妻を助手席に乗せ、家を出る。鶴岡まちなかキネマまで、およそ45分かかる。
早く着いたら併設のベーカリー「地ぱんgood」で塩パン(めちゃめちゃにおいしいっす)を買い、ロビーでいただく。どの席にするか妻とは常にもめ(わたし一人のときはたいがい一番前に座ります)、開映を待つ。
本編前に映されるのは、この劇場のメインバンクである銀行のCMぐらいで、上映中のご注意も押しつけがましくなくていい。まあ、どこと比べているかはご承知でしょうが。もういいかげんにSTOP!映画泥棒を映すのはやめろイオンシネマ。あ、言っちゃった。
映画が終わり、外に出て煙草を一服。妻はまた塩パンを買いに行っている。お昼どきなら、鶴岡のラーメン屋めぐり……ああ、思えば幸せな十年だった。
2010年5月22日に開館したまちキネが、2020年5月22日をもって閉館。呆然。
庄内地方のど真ん中に7スクリーンのイオンシネマ三川があるのだから、確かに商売としてはしんどかったはず。4スクリーンのまちキネは、大作ももちろん上映したが、しかしマニア向けにミニシアター系の作品も積極的にセレクトしてくれたのでありがたい映画館だった。
館内も上品で、とても居心地がよかったのに。
国の補助金(戦略的中心市街地商業等活性化支援事業費補助金)と荘内銀行の出資、建物の評価も高く、めぐまれたスタートをきったけれど、十年が限界だったか。
もちろん閉館のきっかけになったのは新型コロナウイルス感染症だが、多くの観客が場を共有し、同じ画面を注視して興奮を分かち合うという映画興行そのものが問われているとも言える。くやしい。これから、鶴岡に行くことは少なくなるなあ。
PART2につづく。
そんな映画館,うらやましいです.
沢山の方に惜しまれていることでしょうね.
職場と自宅の間にまちキネがある為、
定時で上がりまちキネの夕方回も
鑑賞出来ました。オープン日に子供と
TV取材を受け、そして10年間家族で
まちキネで様々な体験をして、個人では
368回も鑑賞し贅沢な時間を過ごしました。
実は報道があった5/19の前日5/18にまちキネ前で
バッタリ支配人とお会いしていろいろ話し合い、
現状厳しい状況とは聞きましたが、閉館の話は
出なかったので恐らく胸の内で留めていたのかも
しれませんね。(でも去り際私から再開のお願いは
強くしていました…)
ホリさんと鑑賞すれ違いする話もまちキネだから
出来たのかもしれません。
そうそう私の指定席は最前列中央席でした。
妻ともよく「仕事リタイヤ後に通おう!と
老後の事も話していましたが幻になりました…。
とにかく暫く気持ちの整理がつかない状態です。
いつかきっとまたあの場所で映画が観られたら…
そればかり願っている所です…。
娘さん(もうおちびじゃないでしょう?)
の成長過程の十年に、この映画館があったことは
幸福だったとも。
わたしにとってはグリーンハウスや港座が
あったことで自分というものが形作られた
と同様の思い。
っていうかわたしの老後が始まったばかりの
段階でこの映画館がなくなるのはしんどいなあ。
妻は
「7億ぐらい出しなさいよ」
「そ、そうだね。あればね」
ないよ(T_T)