事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「梅切らぬバカ」(2021 ハピネットファントム・スタジオ)

2021-12-03 | 邦画

監督は和島香太郎さん。酒田市出身です。チョー色男。まあ、あの北の富士の甥っ子だからなあ。港座でも彼の「第三の肌」を上映したときにトークイベントを用意したら、同級生やら恩師やらがやってきて、お花も提供してくれてうれしかった。

あのときの会話を再掲すると

「エンドロールの最後に監督の名前が出るじゃない?」

「はい。」

「あれを、文字通りスルーする人と、バーンってとめるタイプがいるじゃないですか。『オレの映画だぞ』って。和島さんはどっちのタイプなの?」

「あれはですねー、ぼくはスルーの方が好みなんですけど、実はロールの長さと音楽の長さのからみがあってですね(笑)、だから『第三の肌』はとめてます」

なんでも勉強です。

さて「梅切らぬバカ」。これまでで最もメジャーなつくりになっている。なにしろキャストが豪華なのだ。加賀まりこ森口瑤子高島礼子(この3人を選ぶセンスに賛成)、塚地武雅、渡辺いっけい、林家正蔵など。

自閉症の息子(塚地武雅)をもつ老齢の女性(加賀まりこ)とその周辺の物語。息子の将来を案じ、自分の老いを意識した生活。庭には道に飛び出した梅の木があるが、どうやら亡き夫を象徴しているようだ。グループホームに移った息子は、しかし同居する人間たちや地域との齟齬のために……

ラストに至っても、彼らにハッピーエンドが訪れるわけではない。しかし、観客に大きな幸福感を与えてくれることは確かだ。それは和島さんの丁寧な演出もあるだろうが、加賀まりこの圧倒的な存在感にもよるだろう。

とにかくすごいの。「月曜日のユカ」「泥の河」「麻雀放浪記」に匹敵する彼女の代表作になるだろう。思えば超大作「八甲田山」において高倉健の奥さんを軽く演じて見せるなど、この人はとてつもなくうまい女優だったのだ。必見!


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2 コメント

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Unknown (みこ)
2022-10-19 21:04:01
加賀まりこ、森口瑤子、渡辺いっけいが見たくて観ました。
それぞれ、らしくていい存在感でした。
解決は無いけどそれぞれの生活と幸せが見えましたね。

いっけいさんはもっと映画や時代劇、大河で大きい役あげてほしいです。すごい人なのに。もっと見たい。
「精霊の守人」では最高にかっこよかったです。
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センスが…… (hori)
2022-10-20 19:16:12
いいですよね。このキャスティングは
すごい。
しかも加賀まりこには障がいを持った
お子さんがいるらしく、わたしは震えた。
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