名優の雰囲気がありながら、いつの間にかアクションスターになっていたリーアム・ニーソン。なんといっても「96時間」がそのイメージを決定づけた。リュック・ベッソンのせいだ。(笑)
この映画の予告編もそのイメージを踏襲していて、ついにカーチェイスに除雪車が使われるようになったかと。うん、リーアム・ニーソンには確かにディーゼルエンジンが似合うものなあ……なんてことを考えてレンタル。暑いさなかに見るのに最適では?
ちょっと、というか全然そういうタイプの作品ではありませんでした。
まず、除雪車アクションのワンアイデアで押すには2時間という上映時間はあまりに長い。しかも、次第に姿を現す除雪車を追うカメラの動きも渋い。あれ、これひょっとしてB級アクション映画じゃないんじゃない?
いやテイストとしてのB級っぽさは、ほどよく残ってはいる。死体の後始末の方法など、なるほどーと納得。人が死ぬたびに画面に十字架が登場するあたりのバカバカしさもいい。
ところが、それ以上に演出のオフビートさが最高なのだ。この感じ、どっかで見たおぼえがあるぞ……そう、クエンティン・タランティーノやガイ・リッチーのタッチなの。ギャングにみんなニックネームがついているあたりは「レザボア・ドッグス」だし、きわどい場面で軽口をやめないあたりは「スナッチ」だよね。使用曲がプリテンダーズの「2000マイル」だもんなあ、音楽の趣味もいい感じ。
モーテルのメイドを20ドルでナンパする方法で笑わせ、その色男がどう死ぬかでまた笑わせる。もちろん残虐なシーンが連続するのでR指定だろうけど、この映画を見逃すなんてもったいない。ぜひぜひぜひ。
監督はこの作品の元ネタになったノルウェー映画「ファインディング・ダディ 怒りの除雪車」(なんて邦題だ)を撮ったハンス・ペテル・モランド。そうかセルフリメイクだったのか。この人は「特捜部Q」も撮って大ヒットさせてもいるらしい。見なきゃ!
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