2019年11月号「先生になりたくないPART3」はこちら。
教員の労働時間、年単位管理が可能に 改正給特法が成立
教員の働き方改革を進めるため、勤務時間を年単位で管理する変形労働時間制の導入を可能にする改正教職員給与特別措置法(給特法)は4日の参院本会議で、自民、公明両党などの賛成多数で可決、成立した。繁忙期の勤務時間の上限を引き上げる代わりに、夏休みなどの間に休日をまとめ取りできるようにする狙いがある。
年単位の変形労働時間制は労働基準法が定めているが、教員は対象外だった。原則として1日8時間以内と決まっている労働時間を、繁忙期には平均で週40時間を超えない範囲で延長できる。
12月5日 日本経済新聞
ボーナスなのにあまりうれしくない話。とうとう成立してしまいました。文部科学大臣自身が、この変形労働時間制なるものに教員の労働を縮減する効果はまったくないと答弁しているにもかかわらず。それはそうですよね、仕事の中味が変わらず、人も増やさないで見かけの“時間外”労働が減ることになるだけなんですから。
11月号で予告したように、実はこういうことはむかしもあったんです。
お若い方々にとって、学校が土曜日お休みなのは当然のことだろうと思います。でもむかしはそうじゃなかった。土曜日は半ドン(死語)で営業していました。
80年代、日本人は働き過ぎだという海外からの攻撃をかわすために、国をあげて週休二日制(死語PART2)の導入に取り組むことになり、官公署は完全週5日制に移行。でも学校はなかなかそうはいきません。
文部省(当時)が反対していましたし、「親が休みじゃないのに子どもを休みにされても困る」のが保護者の本音でもありましたから。
しかしさすがにいつまでも学校だけ時代に取り残されるわけにもいかず
・1992年に第2土曜日を休業日とする4週5休
・1995年に第2土曜日と第4土曜日を休みにする4週6休
・2002年にいたってようやく完全週5日制
……という流れ。すると、1992年から2002年までのあいだにちょっと困ったことがありました。教員だって公務員なのだから、他の行政職などと同じように週40時間に勤務は軽減されなければならないのに、学校は週44時間営業している。この矛盾をどうしのぐか。
そこで出てきたのが勤務割という考え方。1年間をとおして(正確には52週間において)、週当たりの平均労働時間が40時間になるように強引に勤務時間を割り振るという作業。土曜日の累積する4時間勤務を、長期休業中などに『勤務不要日をまとめ取り』させて解消しようとしたわけです。
これはもう、ほんとうに不毛な仕事でした。
「一応、勤務不要日ってことになってるからいないことにしてくれ」
と言って夏休み中や年度末休業中に出勤する職員続出。まあ、休めるわけないもんなと一足お先に完全週5日制に入っていた学校事務職員たちはあきらめ顔。
同じことがこの変形労働時間制が導入されれば起こることは確実で、しかもあの不毛な労働時間管理が復活するのか……確実に仕事は増える。どこが働き方改革なんでしょう。
画像は「平場の月」朝倉かすみ著 光文社
松本ちえこの死にショックをうける年代にしか喜んでもらえない恋愛小説。
「いや、だって、須藤ってちょっと浜田朱里に似てない?」
“カセットテープに合わせてジューシィ・フルーツの「ジェニーはご機嫌ななめ」を演ったのだった”
なんて描写の連続。今年のマイベストです。わたしも浜田朱里やイリアのことが大好きでしたし。
2019年12月号「先生になりたくないPART5」につづく。
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