その8はこちら。
「HEROの一作目にしても、龍馬伝にしても、絶対に無理だとまずは思いました。でも、なんとかかんとかやってきた。今度のHEROにしたってそうです。続篇だから楽勝だろうと思われるかもしれない。松たか子さんが出られないのはありえないんだけど、フジテレビの開局55周年なので今やるしかない。」
「いちばん大きかったのは、13年のあいだに検察に対する世間のイメージが悪くなっているということなんです。でもわたしはむしろそこで勝負しようと思いました。あさってが最終回のオンエア(講演会は9月20日)ですけれども、冤罪というものをテーマにしたんです。こうやって、なんとか立ち向かっている。無理だと思っても、頭の上の方で『なんとかやれるんじゃないか?』という声が聞こえる(笑)。エンタテインメントの作者として、この自信のおかげで脚本家としてやっていけている気がします」
……まさかこんなに面白い講演だとは思いもしなかった。場内がシーンとしてしまったら、そんな義理もないのに変な質問でもして場をなごませようかとまで思っていたけれど(なに様だおれは)、そんな必要は全然なかった。たとえば
「キャストの変更は脚本家にとってかなりしんどいことなんじゃないかと思います。ガリレオの第二シーズンで、女性刑事が柴咲コウから吉高由里子に変更になったのはつらくなかったんでしょうか」
「福田脚本って、サブの方々と比較するとよくわかるんですけれど、“きっちりしている”じゃないですか。伏線ばりばりだし。それは性格的なものですか?」
とか(笑)。やな客だよなホントに言ったら。
でも場内から出た質問はとても意義深いものだった。
「劇団を主宰なさっていたということで、もう芝居の脚本は書かれないのでしょうか」
答えを聞いてわたしは福田さんがもっと好きになった。
「演劇はねー、ものになりませんでしたからねぇ。いまのところは書く気持ちにはなれないです。HEROの打ち上げのときもですね、緊張したのはキムタクさんよりも、文学座の重鎮である角野卓造さんの方でしたから(笑)」
【福田靖講演会 おしまい】
こんなにネタバレして怒られないのかって?いやいや、福田さんは大人物で、みんなに話して二度三度おいしいって具合にしてほしいんだと。
なぜなら、「今度の福田のドラマつまんなーい」となったら「なに言ってんだ!福田さんはがんばってるんだ!と言ってくださいね(笑)」というさすがの伏線があったからなのでした。
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楽しいお話だったんですね,うらやましいなあ.
特に角野さんに緊張された下り,
そうだよねえと思いました.
で、やはりそれ以降も福田さんの作品はどこか
きっちりしている(笑)