いけてない男子高校生3人が、卒業まぎわのパーティにいかに酒を用意するか、いかに意中の女の子とセックスするか(あるいはしないか)のお話。
んもう昔から何度も何度も映画になってきたネタ。他と違うのは、そのお下品さがとてつもないあたり。
でも脚本を書いたセス・ローゲン(「グリーン・ホーネット」や「40才の童貞男」でひたすら脱力させてくれたユダヤ系コメディアン)の頭にあったのは、「アメリカン・グラフィティ」のなかのひとつのエピソードだと思う。
あの映画で、やはりいけてない代表のテリー(チャールズ・マーティン・スミス)も酒の買い出しにチャレンジ。
しかし今も昔も未成年の飲酒に厳しいアメリカ。テリーはリカーショップの前をうろうろ。そこへ親切なお兄ちゃんがやってきて
「オレが買ってきてやるよ」
テリー大喜び。しかしそのお兄ちゃんは酒を渡してくれたのはいいものの、その後を店主が追いかけて発砲までする。テリーは目をシロクロ……
おわかりだろうか。お兄ちゃんと店主がグルになってテリーをひっかけているのだ。おれたちも若い頃は酒を買うのに苦労したよなあ、ちょっとからかってやれ、と。そんな大人の若者への応援歌的要素がたくさんぶちこまれている。
主人公のデブ(「マネーボール」のジョナ・ヒル!)の名前がセスなのは自分の青春の投影だろうし、自ら演じているのは、店主やお兄ちゃんと同様の「若者を愛するがゆえにからかっちゃう困った大人」。いい感じだ。
フェイクIDの名前が(ファーストネームなしの)マクラヴィンってネタには笑ったなー。かなりアドリブが仕込んであるらしいのでどこまで計算だったかな。
ま、それでも1962年当時とは違って、いまの連中は酔っ払うとそこまでやるのかあ。主人公の初恋の相手が、ベッドの上で始めることのお下劣さといったら……うらやましいぞ(笑)。
オタク3人は卒業して、否応なしに他者と向き合うことになる。その不安をエスカレーターでの別れに仮託したラストはちょっと切なくていい。もっとも、次の瞬間からあいつらはセックスのことしか考えないんだろうけどね。