「熱き心に」 大滝詠一
PART4「A面で恋をして」はこちら。
はっぴいえんどの盟友である細野晴臣との対談は趣き深い。
細野:歌謡曲の仕事は、頼まれたらやるという感じでやってきてる。それが結果的にはおもしろいことになる。例えば、ヒットチャートで作者欄に松本、大瀧、細野が並んだりとかね。松本がけっこう意識してね。
大瀧:あいつがフィクサーだ!?
……細野晴臣はイモ欽トリオの「ハイスクール・ララバイ」大瀧詠一は松田聖子の「風立ちぬ」が大ヒット。作詞はどちらも松本隆。
「ナイアガラ・トライアングルVol.2」にはもっとこぼれ話が。鈴木雅之との対談で
鈴木雅之:ちょうど大瀧さんが「ナイアガラ・トライアングルVol.2」を録音してるとき、隣のスタジオでレコーディングしてたのが俺たち(シャネルズ)。で、呼ばれて佐野元春の「彼女はデリケート」っていう曲のコーラスやってみろって言われて、やったわけ。
大瀧詠一:まあ、同じエピックだからいいだろう、ってことで。だから、その「彼女はデリケート」には彼らのコーラスが入って(佐野のアルバムの)A面の1曲目ですよ。クレジットには出してないけど。
……「彼女はデリケート」は、佐野元春が沢田研二に提供した曲のセルフカバー。まさかシャネルズがノンクレジットで参加していたとは。ソロのバージョンもすばらしいっすよ。確か佐野とマーチンは、バブルガム・ブラザーズのコーンを真ん中に、意外に関係が深いのでした。運命。佐野はプロデュースというものを大瀧と伊藤銀次に学んだと公言しているので、これも縁というものなのだろう。
「熱き心に」
大森昭男:小林(旭)さんの娘さんが、大瀧さんのファンだったんですってね。あの大瀧さんがうちのお父さんに曲を書いてくれるはずがないって言われたらしくて。カセットを証拠に持って帰ると言われてましたよね。
大瀧:僕は以前、僕の仮歌を家で流していた時に、娘さんが2階から「これ、大瀧詠一でしょ!」って降りてきたっていう話を聞いたことがありますよ。それで「おう、お前知っているのか」って言ったっていう。
……うわー、めちゃめちゃいい話だなあ!