事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「柳生一族の陰謀」 (1978 東映)

2012-06-22 | 港座

Yagyuimg01 鈴木瑞穂の重厚なナレーションが流れるだけでうれしくなる。70年代末、東映が時代劇復活にかけた意気込みがビシバシ伝わってくるのだ。

主演に萬屋錦之介×深作欣二監督という、当時としては意外な組み合わせ。だって錦之介は東映との関係が悪化していたし、「仁義なき戦い」でエース格だった深作が時代劇?

背景にあったのが太秦映画村なのは歴然。この映画は開村二周年(笑)記念作品という位置づけでもある。

実録路線の退潮で、何をやっても客が入らなかった東映が、時代劇を長く撮り続けてきた京都撮影所を利用して映画村を……絶対に失敗すると思ったらこれが大成功。なんだ、みんな時代劇が好きなんじゃん!ってことで大金がつぎ込まれたわけだ。

深作は時代劇版の「仁義なき戦い」をやりたかったらしいのに、錦之介は意地を張って往時の“御大”的演技に終始。スタッフは頭をかかえたらしいし、わたしも最初は違和感あるなーと……それどころか気を失いそうになった。

ところが、重々しいにもほどがある錦之介の口調や所作が、とんでもないストーリー展開と次第にマッチしてきて快感に。「春の坂道」(NHK大河)につづいて柳生宗矩役を演じきった錦之介と、いろんなパターンで片目をなくす柳生十兵衛役の千葉真一はあまりにはまり役。他の人がやっていると「嘘だ。」とまで思っちゃいますもんね。

時代背景もいい。三代将軍の座をめぐって家光(松方弘樹)サイドに柳生宗矩や知恵伊豆とよばれた松平伊豆守信綱(高橋悦史)&ご存じ春日局(深作の奥さんである中原早苗)。忠長サイドに土井大炊頭利勝(芦田伸介)と尾張大納言義直(三船敏郎)。いいですなあ。忠長(西郷輝彦)と出雲の阿国(大原麗子)ができてるって設定はやりすぎだけど。まあ、あのラストなんだから何でもありか。

Naritamikioimg01 貴族姿がむしろ怖い成田三樹夫と、なつかしの志穂美悦子の体技だけでも見る価値はあります。ぜひ。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする