そば街道「七兵衛」篇はこちら。
二年ぶりの飛島には、なんと港のすぐそばにカフェができていた。名を「しまかへ」。去年から若い人たちが運営しているんだとか。
飛島名物を使い、同時におしゃれな感じをめざしていて去年は大好評だったらしい。おじいちゃんおばあちゃんはカフェとはなかなか発音できないので、今年から名称は「しまかへ」。
「いいねえ、かへ」
「いいでしょう、かへ」
さあランチをいただきましょう。メニューはごらんのようになっている。
わたしたちは名物「ごどいも」を使ったカレーや……あ、「ごどいも」がすでにわからないか。
飛島は海洋性の気候だから冬は暖かく夏は比較的冷涼だ。そんな気候に男爵いもがぴったりで、しかも離島だから他の種と混じるリスクが少ないため、ごどいも(畑からゴトゴトと運んでくるから、とか、煮込むときにゴトゴトするからその名がついたとか諸説あり)は希少な種になっている。
なにしろ過疎の島だから作り手もいなくなり、ほとんど作られることもなくなっていたわけ。
そこに乗りこんでいったのがわたしの近所のお兄ちゃんたち。北平田地区の農家が「ごどいも食べさせ隊」を結成して植えつけたのだ。
わたしたちはもう一度ここを訪れて生ビールを飲んでいる。なぜそんなにしまかへに入れ込んだかというと、その店にいた子(飛島出身らしいですよ)がやけにかわいかったからです。それだけです。なんか文句あっか。
となりのテーブルでマッキントッシュを広げて仕事をしている青年も「しまかへ」の仲間。NPOを組織していて、そのなかの何人かが飛島に来ているらしい。
「ぼくは山口県出身です。で、大阪の大学を出て、現在に至る、と(笑)」
「へー、おれ山口県出身者と話すのって生まれてはじめてかも(実はそうでもない)。やっぱりあれかい?桂小五郎とか高杉晋作をリスペクトしてるとか」
「いやいやそんな(笑)」
「暴走族の名前は奇兵隊だとか」
「違いますって」
そうやって全国にちらばり、ボランティア活動などをした仲間のおよそ4割はその地に残るんだとか。
「きみも、その4割だと」
「そうですね」
ふーん、勉強になるなあ。で、そのお姉さんやお兄ちゃんはきのうのNHKに出演していて、やっぱり応援したくなったのだった。ぜひおいでください。かへへ。
「麺者はんじろう」篇につづく。