PART4はこちら。
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YouTube: 八つ墓村の殺戮シーン集
大阪にやってきて、辰弥を八つ墓村に連れて行く役目は、父方の親戚、未亡人の美也子(小川真由美)に引き継がれた。
ここで疑問も。
なぜ大阪府警は現場にいた“孫”を、しかも後に判明する『莫大な遺産を相続することになる男』を簡単に大阪から離れさせたか。まあ、要するにここまでがアバンタイトルみたいなものなので仕方ないか。
電車を乗り継ぎ、山道を歩いてふたりは岡山県の山村に到着する。美也子は田舎にいるのが不思議なほど都会的な美女で、事業家としても優秀。迷信深い八つ墓村にはおよそ似合わない存在だ。彼女は村を見下ろして、辰弥に村の現状と、忌まわしい名前の由来を解説する。
尼子の落ち武者をだまし討ちにした首謀者は、毛利から多額の恩賞を受け取る。山、である。その山林をもとに財を築いたのが辰弥の父方である多治見家。その多治見家は、落ち武者の呪いもあってか、数代ごとに不幸が訪れる。
落ち武者を狩った総代は、村人七人を斬り殺してみずからの首も切り落として自害(第二の八人殺し)。以降も多治見の総領には狂気が宿る傾向があった。その代表が辰弥の父親である要蔵(山崎努)。
要蔵は妻とのあいだに長男と長女をもうけながら、村の娘で、郵便局に勤める鶴子(中野良子)を拉致。離れに軟禁された鶴子は要蔵になぶられ、辰弥を出産する。しかし虐待に耐えかねた鶴子が辰弥を連れて家出したことで要蔵の狂気が爆発。村人32人を斬殺し、行方不明となっていた(第三の八人×4殺し)。
さあ、前半のクライマックスにして、大ブームをまきおこした大量殺人が描写される。
頭に懐中電灯を差し、日本刀と猟銃をかかえてスローモーションで走る山崎努はかなり怖い。しかも殺し方がかなり効率的で、射撃の腕も確か。悪鬼のような表情で村の中をひた走る要蔵から逃げる、あるいは隠れる村人を冷静に屠っていくこのくだりのおかげで「八つ墓村」は人々の記憶に残っているのだと断言できる。
あまりに激しいものだから、事件の様相などどうでもよくなってしまうという副産物もあったのだが。以下次号。