「絶対に、起きてはならない事件だった。
おそらく日本の近代史において、国の内外にこれほどの政治的な偉業を成し遂げ、国民に愛され、世界に信頼された首相は他にいなかっただろう」
この序文をストレートにとるか皮肉だととるか、読者を選ぶ小説だと思う。いわゆるモデル小説で、安倍晋三狙撃事件の背後に、あの勢力とあの宗教団体の存在があったのではないかという、陰謀論に近いテーマを扱っている。
銃器に対する詳細な言及のおかげでリアルに感じはするけれども、なにしろあの安倍晋三のことなので、彼のおかげで日本が衰退してしまった事実もどうしても浮上してくる。どうも、すっきりしない作品なのでした。