その8はこちら。
「大河ドラマの主演をやる、ということは、一年以上も拘束されるわけです。だからよほど前からおさえておく必要がある。龍馬のキャスティングは難航しまして、脚本家のぼくにも『誰がいい?』と。別にガリレオをやっていたからじゃなくて『福山雅治さんはどうでしょう』って提案してみたんです。まわりは考えこみましてね。ミュージシャンだし、NHKと縁がないし。」
「ということでなんとぼくに話してくれないかと(笑)。で、ガリレオの打ち上げのときにですね、本人じゃなくて(アミューズの)マネージャーさんにそぉーっときいてみたんです。そしたら『検討します』ということでした」
「ところが返事が来ないんですよ。問い合わせると『福山、いま考えています』。考えてもらうのはいいんですが、タイムリミットはどんどん近づいている。スポーツ紙なんかには2010年大河の主役は○○に決定!なんて記事もでる。全然違う人なんです。こっちは最初から福山さんにしか頼んでないのに。ようやく彼からOKが出たときは、もしも断られたら完全にアウトな時期でした。」
「それにしても龍馬とは不思議な存在で、『坂本龍馬はなにをした人?』と質問すると、たいがいの人が『えーと、薩摩と長州をどうにかした』なんて答が返ってくる。確かに、薩長の同盟書には、龍馬の裏書きがあるんです。でもよく考えてください。犬猿の仲だった薩摩と長州が手を結ぶ、その証拠の同盟書なら、単なる脱藩浪人ではなくて、それなりの人に証明してもらうはずでしょう。それが、どうして龍馬だったのか。これはもう研究家が百人いれば百通りの説があるんです。」
「そのなかで、わたしはこれが近いんじゃないかと思った説があります。わたしは山口県の出身なので、長州のことばは理解できる。でも当時の長州人は、おそらく薩摩弁はまったく理解できなかったのではないかと。というのも、薩摩弁というのは、密使によって機密がもれることをおそれるためという説もあるくらい難解です。龍馬伝では西郷隆盛を高橋克実さんが演じましたが、あれ、薩摩弁度15%ぐらいです。あれが40%ぐらいになると誰も理解できない。龍馬という人は奥さんと薩摩にハネムーンに行ったくらいの人ですから、まあまあ聞き取ることはできたんでしょう。つまり、薩長同盟のために、坂本龍馬は通訳としてその場にいたのではないかと(笑)。でも、それ大河では使えないわけです。字幕入れなきゃいけない。」
あははは、卓見。真木よう子はすっかり大女優でうれしいです。先日見た「まほろ駅前番外地」では、すっかり主演のふたりを食ってました!以下次号。
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