そこんとこは自分でもよく判りません。個人的には「ええ話やないの~(大阪のオバチャン風)」って感じでした。
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