「脱獄王」につづく板尾創路監督第二作。芸人としての一種の夢であろうラストが用意してある。
ネタバレになるので明かせないが、一種のメタモルフォーゼも仕込んであり、これも芸人として“ひと皮むけた”(→仮面を脱ぎ捨てる、あるいは仮面に同化する)ことの象徴なのだろう。
狙いはわかるけれど、前作同様に語らない主人公でつっぱるとすれば、前作以上のひねりが必要だったはず。さすがに、息苦しい。
出囃子が志ん生と同じ「一丁入り」である師匠の前田吟と、「いくらなんでもあんた途中でアレに気づかなかったの?」とみんなが突っこんだであろう石原ひとみが愛らしいだけに、ちょっと惜しい。