第28章「ヘラクレス」はこちら。
史劇を愉しむシリーズであると同時に「ヘアーの不毛」の新作でもあります。
史劇として愉しむには、フランスの宗教戦争について基礎的な部分を知らないときついかも。わたしは歴史知らずなので、あー、このドラマのラストでブルボン朝が始まったのかとようやく気づきました。
一応、世界史は高校時代に履修していたので
「聖バーソロミューの虐殺」
「ユグノー戦争」
「ナントの勅令」
あたりは“単語として”聞いたことがある程度。にしてもこんなに陰惨な話だったのか。
原作はアレクサンドル・デュマだから波乱万丈です。カトリックとプロテスタントが勢力争いを繰り広げていた1572年。国王の母カトリーヌは、平和のために娘のマルゴとプロテスタントのナバール王アンリを政略結婚させる。その結婚式のために人があふれかえるパリで、新教の指導者が暗殺されようとする。反発する新教徒たち。それを抑え込むために王室は……
まあ、歴史に興味があったというより、お察しのように「イザベル・アジャーニ」「無修正」というあたりがレンタルした動機です。もちろんアジャーニや他の俳優のヘアは出てきますが、性描写はむしろ控えめ。すさまじいのは虐殺で、まさしく死屍累々。こっちの方が劇場公開されたときにぼかしが入ったのか。
一説には1万人以上が殺されたというから、ヨーロッパ人もやることがえぐい。
男なしには夜をすごせない、と豪語する淫蕩なマルゴが、いかにしてある若者を愛し、そして王妃となっていくのか。
暗い話ではあるけれど、そこを突き抜けた感慨もある。フランス映画史上最高の製作費をかけた画面の質感がすばらしい。イザベル・アジャーニの色香にクラクラ。のちのアンリ四世を演じたのは「あるいは裏切りという名の犬」のダニエル・オートゥイユでした。
ヘアーの不毛篇「ヒッチハイク」につづく。
第30章「ローマ帝国の滅亡」につづく。
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