12月の「ONE PIECE」(集英社)の全9面広告にもたまげたけれど、まけじと講談社は「バガボンド」がらみで最後の漫画展の告知を。そして幻冬舎は草刈民代のフルヌード写真集を全面で。笑ったのはおなじみ「銀魂」が、全面じゃなくて8ヶ所の広告をニッチにしのびこませたやつ。
「バガボンド」は、タイトルも告知内容もなんもなしでQRコードだけ。「銀魂」は、「ののちゃん」の真裏で四コマ調。やるもんだ。
思えば2004年のスラムダンク1億冊突破記念のときは、主要六紙にそれぞれ別のキャラを載せる民主主義的(笑)手法を集英社はとっていた。
配置はこんな具合。
読売 → 桜木花道
朝日 → 流川楓
毎日 → 三井寿
日経 → 赤城剛憲
産経 → 宮城リョータ
東京 → 木暮公延
なんか、キャラがちゃんとフィットしているのがおかしい。
さて、それでは近ごろ話題の出版広告が朝日に集中しているのはなぜだろう。朝日新聞の購読者に突出してコミックスや写真集の需要が大きいわけではないだろうから、ちょっと不思議。
でも学生の時に新聞学を履修していたのでその事情は想像できる。批判や反論を承知で言うと、いまだに日本におけるクオリティペーパーは朝日ということになっている。発行部数世界一の読売はクォンティティペーパーってことで。
そして、そのクオリティペーパーである朝日新聞の2、3面下部の書籍広告の枠をとるのは大変なのだそうだ。他と読み比べればわかるが、朝日だけ、その多くは老舗の大出版社に独占されている。だからこそ幻冬舎を立ち上げた見城徹はあの枠にこだわったわけ。
だから出版社としては、どれかひとつ新聞社を選んで勝負をかけようと思えば朝日新聞になりがち。出版社関係の人間は、だからこそ朝日の購読率も高いので(天敵である文春こそもっとも読者が多いはず)業界へのインパクトも強いしね。
朝日新聞としてもありがたいはずだ。一説には4000万円ともいわれる(このご時世だからかなりダンピングしていることと思う)広告料を、“話題になる”出版広告で得ることができるのだから。ネット広告にシェアをうばわれ、朝日ニュースターなどの自社広告の多さに「大変だなあ」と思っていたので、需要と供給はここに一致したわけだ。さて、それでは「銀魂」34巻を買いにいきましょうか。