あるわけありのタイルに触れると過去を感じる能力を持つ弟。彼を静かに守る兄。ざっくりと言えば残留思念を読めるサイコメトリーのお話のようでいて、しかし廃墟にあらわれる麦わら帽子の少女やハナコという名の女性が出てきて話はよじれていく。
兄弟が無色の存在のようにあまり自己主張しない設定はうまいと思った。突拍子もない話だから、彼らの冷静さは必要だったし、弟の一人称で語られるのも説得力がある。
少女が廃墟に現れるのはなんのためだったか、はよくある手だけれどもちょっと泣かせる。分厚い本だけれどもスイスイ読めます。そりゃまあ、手練れの小説家、恩田陸だものね。
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