原作はもちろん4巻とも買いましたし、ゴールデンウィークのまっ最中に(混んでいる劇場が大嫌いなのに)妻とふたりで観てきたわたしが言うのもなんだけど、古代ローマからタイムスリップしてきたお風呂技師が、現代日本をヒントに公衆浴場(テルマエ)に画期的なアイデアを導入して……こんな漫画が大人気になるのも思えば不思議な話。
フジテレビがそれに大金を投じて映画化して大ヒット、ってのも。
そこは「人生画力対決」でヤマザキマリとバトルをくり広げた西原理恵子がちゃーんと解説してくれていて
「これ、『JIN-仁-』じゃん!」
そういえば(笑)。
にしても面白かったなー。妻もわたしも大満足。
スタッフはぜんぜん知らない人たちだし(「のだめ」関係の人が監督だったのね)、原作は大きなストーリーがないしなあ、という不安をふきとばす出来。
ローマの場面がリアルなものだから、技師ルシウスがシャワートイレ、シャンプーハット、ケロリンの風呂桶、フルーツ牛乳などにいちいち感心するのがそれだけでおかしい。
阿部寛、市村正親、北村一輝、宍戸開という濃い顔の面々が、古代ローマ人にマジで見えるのも笑えた。特に北村一輝って、確かにいるよああいうガイジン。
対する平たい顔族である日本人側は(まあ阿部寛たちも日本人ですけど)、笹野高史、神戸浩、内田春菊など、ほんとに平たいお顔ですもんね。よくそろえたなあ。なにより、ヒロインの上戸彩がきわめつけに平たいもん。
タイムスリップに、原作にはない法則性をもちこみ、沈滞する日本をローマ人に批判させるなど脚本も周到。黄金週間の娯楽映画として、これはおすすめです。
「市村正親はさすが舞台の人よね。最後の大芝居はかっこよかったわぁ」
妻はため息。
「あ、そうそう。お昼はうどんでいい?えーと、あの、グルグルも買わなきゃ」
「…………それ、ナルトのことですか」
妻の古代ローマ人化がすすんでいるのが不安な今日この頃。