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美術関係にくわしければ、この映画はもっともっと楽しめたろう。クルーニー版のインディ・ジョーンズ的展開が待っています。
なぜヒトラーが美術品の収集にこだわったか。モニュメンツ・メンは考察する。彼が二度美術学校に落第していることが背景にあるのだろうと。そしてヒトラーが描いた絵が投影される。
「悪くないな」
「でも退屈だ」
痛烈な皮肉。
ヒトラーの収集癖には彼の好みが如実に反映していて、ミケランジェロやダ・ヴィンチはベルリンに送られるものの、ピカソやパウル・クレーはその場で焼き捨てられるのだ(笑)。
そして、ヒトラーの狂気は、もしも敗戦したときは、美術品をすべて破壊しろとするあたりにある。狂気というより、究極のマニア気質だろうか。
戦況はすでに残務整理に近い。でも戦闘はそこかしこで続いていて、モニュメンツ・メンも命を落としていく。ジョージ・クルーニーは、だからこそこの作戦の意義を再確認する。
「歴史は、生命の蓄積だ」
傲慢な意見かもしれない。しかし終戦後、失われた生命に見合う価値がこの作戦にはあったかと上官に問われたクルーニーは
「もちろん」
と答える。
「ミケランジェロ(の母子像)を守るために、命を失った兵士がいたことを、三十年後の人々はおぼえていると思うか」
という問いに、彼がどのように答えたかはぜひ映画館で確かめてほしい。このラストは泣けます。
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