「××せんせいノ好キナあーてぃすとハ誰デスカ?」
その昔、ALTと飲んでいるときに質問された。
「プリンス、かな」
「ホォ」
「で、二番目はプリンス&ザ・レボリューションズ(笑)。三番目はプリンス&ザ・ニュー・パワー・ジェネレーションで四番目はジ・アーティスト・フォーマリー・ノウン・アズ・プリンスだ!」
みんな、プリンスの名義である。それくらい好きだった。もちろん毛嫌いする人が多いのもわかる。いかがわしさ全開のルックスだし、声もどちらかといえばノイジーに聴かせようとしているかのよう。メロディよりも、リズムパターンで曲を前へ前へと進めようとしていたので、日本人には向かないのかもしれない。
ただ、単純なフレーズを華麗なアレンジで何度も何度も聴かされているうちに、わたしはすっかりはまってしまいました。最高傑作は「サイン・オブ・ザ・タイムス」だと思う。特に二枚目の高揚はすごかった。前衛的に見えて、しかしポップのエリアにちゃんといる。むしろ自分でポップの領域を広げているようだった。
だいたい、彼の音楽は誰にも似ていない。プリンス、というジャンルが孤高にある感じ。あ、でも忌野清志郎は渋谷陽一の番組で近ごろ気になるアーティストはいるかと訊かれて
「いまどきの音楽は聴いてないからなあ……。あ、あいつはいいな。ジミヘンみたいなやつ」
とプリンスを激賞していたっけ。確かに、ジミ・ヘンドリックスに有り様が少し似ているかもしれない。
たくさんのアーティストとコラボもしたわけだけど(シーナ・イーストンともデュエットしている!)、印象としてはウェンディ&リサやシーラ・Eをひきつれて調子こいてる姿が似合っていた。
ライブ映像の迫力は圧倒的で、あの小さな身体でどんだけはじけるんだとあきれてました。セックスもすごそう。だから、インフルエンザなんかで死ぬはずはないし、クスリのイメージも似合わないので(ですよね?)、オーバードーズも考えにくい。だいたい、そこまでジミヘンに似なくてもいいじゃないか。
同世代の天才がまた消えた。妻よ、喪服の準備はいいか。通夜はいつなんだ。香典はいくら包めばいいんだ。あ、あいつの宗派ってなんだっけ!?くそ、くやしい。