PART18 酒田VS鶴岡 おばちゃん篇はこちら。
さて、庄内地方はもちろん酒田と鶴岡だけで成り立っているわけではない。真ん中に庄内町と三川町があり、北に遊佐町がある。平成十六年ごろに、それぞれ市町村合併でもめた経緯がある。
おおざっぱな印象はこんな感じ。
・旧立川町の財政は厳しかったので、旧余目町の方は合併して庄内町になるについては逡巡があった。
・三川町が鶴岡との合併から離脱したのは、三川中学校の校舎改築の優先順位を鶴岡が上げてくれなかったから。
・遊佐町と酒田の破談は、水道管の負担問題がこじれたから。
……ということにはなっているけれども、それぞれの首長の思惑と、それぞれの職員、そして住民の感情が入り組んでいて何が何だか。
つまりは、同じ庄内でもこれだけもめたのだ。分断、と称するけれども、それはやはり普遍の性向なのではないだろうか。
しかし地元との差をあげつらって自分を守ろうとするのは都会でも田舎でも実はそう変わらない。
洗練された都会人は内心では田舎者を嫌っているし(洗練されていない都会人は露骨に態度で示す)、京都人などは最初から他の地方を本気で相手にはしていない。
つまり“分断”と騒がれるだけ山形県人は無邪気なのだろうし、娯楽の選択肢が少ないものだから地域性に拘泥する割合が大きいのかもしれないと思っています。わたしのことです。
さあ来年は山形県で全事研の全国大会が開催されるし、クミアイの東北ブロック研も山形だ。他県からたくさんの人たちがやってくると、山形県人は思い切り結束します。日ごろ仲が悪いくせにね(笑)
みなさんぜひ山形にやってきて、そのあたりの微妙なニュアンスを感じとっていただければ……そんなことのために来る人はいないでしょうが。
【これでいいのか山形県 おしまい】
本日の一冊は、ああ本当にこの人と同郷でうれしい藤沢周平の「周平独言」。肝心の、彼がなぜ小説を書き続けたのかはぼかしてある。地元紙に掲載された稿も多いので、おなじみの名前が突然出て来てびっくり。そうか小松先生と同級生だったんだねぇ……