びっくりした。噂には聞いていたけれど、まさかこんなに面白かったとは。あの、世界でいちばん有名な探偵を主人公に、21世紀にここまできっちりミステリとして仕上げるとはすごい。
登場人物はほぼ原作のとおりで(ワトソン、レストレイド、マイクロフト、ハドソン夫人、アイリーン・アドラー、メアリー……)、キャラも“あの人”以外は原作に沿っている。なによりホームズがヤク中であることまで再現してくれているのがうれしい。鳥撃ち帽をなぜ今回をかぶらざるをえなかったかなど、うまい。
シーズンのつなぎが「ありえないだろ」と騒がれたりするが、ちゃんと伏線がはってありますもの。
アイリーンのヌード(ホームズとワトソンがそっち系ではないことを強調するために過激な描写が入ったらしい)に感じ入ったからだけではなくて、やはりBBCのつくるドラマは大人だなあとつくづく。
画面にドバドバ字幕が浮遊する手は「フライト・ゲーム」などでも引用されています。画面の情報量が飛躍的に増大するので、ミステリに向いているのだろう。日本でも……あ、「謎解きはディナーのあとで」にも出てくるか。「クビクビクビ」だけれども(笑)
ベネディクト・カンバーバッチの魅力はやはり圧倒的。以来、出演作が途切れないのは「おれならこう料理するし、彼もそれに応えてくれるだろう」と各監督が考えたからに違いない。
「戦火の馬」(スピルバーグ)「裏切りのサーカス」(トーマス・アルフレッドソン)「ホビット」(ピーター・ジャクソン)「スタートレック」(J.J.エイブラムス)「それでも夜は明ける」(スティーブ・マックィーン)……錚々たる面々、錚々たる名画の数々。これから、どこまで行くのかカンバーバッチ。
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